なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

AUSTRIAN DEATH MACHINE『Double Brutal』

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カリフォルニアのメタル・コア・バンドAS I LAY DYINGのフロントマンのティム・ランベシスが、
アーノルド・シュワルツネッガーを素材にしてギター・ソロ以外の全パートをやるプロジェクト。
この2枚組のセカンドもカヴァーを含めてほとんどの曲に彼が出演した映画名が関連作品みたいに添えられ、
曲名は映画の中のセリフなどから引用しているようだ。


シュワルツネッガーといえばマッチョなイメージで売ってきた俳優なわけだが、
政治的なパンク/ハードコア・シーンの中では否定的にも捉えられていた。
要は深刻に考えると筋骨隆々の“USAアティテュード”そのもので、
それを空想で終わらせずに実践した一人がジョージ・ブッシュみたいなものだからである。

目下シュワルツネッガーは物議を醸しつつもカリフォルニア州知事として奮闘中だが、
このプロジェクトではそういう面は抑えめだ。
映画でのキャラは本人自身とかぶっている部分もあろうが、
オーストリア生れの彼の映画『ターミネーター』における役柄の代名詞“AUSTRIAN DEATH MACHINE”を、
このプロジェクトではネタとして使っている。
そもそもAUSTRIAN DEATH MACHINEというフレーズ自体がメタルのネタとしてド真ん中だし、
シュワルツネッガーの映画も存在自体もメタル的な馬鹿馬鹿しさに満ちている。
そういうプロデューサーとしても長けているティム・ランベシスのセンスが全開。
ティムとしてはシリアスなAS I LAY DYINGとは逆の表現活動の場としてやっているが、
こちらも直感を信じた短期決戦のアルバムとして面白い。


ディスク1はオリジナル・ナンバーが13曲入っている。
全曲1時間で書いたノリ一発的な方法論を含めてS.O.D.の『Speak English Or Die』を思い出すが、
ポリティカルな引っ掛けはほとんどなくコミカルなコンセプトに徹している。
ただし時間をかけてないといっても録音やミックスやマスタリングもビシッ!とした仕上がり。
曲もAS I LAY DYINGではあまり聴けないストレートな直情チューンの嵐である。
音楽的にはMUNICIPAL WASTEあたりにも近く、
グラインド・コア/デス・メタル以降のスラッシュ・メタル/クロスオーヴァー・サウンドなのだ。

ディスク2はほとんどをカヴァーで固めた。
JUDAS PRIEST「Hell Bent for Leather」
METALLICA「Trapped Under Ice」
MOTORHEAD「Iron Fist」
MISFITS「I Turned Into A Martian」
MEGADETH「Killing Is My Business… And Business Is Good!」
AGNOSTIC FRONT「Gotta Go」
などをヤっている。
レミーが怒らないか心配してしまう「Iron Fist」をはじめとして痛快なのだが、
みんなリスペクトの念でビシッ!と引き締めているのであった。


●オーストリアン・デス・マシーン『ダブル・ブルータル』(メタル・ブレード・ジャパン MBCY-1118)2CD
“ディスク1”が約30分13トラック入りで“ディスク2”が約26分12トラック入り。
収録時間を考えると1枚のCDに入るわけだが、
分けたところに制作者のこだわりを感じる(けど税込み2300円)。
なんでもかんでも合理的にやればいいってわけじゃないのだ。
おまけに2曲のライヴ映像もPCで見られるエンハンスドCD仕様。
おまけに歌詞だけではなくCDに入っている“セリフ”の和訳付である。
ジャケット画はスラッシュ/デス・メタル界の巨匠絵師でSxOxBの『Gate Of Doom』も描いたエド・レプカ。
ボーナス・トラックの「Jingle Bells」のカヴァーは、
EXPLOITEDがヤった替え歌「Fuck A Mod」「Fuck The Mods」も思わせるファスト・チューンなのであった。


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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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