なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

BLACK FLAG『What The...』

BLACK FLAG『What The』


80年代以降のパンクのみならずロックを塗り替えたUSハードコアのオリジネイターの、
BLACK FLAGによるオリジナル・アルバムとしては28年ぶりの7作目になる作品。

76年に結成し、
83年にオリジナル・メンバーはグレッグ・ギン(g、b)だけになって86年に解散し、
2000年代にベネフィット関係などでライヴをやり、
2013年にツアーを行なって本格的に復活している。

ドラムはGONEなどでグレッグとやってきているグレゴリー・ムーア。
ベースはデイル・ニクソン・・・すなわち『My War』と同じくグレッグが弾いていると思われる
(現ベーシストのSCREECHING WEASELのデイヴ・クラインは昨夏加入した模様)。
ヴォーカルは現時点では流動的みたいだが、
本作で務めているのは、
アルバム・デビュー以前の79~80年に在籍してEP『Jealous Again』で歌った
二代目シンガーのロン・レイス(通称チャボ)。
グレッグが一人で書いたラスト・ナンバー以外の曲はグレッグとチャボの共作だから、
アルバム制作に向けてチャボが集中して取り組んだようである。


約44分22曲入りというかつてないヴォリュームに
ありったけの曲を詰め込んだことがうかがえる。
アップ・テンポのパンク・ロック・チューン中心ではある。
だが少なくても例によってみんなで仲良く拳を振り上げて合唱するような曲はほとんどない。
リスナーを煙に巻くBLACK FLAGならではのニヒリズムはなんも変わってないってことだ。
俺らは好きにやるからおまえらも好きにしろとばかりの不遜なサウンドがむせ返る。
だがファンに媚びてないから、
体裁を気にして外ヅラだけはいい正義の味方の善人みたいなのよりは百万倍信用できる。

1秒聴けばすぐ“グレッグ・ギン!”だとわかるフリーキーに荒くれた響きは健在だ。
ただしメンバー・チェンジが激しかったにもかかわらず
メンバー全員が曲を持ち寄るスタイルだった以前のBLACK FLAGの作品とは違い、
少なくても作曲はすべてグレッグと思われるからほぼ一色だ。
チャボのルーズなヴォーカルを活かしたような楽曲でもある。
けどグレッグが様々な名義でリリースしている2000年代以降のアルバムのレイドバック風味を持ち込んでもいる。
グレッグはテルミンとオルガンもやっている。
チャボのヴォーカルはパンク・ロック・スタイルだが、
84年以降のBLACK FLAGの変態路線とも言える。
ファンキーな調子の曲が多い。
だが肉体的というよりは、
しけている。

このクダグダ具合、
出そうと思っても簡単には出せないだろう。
タイトにまとめようとするでもなく、
わざとらしくノイジーに作り上げるでもない。
グレッグ主宰のSST Recordsの王道とも言える職人芸だ。
何度も聴いているとクセになる。
要は“スルメ盤”なのである。

裏が真っ白の薄い紙一枚のジャケットが象徴するように、
とりあえずCDというフォーマットにはこだわりがないようだ。
ぼくが知る限りここ数年のグレッグ・ギンものがそんな感じだから、
レーベル主宰者の彼の意向だろう。

関係者の話よれば
極太縦線4本のロゴを使用するだけでかなりの金がかかるという。
そのロゴの考案者でありかつてBLACK FLAGのほとんどジャケットを描いたグレッグの弟ながら
兄弟間でかなり仲が悪いらしく、
レイモンド・ベティボンの画を使うことは難しかったと思われる。
にしてもこのジャケット・・・最初から“試合放棄!”みたいな画である。
“これでも喰らっとけ!”ってな具合で問答無用である。

ギターを弾きながら
ファンが困惑する様子を眺めてほくそ笑むグレッグ・ギンの顔が目に浮ぶ快盤、
否、怪盤である。


★BLACK FLAG『What The...』(SST SST391)CD
元々LPでリリースしていたSST RecordsのCDは強度が物足りない作品が多いが、
音質も問題無し。


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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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