なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

映画『赤×ピンク』

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本作の数か月後に映画も公開される2008年の『私の男』で直木賞を受賞した
桜庭一樹による2003年刊行の同名小説の映画化。

2010年代に入ってから仮面ライダー・シリーズの諸作を手がけたことで知られる坂本浩一の監督だ。
“女性の肉体の絡み”を含む女性アクションものの監督作品という点では、
私的映画ベスト10にも入れた昨年の『009ノ1 THE END OF THE BEGINNING』の流れも感じさせるが、
岩佐真悠子が完全な主役でストイックなその映画とは違い、
主役級の数人の女性がアクションを繰り広げて砕けた味もある甘酸っぱい青春映画としても楽しめる。
主演は芳賀優里亜だが、
多田あさみと水崎綾女と小池里奈も主役に迫る目立ち方なのだ。
お調子者では終わらない“ガールズ・ブラッド”のオーナー役の山口祥行、
千夏の夫で“ガールズ・ブラッド”をネチネチいたぶる卑劣な陰湿男役の榊英雄、
繊細なトレーナー役の品川祐らの男性陣も、
いい味を出している。


廃校になった東京・六本木の小学校でコスプレした女性たちが夜な夜な繰り広げる
非合法の“地下”格闘技イベント“ガールズ・ブラッド”が舞台だが、
メインの4人はそれぞれに事情ありだ。
性同一性障害に苦しみ親元から離れて何年も連絡を取ってない皐月(芳賀優里亜)。
空手一家に育った本物の格闘家でDVの夫から逃げてここにたどりついた千夏(多田あさみ)。
女王様のSM嬢ながら子供の頃から親などの周りの人間の期待に応える生き方をしてきたミーコ (水崎綾女)。
囲われてきた人生の中で彼女たちの戦いを見て憧れて仲間に入った内気なロリータ顔のまゆ(小池里奈)。

“ガールズ・ブラッド”の面々は
小競り合いを起こしつつエロチックな愛と涙の体育会系のノリで楽しく刺激的な日々を送っていたが、
千夏の親が築いた空手一門をのっとった千夏の夫は逆上していた。
武道館等での本格的な格闘技を目指す自分の元から逃げた妻がアンダーグラウンドの怪しい場に移ったことが
許せない。
まもなく“全面戦争”に突入。
敵が全面的につぶしにかかってきたがゆえに“ガールズ・ブラッド”の面々は結束を強めるが、
千夏の夫のサディズムの“引力”でその一部が崩れてしまう。
“ガールズ・ブラッド”の中で結ばれた“愛”も崩壊しかかったが、
生きがいの場の“ガールズ・ブラッド”の存続と“愛”を復活すべく彼女たちは正々堂々と“ケリ”つける。

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坂本浩一監督ならではの炸裂したアクションと桜庭一樹の女性ならではの視点が活きたデリケイトな原作が
絶妙にブレンドしている。

もちろん多少スタントマン等が使われているだろうが、
水崎綾女だけでなく芳賀優里亜も多田あさみも小池里奈もアクション・シーンで奮闘。
設定は異なるし『赤×ピンク』の方がモダンで音楽も派手だが、
いかがわしい匂いもムンムンだから『カリフォルニア・ドールズ』が好きな方もイケるのではないだろうか。
格闘シーンが多いから大胆な格好もたっぷりなのだが、
キャットファイトとプロレスすなわちアングラと“本格派”の間のアナーキーな取っ組み合いならではの、
お色気とセクシーがブレンドされた怪しく妖しい香りが漂ってくる。


恋に落ちた芳賀優里亜と多田あさみは濡れ場などで惜しげもなく全裸を披露。
“R+15指定”も納得の露出度だが、
“R+18指定”になるスレスレと思しきキワドいシーンもある。
特にベッドシーンでの二人の愛の営みは
男女ともいわゆる女性同士とも違うとろけるエロティシズムが光る。
自ら慰めるシーンも息を呑むほどハードで艶めかしい熱演だ。
また水崎綾女と小池里奈の女性同士の一種の愛もレズビアンとは一味違う淡い愛が醸し出されている。

説明過剰な最近の多くの日本映画と違って尾を引かせないスッキリしたラスト・シーンもいい。
ベタといえばベタだが、
ハードなシーンが続いたからこういう締めは思いつかなかった。
芳賀優里亜が演じる皐月の長年の思いが凝縮され、
さわやかな感動を呼ぶ。

水崎綾女は言った。
「檻ってさ、自分からぶっ壊すものなんだよね」と。
そう、
仲間に勇気づけてもらうことはあっても、
一人一人が囲まれた檻は自分一人でぶっこわすものなのである。


★映画『赤×ピンク』
2014年/118分/R+15指定
2月22日(土)角川シネマ新宿ほか 全国ロードショー。
http://aka-pink.jp/


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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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