なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

Morrissey『“Your Arsenal”』

Morrissey『“Your Arsenal”』


The SMITHSのフロントマンだったモリッシーが92年に出したサード・ソロ作のライヴDVD付の新装リイシュー。


本編は約40分10曲入りでオリジナル盤と同じ曲数だが、
今年リマスタリングされた音が使われていて響きの強度が増している。
ロカビリー~サーフ~ブルース~R&Bのシンプルなフォーマットを踏まえた曲ながら
モリッシー流のガレージ・サイケやフォーク・ロックの音のテイストが宿る、
“プログレッシヴな歌ものロックンロールだ。
プロデューサーのミック・ロンソンがバンド・メンバーを務めていた頃の70.年代前半のデイヴィッド・ボウイのように、
アルバム全体でドラマチックな展開を繰り広げているのだ。
憂き世に浮き酔いながらアタック!する代表作だと再認識させられる。

モリッシーがNEW YORK DOLLSの大ファンということはわりと知られていると思うが、
80年代初頭に英国のOi!パンク・ムーヴメントをリードしたCOCKNEY REJECTSの大ファンでもある。
The SMITHSやモリッシーはケンカが弱そうな連中だけでなく、
実は一般の音楽メディアから黙殺されるその対極の腕っ節が強い連中にもこよなく愛されている。
物事何でも二律背反なのである。
米国の荒くれ系中心のトリビュート盤『The World Still Won't Listen - A Tribute To The Smiths』(96年)で、
The SMITHSの曲ではなく本作の1曲目「You're Gonna Need Someone On Your Side」を
ANAL CUNT(AxCx)がカヴァーしているのも象徴的だ。
何しろ“Queen Is Dead”“Hung The DJ”“Viva Hate”といったフレーズを謳ってきた人で、
スノッブに媚びを売らない市井の声を歌う人である。
そういったグレイトな臭みや悪意は、
大半の曲を彩るまったりしたイングランド臭いメロディ・ラインと同じくThe SMITHSの頃から変わっていない。


DVDには91年10月31日のカリフォルニアでのライヴを約63分18曲収録。
その2ヶ月ほど前にモリッシーは最初の日本ツアーを行なっている。
ぼくは日本武道館での東京公演を観たが、
舞台やシチュエーションが違うことを差し引いてもその時の異様な空気感には及ばない。
ぼくが観たそのライヴはステージと客席との敷居がいい意味で高い武道館だったから、
ほとんどのファンはモリッシーの足元にも近づけなかった(確か一人だけ果敢にも駆け上ろうとしていた)。

このDVDを観て個人的に思い出すのは95年の2度目の日本公演。
ぼくが観たのは現在恵比寿に移っていて当時は新宿のリキッドルームでのライヴ。
ここでのライヴもその時みたいにセキュリティがほとんど規制してなかったのであろう、
序盤は熱狂的な男女のファンが次々とステージに上がってで抱きついて歌えなくなるシーンもある。
まったりくねくねダンスを踊りつつ、
モリッシーも執拗に手を差し伸べながら歌い続ける。

やや暗めで青系が目立つ照明のためか“黒”がつぶれ気味の映像だが、
モリッシーと同じくオールバックの髪のメンバーで固めたバック・バンドの4人にもカメラを向けて
しっかり映し出している。
使われているベースはエレクトリック・ベースだけでなく、
適宜ベーシストが弾きながらコントラバスを振り回すシーンもクールだ。


★Morrissey『“Your Arsenal”』(PARLOPHONE 8256434879 CDCSDX 3790)CD+DVD
ぼくが買った↑のカタログ・ナンバーのものは二つ折り紙ジャケット仕様で、
DVDは日本製のDVDプレイヤーで再生できる。


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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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