なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

ALLMAN BROTHERS BAND『Play All Night: Live At The Beacon Theater 1992』

ALLLMAN BROTHERS BAND EICP1602-3


数度の活動停止期間を挟みつつも60年代末から活動を続ける
米国南部ジョージア州出身のアメリカン・ロックの王道バンドによるライヴ盤。
92年のニューヨークにおける2日間のステージから抜粋した計140分16曲入りのCD2枚組である。

キーボード、ツイン・ギター、ツイン・ドラム、ベース、パーカッション、ハーモニカを演奏する
メンバーを擁した8人編成での録音。
元の録り音だけでなくマスタリングもいいのだろう、
いわゆるヘヴィ・メタルのとは違うが伸びやかで艶やかなツイン・ギター・ソロをはじめとして
もちろん全パートがバッチリ聞こえる仕上がりだ。


代表作のライヴ盤『At Fillmore East』(71年)と極力ダブらない曲で構成したそうだが、
「Statesboro Blues」「You Don't Love Me」「In Memory Of Elizabeth Reed」「Whipping Post」を含み、
そのオリジナルLPの曲の半数が入っている。
だがもちろん同じ演奏はしてないし、
曲を自在にふくらませるバンドだから曲の長さも全然違う。

原曲より長くなった曲が多いが、
ディスク1の終盤3曲はコンパクトなアコースティック・セット。
スライド・ギターがむせび泣くとはいえ打楽器も鍵盤楽器も無しで、
ブラケースに織り込まれた六つ折りインナーシートのライヴ写真から察するに
メンバー4人がギターを抱えて腰かけて行なったパフォーマンスと思われる。
コーラス・ワークも特に際立つパートだ。

サザン・ロック・バンドともブルース・ロック・バンドともジャム・バンド評されるし、
それはそれで正解だが、
結局はロックンロールだ。
70年代のプレイよりも洗練されているとはいえ、
何より国土のほとんどが田舎の国ならではのアメリカン・ロックのイメージを120%体現している。
ストーナー系も含めてアメリカの土臭いロック・バンドの大半は
ALLMAN BROTHERS BANDを好きだろう。

ブルースをズルズル引きずっているこういう音楽は個人的に80年までは苦手で
伝統芸能みたいだからほとんど“敵”ですらあったが、
わざとらしいもののウソ臭さにウンザリするようになってからは“こういう音楽が人間”に思えてきた。

これを聴いていると、
ぼくがALLMAN BROTHERS BANDに目覚めるきっかけになったバンドの
91年までのMARBLE SHEEP & the RUN-DOWN SUN’S CHILLDREN(≠MARBLE SHEEP)が、
AMON DÜÜLの血を根こそぎ抜いてブルースの血に入れ替えて
熱い歌心を百割増しにしたみたいにも感じる。
ツイン・ドラムもさることながら澄み切った叙情なメロディも相通じるではないか。

クレジット上では
創設メンバーのグレッグ・オールマン(kbd)とディッキー・ベッツ(g)がリード・ヴォーカルだが、
“最後の再編の年”と言える89年に加入のウォーレン・ヘインズ(g)もリード・ヴォーカルを取ったようだ。
そんな彼らが歌っていることもなかなか意味深である。
「End Of The Line」なんてタイトルからしてハードコアだし(同名の激情系ハードコア・パンク・バンドもいた)、
「Midnight Rider」の歌詞はMOTORHEADの世界観だ。
単なるレイドバック・バンドではない。

わずらわしいことなんもかも忘れて楽しむのもいい。
鎖みたいな重い絆から解放されたいじゃないか。

もちろん曲の尺と音数は全然違うが、
同じくロバート・ジョンソンやウィリー・ディクソンをカヴァーしている
DR. FEELGOOD~ウィルコ・ジョンソン好きの方も是非。


★オールマン・ブラザーズ・バンド『プレイ・オールナイト~ライヴ・アット・ザ・ビーコン・シアター 1992』(ソニー・ミュージック・ジャパン・インターナショナル EICP 1602~3)2CD
日本盤は、
オリジナル・ライナーの和訳、
読み手に媚びることのない文体で門外漢にも伝わりやすい五十嵐正執筆の丁寧なライナー、
スタジオ録音ヴァージョンの歌詞とその和訳が載った24ページのブックレット封入。
2月26日(水)発売。


スポンサーサイト

コメント

『AT FILLMORE EAST』は今も時々聴きますが他の作品は聴いたことが無かったです。私もブルース等は余り聴かないのですが、この作品は良く聴きました。amon duulをたとえに出されたくだりはまったく同感です!
この2枚組みは是非購入します。

chumbaさん、書き込みありがとうございます。
もちろんALLMAN BROTHERS BANDがamon duulに似ているわけじゃないですが、こういうバンドの文章にそういうバンドを持ってくるのも面白いでしょう。

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事へのトラックバックURL
http://hardasarock.blog54.fc2.com/tb.php/1222-406bc6a3

 | HOME | 

文字サイズの変更

プロフィール

行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

最新記事

最新コメント

最新トラックバック

月別アーカイブ

カテゴリ

未分類 (9)
HEAVY ROCK (241)
JOB/WORK (294)
映画 (262)
PUNK ROCK/HARDCORE (0)
METAL (43)
METAL/HARDCORE (48)
PUNK/HARDCORE (420)
EXTREME METAL (129)
UNDERGROUND? (99)
ALTERNATIVE ROCK/NEW WAVE (123)
FEMALE SINGER (43)
POPULAR MUSIC (27)
ROCK (83)
本 (9)

FC2カウンター

検索フォーム

RSSリンクの表示

リンク

このブログをリンクに追加する

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QRコード

FC2Ad

Template by たけやん