なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

BLONDIE『Greatest Hits: Deluxe Redux/Ghosts Of Download(deluxe edition)』

BLONDIE.jpg


BLONDIE結成40周年!ということで“4(O)EVER”と題されてリリースされた約3年ぶりの新作。
ここではぼくが買ったDVD付のトータル3枚組のdeluxe editionを紹介する。


まず『Greatest Hits Deluxe Redux』というタイトルのCDは、
クレイグ・レオンが99年にプロデュースした「Maria」(98年の復活作『No Exit』収録曲)以外は
既発表曲を2012~2013年に再レコーディングした10曲で構成されている約42分11曲入り。
メンバーのクレジットはないが、
おそらく現メンバーによる録音だろう。

「Heart Of Glass」で始まり、
NERVESの「Hanging On The Telephone」らのカヴァーも含めて“BLONDIEの代表曲”ばかりだ。
無理して全アルバムからまんべんなく!にせず、
“本音”で特にお気に入りの曲を厳選して録ったようなセレクョンである。
まさにグレイテイスト・ヒッツ!と言いたいところだが、
「Rip Her To Shreds」でアルバムを締めているのが興味深い。
ファースト・アルバム『Blondie』(76年)からの3曲目のシングルではあったが、
ヒット曲ではないし代表曲とは見なされない渋い曲だから何か特別な思いを込めた選曲と思われる。

原曲のアレンジを大切にしつつ多少モダンな味わいを施して現在進行形のBLONDIEを見せるという、
まさにほぼすべての新旧のファンが望むリリースであり、
新旧のヴァージョンの比較などでアーティストの魅力を再発見できる企画である。
ほとんど関係ないが、
数か月前に他の人のカヴァー集を出した太田裕美の関係者の方々も参考にしていただきたい。


Ghosts Of Download

『Ghosts Of Download』と題されたCDの方は10作目のオリジナル・アルバムと言える作品。
約52分13曲入りである。
今もあえてフロント“ガール”と呼びたいシンガーのデビー・ハリー(vo)、
プライヴェイトでの関係が切れてからもバンド内ではずっと彼女のパートナーのクリス・スタイン(g)、
二人と同じくずっとBLONDIEのメンバーのクレム・バーク(ds)、
97年にBLONDIEが復活してからずっとバンドを支えていたレイ・フォックス(b)を含む
6人編成でのレコーディングだ。

BLONDIEのパブリック・イメージと言えるパワー・ポップ/ロックンロール・スタイルの曲は
『Greatest Hits Deluxe Redux』の方でけっこうやっているからということでもなかろうが、
「Heart Of Glass」「Atomic」「The Tide Is High」「Rapture」「Call Me」「Maria」「Good Boys」
をブレンドしたような路線。
ややラテン/トロピカル・ムードの曲も目立つから『Autoamerican』(80年)も思い出すし躍動感も十分だが、
ダンサブルと言うほどでもなくやわらかい歌ものもありだ。

メンバーだけで書かれた曲は一つもなく、
5曲はメンバーがソングライティングに関与していない。
そのうちの一曲は、
英国のFRANKIE GOES TO HOLLYWOODによる83年の一世風靡大ヒット曲「Relax」のカヴァー。
今なぜこの曲を!?という選曲の妙味がまずグレイトだし、
何しろアルバム全体の流れにピッタリとフィットしている。
この超イケイケアゲアゲ・ナンバーがまた、
“イキたいんだったらリラックスなきゃダメ”ってなことを
今のデビー・ハリーが何度も何度も歌い続けるのだからたまらない。
アレンジも後半こそ原曲そのままのイケイケアゲアゲだが、
前半が彼らの同じく英国ナンバー1ヒット曲「The Power Of Love」みたいなバラード調なのも素敵だ。

BLONDIEとしては商業的なヒットを狙ったのかもしれないしメジャー感バリバリではあるが、
冷静に今の音楽業界のトレンドを思うと決してコマーシャルなサウンドではない。
ニューウェイヴ経由の80’sダンス・サウンドのアップデート版と言える。
決して軽薄ではなくBLONDIE流のストロング・スタイルである。
だがだからこそ輝いている。
思い出に耽って溺れるわけではなく、
だからといって若作りするわけでもなく、
自然体のまさに現在進行形ingのBLONDIEなのだ。

2003年に“サマーソニック03”出演て来日した際にインタヴューしたとき、
デビー・ハリーはヴォイス・トレーニングをしていると語ってくれたが、
このアルバムの歌声も鍛えている者ならではの艶が光っている。
いくつになっても色っぽくてかわいい。
以前書いたネタを続けるが、
半年ほど年上で古希に近い年齢のMOTORHEADのレミーが震わせる喉と同じく、
甘いも酸いも知り尽くしつつまだまだ知りたい前のめりのヴォーカルに打たれるしかない。


live at CBGB

そしてdeluxe editionのみに付いているDVDは『Live At CBGB 1977』という、
タイトルどおりのBLONDIEの拠点だったニューヨークのクラブで録音された約48分15曲入り。
日本製のDVDプレイヤーで鑑賞できる。
画質最高!とは言い難いから若干マニア向けではあるが、
一台のカメラで撮ったいわゆるプライヴェイト映像ではなく、
2台のカメラで撮影された映像を編集した作品である。
ヘアバンドで髪を跳ね上げて一見GENERATION Xのビリー・アイドル、
もしくは一見EXTREME NOISE TERRORのディーン・ジョーンズっぽくなっている
耳を見せたブロンドのヘア・スタイルと、
ぎこちないステージ・アクションと微妙なファッションのデビー・ハリーも見どころだ。

やはりこの頃から一心不乱だったクレムのドラミングをはじめとして
当時ニューヨーク・パンクの一派とされていたのもうなずける粗削りの演奏で、
ギタリストが2人の体制になっていて音はハード。
ニューヨーク・シティのバンドにもかかわらず垢抜けないステージングがまぶしい。

オリジナル曲は76年のファースト『Blondie』のほぼすべての曲と
78年の頭に出すセカンド『Plastic Letters』の「Youth Nabbed As Sniper」のみという、
初期の曲ばかりだから意外と渋い。
YARDBIRDSの65年のシングル「Heart Full of Soul」、
当時リリースされてまもなかったRUNAWAYSのセカンドの曲「I Love Playing With Fire」(ジョーン・ジェット作)、
フレディ・キャノンが歌った62年のシングル「Palisades Park」をやっているのも興味深い。


あらためて、
これぞ新旧のファンが望む作品である。


★BLONDIE『Greatest Hits: Deluxe Redux/Ghosts Of Download(deluxe edition)』(NOBLE ID NBL 501-2)2CD+DVD
小箱に、
紙ジャケットが各々に付いた3枚のディスクと、
昔の写真とライヴ・ポスター(ゲストはニック・ロウ)が表裏に印刷された六つ折りポスターと、
40ページのブックレットが小箱に入った仕様である。
ちなみに小箱のパッケージの表は
一番上の画像(『Greatest Hits: Deluxe Redux』の紙ジャケットの画像でもある)で、
2番目と3番目のものは『Ghosts Of Download』と『Live At CBGB 1977』の紙ジャケットの表だ。

PS
元の記事でE.N.T.のディーンが亡くなっているような記述をしてしまいました。お詫びして訂正します。
指摘コメントをしていただいた方、ありがとうございました。


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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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