なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

V.A.『Ronnie James Dio This Is Your Life』

Ronnie James Dio This Is Your Life』


50年代後半に音楽活動を始め、
ELF、RAINBOW、BLACK SABBATH~HEAVEN & HELL、
自己のバンドのDIOでの活動で知られる純正ヘヴィ・メタル・シンガーソングライターで、
2010年に胃癌のため享年67歳で亡くなった、
ロニー・ジェイムズ・ディオへのトリビュート盤。

奥さんでありマネージャーでもあったウェンディ・ディオがエグゼクティヴ・プロデューサーを務め、
HIGH ON FIREの『Snakes For The Divine』ルー・リード+METALLICAの『Lulu』も手掛けた
グレッグ・フィデルマンがクリエイティヴ・プロデューサーになって仕上げている。

すべてのヘヴィ・メタル・ファン必携であることは言うまでもないが、
自己表現に対する決意と責任や血を引き継ぐ同志/先達に対する愛情と敬意など、
ヒューマンな観点でも色々と示唆に富む歴史的なトリビュート盤である。
まず前述の二人のプロデューサーの意向が働いていると思しき参加面々のセレクションが心憎い。
もしかしたら契約上の制限や参加拒否もあったのかもしれないが、
ロニーゆかりのミュージシャンが新旧多方面から参加しているのだ。

★★★★★

オープニングはANTHRAXによるBLACK SABBATHの「Neon Knights」。
この人たちはどんな曲をカヴァーしても上手いし選曲も巧い。

2曲めは俳優のジャック・ブラックとカイル・ガスの米国のTENACIOUS DがDIOの「The Last In Line」を披露。
彼らが脚本・主演・制作を務めた2006年の映画『テネイシャスD 運命のピックをさがせ!』にロニーは出演している。

3曲目はADRENALINE MOBがBLACK SABBATHの「The Mob Rules」をカヴァー。
マーク・ポートノイ(元DREAM THEATER)がドラム時代の録音だ。

4曲目はSLIPKNOTのフロントマンでもあるコリィ・テイラー(vo)と元SOULFLYAMEBIXのロイ・マヨルガ(ds)の
STONE SOUR勢らによる「Rainbow In The Dark」。
DIOの曲だがコリィの確かな歌唱力はハードコアが苦手なメタル・ファンの心も打つはずだ。

5曲目は女性ヴォーカルのHALESTORM「Straight Through The Heart」。
これまたDIOの曲である。

6曲目はSAXONのビフ・バイフォードがリード・ヴォーカルで
MOTORHEADがバックを務めたRAINBOWの曲「Starstruck」。
むろんレミーもバッキング・ヴォーカルで喉を震わせとる。

7曲目はドイツのSCORPIONSの「The Temple Of The King」。
RAINBOW時代の曲を同時代に同じフィールドで生き続けた同志ならではの濃い愛情エモーションたっぷりで、
むせ返るカヴァーに仕上がっている。

8曲目は同じくドイツ産で女性ヴォーカルのDOROの「Egypt (The Chains Are On)」。
DIOの曲がピッタリとハマって潤いが止まらないこれまた好カヴァーだ。

9曲目はKILLSWITCH ENGAGEがやはりDIOの曲「Holy Driver」をやっている。
このトリビュート盤への参加で株を上げたバンドの一つだろう。
彼らのミュージシャンシップのポテンシャルの高さとDIOからの影響もよくわかる本作屈指のカヴァーだ。

10曲目では元DEEP PURPLEのグレン・ヒューズ(vo)が、
サイモン・ライト(ds~元AC/DC)、クレイグ・ゴールディ(g)、スコット・ウォーレン(kbd)、
ルディ・サーゾ(b~元QUIET RIOT、オジー・オズボーン・バンド)というDIOのメンバーだった面々と、
RAINBOWの「Catch The Rainbow」をやっている。

11曲目は、LYNCH MOBのオニィ・ローガン(vo)、B'zとも活動しているブライアン・ティッヒ(ds)、
元RAINBOW勢を代表してジミー・ペイン(b~元WILD HORSES)、元DIOのローワン・ロバートソン(ds)がプレイ。
BLACK SABBATHの『Dehumanizer』の「I」という“ロニーの重箱の隅”をつついた渋すぎる選曲に痺れる。

