なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

映画『CRASS:ゼア・イズ・ノー・オーソリティ・バット・ユアセルフ』1/2 【CRASS プロフィール】

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映画『CRASS:ゼア・イズ・ノー・オーソリティ・バット・ユアセルフ』が、
5月3日(土)から新宿K’s cinemaを皮切りに全国順次公開。

チラシなどのコメントとして書いた
「てめえのケツはてめえで拭け!のアナーキー&ピース・ドキュメンタリー。
ジョン・レノン好きもビョーク好きもCARCASS好きもCATHEDRAL好きもアンチCRASSもみんな見るべし。」
どおりの映画だから、よろしくお願いします。

http://www.curiouscope.jp/CRASS/
のオフィシャル・サイトで解説とプロフィールを書かせてもらいましたが、
念のためこちらにもupしておきます。
まず今日はプロフィールを。

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【CRASS プロフィール】

 CRASSのスタートはロンドン・パンクのムーヴメントがピークを迎えた77年のことだが、農業を営める広大な土地付きの住居をリーダーのペニー・リンボーがロンドン郊外のエセックス州で見つけた67年まで、起源はさかのぼる。

 ダイヤルハウスと呼ばれるその家は出入り自由で、文学や絵画などの芸術をはじめとする表現活動を志す人たちが訪れていたが、その一人のスティーヴ・イグノラントがCLASHのライヴに刺激を受けてパンク・バンドの結成をペニーに持ちかけて結成される。ペニーのドラムとスティーヴのヴォーカルだけでデモを数曲録音した後に他のメンバーが次々と参入。ヴォーカル、2本のギター、ベース、ドラムの5人でのプレイを基本にしつつ曲によって多少ヴォーカルが入れ替わり、強烈なコラージュ・ジャケットのアートワーク担当のメンバーも含む男性5人と女性3人の実質8人編成で活動した。CRASSのアティテュードを象徴するように一般的なバンド形態に囚われず自由な体制をキープし、大所帯にもかかわらず7年間メンバー・チェンジ無しだったことも求心力の強さを物語る。

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 初期の代表曲「Punk Is Dead」の歌詞にも表しているように、商業主義に絡め取られたSEX PISTOLSやCLASHなどの初期パンク・バンドを反面教師にし、徹底したリアルDIYの道を貫く。リリース元のクラス・レコードのレーベル運営も、レコーディングも、アートワークも、プロモーションやライヴの手配も、すべて自分たち自身で行なうという、パンクの基本のDIYアティテュードを突き詰めた。そもそもCRASSの根城のダイヤルハウスにおける日常生活自体が自給自足だった。

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 CRASSは過去のどのバンドよりも政治的な展開をした。78年10月録音の18曲入りのデビュー盤『The Feeding Of The 5000』のジャケットにも書かれたフレーズの“アナーキー&ピース”の理念に基づく、平和主義を基本に活動。誰にも支配されず独立した一人一人の行動が平和につながるということだ。反戦、反核、反キリスト教、反物質主義、反動物虐待、反性差別、反環境破壊などの思いを表していた。要はあらゆる既成の価値観を疑え!といったことだが、既成の多くのパンクに宿るニヒリズムにも否定的だった。“fuck”を多用した挑発的な歌詞だけでなく、単なるデモの類に留まらない直接行動もCRASSが先駆けた重要な表現で、過激なactivist(≒活動家)とは一線を画して思慮深く非暴力を貫いたことも忘れてはならない。

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 もちろんCRASSの曲はパンク・ロックと言えるが、伝統的なロックンロールのフォーマットから解き放たれていた。ペニーのビートは“マーチング・ドラム”のリズムを多用し、2本のギターはファズが猛烈に効いたモノトーンの音で、既成のパンク・スタイルを大きく逸脱。ノイズやコラージュもミックスしていたが、頭デッカチには陥らずに飛び跳ねてダンスできる扇情的なサウンドがCRASSの身上だった。5枚のオリジナル・アルバムはもちろんのこと、10枚近く出したシングルも一枚一枚が独立した一つの作品であった。CRASSのモチーフは国内の問題が多く英国から普遍的に世界を見ていく手法だったが、日本語のナレーションから始まり日本の伝統音楽もブレンドした81年の衝撃のシングル「Nagasaki Nightmare」では、広島の陰に隠れがちな長崎に焦点を当てていた。

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 インタヴューによって発言が異なるとはいえCRASSは、ジョージ・オーウェルの小説のタイトルを意識したと思しき“1984年”に向かってカウントダウンしていく活動をしていたが、メンバー間の不和と長年の闘争による疲弊が重なって結果的に84年に終焉を迎えた。
 CRASSが他のたくさんのバンドとアーティストの作品を自分たちのレーベルから出したことも付け加えておく。ビョークがヴォーカルだったK.U.K.L.も2枚のアルバムをリリースしており、ポピュラーな音楽を世界に放ちつつステージ上でチベットやコソボの問題に触れるなど世界を騒がす彼女に代表されるように、CRASSの影響は無限に広がっている。


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コメント

歌詞

はじめまして!crass好きです(^^)予告編を観ましたら、歌詞にきちんと日本語訳がしてあったので期待大ですね♪

余分三兄弟+さん、書き込みありがとうございます。
映画のいわゆるセリフみたいに歌っている声と同時瞬間的に言葉が目に入ってくるから思いが一層ストレートに感じられます。ちなみに歌詞の和訳に関しては一切いじっていませんが、日本語字幕全般には多少アドバイスもさせていただきました。

歌詞

安心しましたぁ(*´ω`*)パンクドキュメンタリーは、uk/dk,デクライン等いろいろな作品を観ているのですが、歌詞に字幕が入って無かったのが気になっていたのですが、それならば信頼出来ます。o(^o^)o

書き込みありがとうございます。
確かにパンク・ドキュメンタリー映画には歌詞が日本語字幕になってないものの方が多い気がします。“2/2”の方に書きましたが、この映画は歌詞がスクリーン上にタイプライティングされていくかのように映し出される作りを尊重し、それを極力和訳した感じで良いです。CRASSの歌詞は日本語化が難儀らしいですが、曲の中で言いたいことのポイントは押さえられている日本語字幕だと思います。

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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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