なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

映画『GET ACTION!!』

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Photo by Masao Nakagami(TARGET EARTH)


活動期間は93~95年の3年弱ながら世界的な活動展開を繰り広げて今も各国にファンが絶えない、
東京拠点のパンク/ロックンロール・バンドTEENGENERATEのドキュメンタリー映画。
『極悪レミー』などのロック映画とホラー映画の上映で知られた今は亡き東京のシアターN渋谷の名物支配人で、
今もなおTEENGENERATEの熱狂的なファンの近藤順也による監督処女作だ。
撮影と編集を手掛けたのは『77BOADRUM』(2008年)で有名な川口潤である。


ほとんどの曲を作ったFink(vo、g~現RAYDIOS)とその兄のFifi(g、vo~現FIRESTARTER)をはじめとして、
Sammy(b、vo~現FIRESTARTER、WINSTONS)、Suck(初代ds)、Shoe(二代目ds)らの元メンバーを中心に、
関係者の発言を盛り込みつつ演奏シーンを織り込んだ構成。
いわば音楽ドキュメンタリーもののオーソドックスな作りながらライヴの模様は少なめだ。
まだ“動画撮影”の敷居が高い時代に活動していて公開できるような画質等の映像が少ないこともその一因だろう。
というわけで昨年の再編ライヴの模様以外の大半はプライヴェイト・ヴィデオ級のクオリティとも言える。
だがいざそういう画質のライヴ映像を映画館で映し出すと、
彼らの音楽と同じくTEENGENERATEのrawな魅力がスクリーンから炸裂するのであった。

サブ_5
© 2014 NIPPAN, KING RECORDS All Rights Reserved.

97年のメジャー第一弾作『狼惑星』で彼らの「Let’s Get Hurt」をカヴァーした盟友GUITAR WOLFのセイジをはじめ、
熱心なファンの方々にはお馴染みの40名に上る関係者が入れ代わり立ち代わり登場し、
TEENGENERATEの素晴らしさを次々と語っていく。
バンド仲間やレーベル主宰者などのシーンの関係者にいかに支持とサポートをされていたかが伝わってくるから、
そういった面々の大量登場もそれはそれでいい。

でも実は“場違いな人たち”の登場が面白く、
身内ウケ映画に留めない監督やプロデューサーのナイス!なセンスの人選だ。
ある意味TEENGENERATEと対極のパンク解釈の人だけにSTRUMMERSのイワタの登場が痛快で、
この映画でコメントをすることになった主因であるFinkとの“秘めた関係”を明かす。
米国のPOSIESのケン・ストリングフェロも意外な登場で愉快だが、
オルタナティヴ・ロック系ながら根がパワー・ポップという点でTEENGENERATEと接点がある。
さらにホント“teen”という言葉をバンド名に入れた時点で心が一緒の“異母兄弟”と言える、
英国スコットランドのギター・ポップ系バンドTEENAGE FANCLUBのノーマン・ブレイクの登場もGJ。
これまた既成の荒くれロックンローラーよりもこの映画に出演するにはふさわしく、
そういう点でさりげなくTEENGENERATEのキャラを炙り出しているのであった。

サブ_1
Photo by Masao Nakagami(TARGET EARTH)

そういった関係者たちの“肩書き”も最初の登場のシーンで名前とともにテロップで表示されるが、
ある程度この界隈のシーンの予備知識がないとどういうポジションの人なのかわからないだろう。
けど“肩書き”の意味がわからなければ無視して先に進んでも問題はない展開で、
必ずしもマニアックな作りではない。
何しろ話の中でTEENGENERATEの“ルーツ”のバンドなどの固有名詞がほとんど登場しない。
前身バンドのAMERICAN SOUL SPIDERSの12”レコードが
英国のハードコア・パンク・バンドのHERESYを解散させた直後のカルヴのレーベルから出た刺激的なネタはおろか、
MANOWARにもつながるDICTATORSがバンド名の元ネタということにすら映画の中で触れられていない。

そういう話題の代わりに、
当時の日本のほとんどのバンドが現在ほど盛んではなかった海外での多数の音源リリースやツアーなどの展開を、
どのような流れで行なったのかわかりやすく取り上げられている。
さらにTEENGENERATEを取り巻いたシーンやTEENGENERATEが切り開いたシーンなど、
状況論的な話にも時間を割いている。

英語で歌うようになったきっかけについては語られているとはいえ、
メンバーの意識が表われる歌詞の内容についてのツッコミもない。
TEENGENERATE自体のメンタリティーやメンバーの内面はどうなのかといえば、
映画の端々から滲み出てくる“ダシ汁”みたいなものから感じる映画である。

サブ_3
© 2014 NIPPAN, KING RECORDS All Rights Reserved.

ロックンロールといってもTEENGENERATEは、
“セックス、ドラッグ、ロックンロール”の三拍子に代表される“不良自慢”に裏打ちされた
伝統的なロックンロール・アティティテュードではない。
そういった点でも80年代以降のいわゆるガレージ・パンクの流れをくむ。

当然のことながらトークもメンバーの話が一番興味深い。
前身バンド時代から語る兄弟のトークが特に面白く、
とりわけ静岡県に帰郷した際の撮影にTEENGENERATEの本質が表われている。
それこそ内外での多数の音源リリースの話や日本でのライヴや海外ツアーの話以上にである。

出身校の敷地内に入り込んで挑む“停学 or 退学覚悟の行為”は微笑ましいし、
ティーンエイジャーの頃に通い詰めたレコード店での店主との再会や
レコードを借りた塾の先生との再会、
チラリ!としか映らないが御両親と思しき方々とのなごみの一幕など、
“兄弟物語”として楽しめるこのへんの穏やかなシーンに彼らの魅力が集約されている。
あれから20年経って一人間として歳を重ねたというのもあろうが、
ビッグマウスの顔も覗かせた活動当時のインタヴュー記事では隠れていたアットホームなキャラに
こっちの顔もほころぶのであった。

サブ_2
© 2014 NIPPAN, KING RECORDS All Rights Reserved.

3年弱で燃焼したTEENGENERATEの活動に、
ぼくは80年代初頭のワシントンDCハードコアのバンドたちを思う。
これまた“teen”つながりなのも偶然ではないイアン・マッケイも在籍したTEEN IDLESから始まるシーン、
すなわち初期DISCHORD Recordsのバンドたちで、
元々いわゆる不良っぽさと別の姿勢で昔とは違う音楽スタイルで今も別のバンドで音楽を続ける点以上に、
“青春”の一時(いっとき)の輝きと炸裂の匂いで通じる。

映画全体のまったりした佇まいは、
本作と同じく川口潤が手掛けたというのも関係しているであろう
BLOODTHIRSTY BUTCHERSの映画『kokorono』(2011年)も思い出した。
BLOODTHIRSTY BUTCHERSが昨年出した最新アルバムのタイトルは『青春』だった。

TEENGENERATEをやっていた頃にメンバーは二十代に突入していた。
いわばティーンエイジャーを突き抜けた後の“青春映画”である。


★映画『GET ACTION!!』
2014年/カラー/ステレオ/ビスタ/99分/BD上映
3月15(土)~28日(金)、新宿シネマカリテにて限定レイトショー。
http://www.get-action.net/


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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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