12曲目はこれまたヘヴィ・メタル同志のJUDAS PRIESTのロブ・ハルフォード(vo)、
BLACK SABBATH~DIO~HEAVEN & HELLでロニーの片腕だったヴィニー・アピス(ds)、
元DIOのダグ・アルドリッチ(g)とジェフ・ピルソン(b)とスコット・ウォーレン(kbd)で
RAINBOWの「Man On The Silver Mountain」を披露。
無理のない発声のロブのヴォーカルも心地よい。

13曲目でMETALLICAはRAINBOWメドレーで美味しいところをかっさらう。
「A Light In The Black」~「Tarot Woman」~「Stargazer」~「Kill The King」と続ける中で、
「Kill The King」がスラッシュ・メタル・ルーツの一つということも知らしめるお見事な選曲だ。

本編ラストにはDIOの『Angry Machines』(96年)収録の本作タイトル曲「This Is Your Life」を、
そのまま収録しているようだ。
当時のモダンな新世代メタルのヘヴィな強度を取り込んだアルバムの曲だが、
その中でも異彩を放つバラードのこの曲は歌詞も含めて本作の締めにふさわしい。

アンコールのように続く日本盤のボーナス・トラックも悪くない。
15曲目でSTRIPERはBLACK SABBATHの必殺チューン「Heaven And Hell」を披露。
そして最後の最後は、
DIOの最終ラインナップを引き継ぐ形で始まったDIO DISCIPLESが、
初期DIOの「Stand Up And Shout」を“セルフ・カヴァー”。
ヴォーカルはもちろんロブ不在時にJUDAS PRIESTでお勤めを果たしたティム“リッパー”オーウェンである。

★★★★★

ロニーの歌唱法はヘヴィメタル差別主義者があげつらうヘヴィ・メタルの様式美の象徴だったし、
ファンタジックなロニーの暗喩表現は
物事を表面的にしか見ない評論家連中の“ヘビメタはドラゴンがどーのこーの”の格好の標的だったが、
逆に言えばだからこそロニーはヘヴィ・メタルの化身であった。

ぼくがナマでロニーを体験したのは一度だけだ。
サポート・アクトのSPIRITUAL BEGGARS目当てで観に行った2005年のライヴだが、
あの声をナマで浴びたら色々考えさせられるだろう。
別にシンガーが巧い必要もないのだが、
何にしてもやるなら一生懸命がんばってやる!という極々ベーシックなことを再認識した。
精進して磨き上げられた声はデータとかでテキトーに作った音声の底の浅ささを露わにした。
全盛期をナマで知る人たちの中には“微妙”に感じた人もいるライヴだったようだが、
取ってつけた言い訳無しのストロング・スタイルにぼくは感銘を受け、
DOLL誌の連載でも言及したほどである。
甘え無しで厳しくおのれを研ぎ澄まして解き放つ表現にジャンルは関係ない。
“個”として向き合えばいいだけの話だ。

ロニーのドキュメンタリー映画というのも観たくなるトリビュート盤である。


★V.A.『ディス・イズ・ユア・ライフ~ロニー・ジェィムズ・ディオ・トリビュート』(ワーナーミュージック・ジャパン WPCR-15630)CD
2000年代のDIOのアルバムでお馴染みのマーク・サッソのジャケットの三面デジパック仕様。
各々1ページずつ割り振られてほとんどがロニーと写った写真付の24ページのオリジナル・ブックレットに加え、
日本盤は、
そこに載っている参加陣のコメントとKoh Sakaiの文章を含む英文ライナーの和訳と、
歌詞/和訳が載った28ページの別ブックレットも封入。
日本盤は2曲追加で約79分16曲入りだ。
3月26日(水)発売。


スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事へのトラックバックURL
http://hardasarock.blog54.fc2.com/tb.php/1237-53e1a635

 | HOME | 

文字サイズの変更

プロフィール

行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

最新記事

最新コメント

最新トラックバック

月別アーカイブ

カテゴリ

未分類 (9)
HEAVY ROCK (241)
JOB/WORK (294)
映画 (262)
PUNK ROCK/HARDCORE (0)
METAL (43)
METAL/HARDCORE (48)
PUNK/HARDCORE (420)
EXTREME METAL (129)
UNDERGROUND? (99)
ALTERNATIVE ROCK/NEW WAVE (123)
FEMALE SINGER (43)
POPULAR MUSIC (27)
ROCK (83)
本 (9)

FC2カウンター

検索フォーム

RSSリンクの表示

リンク

このブログをリンクに追加する

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QRコード

FC2Ad

Template by たけやん