なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

GRAND MAGUS『Triumph And Power』

GRAND MAGUS『Triumph And Power』


スウェーデンの“ヘヴィ・ロック・トリオ”GRAND MAGUS(グランド・メイガス)による約2年ぶりの7作目。
最近のヘヴィ・ローテーションはコレだ。
猛烈にクールな逸物である。

JB(vo、g)が2000年代に二代目シンガーを務めて2枚のアルバムに参加し、
2010年代からGRAND MAGUSでも叩くラドウィッグ(ds)がずっと在籍といった具合に、
メンバー二人がSPIRITUAL BEGGARSと掛け持ちしてきている。
にもかかわらずコンスタントなリリースやライヴ活動を続け、
JBと共にオリジナル・メンバーのフォックス(b、backing vocal)も健在だ。


プロデュースとミックスは5作目の『Hammer Of The North』(2010年)以来これで3作続けて手がけ、
2000年代後半以降にENTOMBEDでベースやギターも弾いてきたニコ・エルグストランド。
ギターもベースもスネア/キック・ドラムも全部がアタック感十分でよく鳴っている。
それでいてヴォーカルがガツン!と前に出てきている。
音圧に頼らず濡れ具合と乾き具合も絶妙のシンプルな音作りで、
ギターとベースとドラムがヴォーカルの尻を蹴飛ばし続けるミックスも素晴らしい。

2001年のデビュー・アルバム『Grand Magus』をはじめとして4作目までのアルバムは、
リー・ドリアン(NAPALM DEATHCATHEDRALSEPTIC TANK)主宰の
RISE ABOVE Recordsからリリースしていたバンドである。
というわけで当時は今よりドゥームな色も強めだったが、
その頃の“ドゥーム・ブルース”のトーンの香りも多少残しつつ
RISE ABOVEからリリースしなくなったのも納得のストロング・スタイルに深化している。
80年代初頭までのWHITESNAKEがキーボードを抜いてドゥーミー&メタリックになったような感覚だ。

前述の『Hammer Of The North』リリース時にインタヴューした際、
GRAND MAGUSはヘヴィ・メタルを意識してやっていると言っていた。
その流れにあるとはいえ渋すぎて震える。
いわばルー・リードが“ロックンロール・ハート”なら、
GRAND MAGUSは“ヘヴィ・メタル・ハート”、
そういう渋さなのだ。

もちろんSPIRITUAL BEGGARSとの接点も多少持つ音楽だが、
何より大きな違いはあちらで弾いてなかったJBのギターがたっぷり聴けること。
ルー・リードもそうだったように、
ギターを弾く人間が弾かないで歌っている時と弾きながら歌っている時とでは魂の入り具合が違う。
まさにメタル!のギター。
いわゆる様式美って意味じゃない。
ほんとに脳に引っかかる金属質の音色なのだ。
刺々しく輝いている。
メタリック・ブルージーなギター・ソロにも痺れる。
アコースティック・ギターも心憎い使い方をしとる。

ブルースマンの多くはギターを弾きながら歌うことで感情濃度が高まる。
強靭なJBの喉も単なるハイ・トーンではなくブルースだ。
ポーズつけずに思い切りはらわたから堂々と声を出すがゆえの正直な歌心が格別だ。
“ブルース・パワーメタル”でも言いたい楽曲と相まって、
このアルバムは地に足がガッチリ着いて何が起ころうが揺らぐことのないロックである。
もう音そのものがタイトルに偽り無しの響き。
トラッド風のアコースティックなインストと哀感溢れるインストを含みつつ、
侘び寂びが効きまくった鋼の情感を醸し出す。

「On Hooves Of Gold」「Steel Versus Steel」「Fight」「Triumph And Power」「Dominator」「Arv」
「Holmgång」「The Naked And The Dead」「Ymer」「The Hammer Will Bite」「Blackmoon」(ボーナス・トラック)
といった曲名を眺めるだけでも燃える。
スウェーデン語と思しき曲名も含むが、
歌詞はすべて英語だ。

演奏だけでも物を言うバンドながら、
MANOWAR風のタイトルに象徴される言葉の連打が楽曲の勇壮なロマンを高めている。
人生は勝たないと死ぬ。
肉体も精神も鍛えてパワーつけておかないと死ぬ。
マッチョもヘッタクレもない。
それが現実だ。
人生すべてが戦いである。
人生は死ぬまで行軍である。

S.O.D.やCRO-MAGSあたりの“武闘派”も含めてアメリカのバンドだと物騒になりかねない男臭く頑丈な音だが、
高圧的にならないのがスウェーデンならではだ。
要は“筋肉ホルモンのバランス”が絶妙なのである。
ストロングだからこそリリカルな深みに号泣も必至。
デリケイトな感情の淵にも耳を傾けずにはいられない。

全曲ココロと下半身を同時に揺さぶるソングライティング。
どんだけエナジーになるのかわからんほど強力な声と音と言葉の息吹。
音楽に対する絶えること無き誠意と情熱、自分らが放つ一つ一つの音と言葉に対する責任。
みるみる力が漲ってくる。
体温は対極ながら根っこでつながっているJOY DIVISIONの曲名じゃないが、
まさに“heart and soul”なアルバムである。

グレイト。


★GRAND MAGUS『Triumph And Power』(NUCLEAR BLAST 27361 32070[NB3207-0])CD
12ページのブックレット封入。
ぼくが購入した↑のカタログ・ナンバーのCDは三面デジパック仕様で1曲追加の46分9曲入り。


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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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