なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

WHITE LUNG『Deep Fantasy』

White Lung / Deep Fantasy (jake-sya)(HSE-10151)


2000年代の後半に女性4人で結成し、
ファースト・アルバム『It's The Evil』(2010年)あたりからギタリストが男性になり、
コンスタントな活動を続けているカナダのメロディアスなパンク・ロック・バンド、
WHITE LUNGのサード・アルバム。


これまでアルバムなどを出してきた現在のカナダを代表するパンク・レーベルのDERANGEDからではなく、
ロンドン拠点に90年代スタートのオルタナティヴ・ロック系インディ・レーベルの
DOMINO Recordsとの契約第一弾アルバムでもある。
もともとヴィジュアルはオルタナティヴ・ロック~いわゆるインディ・ロック寄りだったし
(だが昔からビシッ!と端正にキメたルックスでクール)、
男性ギタリスト加入後は“DERANGED meets DOMINO”みたいなサウンドだから違和感はない。

バンド側の意識も変わってない。
まず全10曲入りのフル・アルバムのヴォリュームにもかかわらずトータル22分強という潔い尺が変わってない。
マスタリングがイイのか一つ一つの響きが一層鮮やかに聴こえるが、
プロデュースと録音はこれまでずっとレコーディングしてきた人で音作りも大きく変わってない。
全編アップテンポの楽曲の作風も変わってない。

裏ジャケットに3人しか映ってないことが示すように、
このレコーディング時はメンバーが3人になっていたようだ。
オリジナル・ベーシストが去っていてベースのパートはギタリストが弾いているが、
それほど大きな問題はない仕上がり。
クールに突き離しつつ張りのあるヴォーカル、
焦燥感に駆られたかの如きハードコア・パンク一歩手前の加速度のドラム、
The SMITHS meets 初期RIDE”とも言うべき翳りを帯びてささくれたデリケイトなギターで
またまた前のめりだ。
もう完全にWHITE LUNGのスタイルができあがっていて、
それをひたすら研ぎ澄ましている。


DOMINOと契約して細かいところでちょっとした変化はある。
今まで7”レコードにアルバムの曲をほとんど入れなかったが、
この新作と同時期にDOMINOが出す7”シングルの2曲は共に本作収録曲だ(同ヴァージョンかは不明)。
一方これまで丁寧な作りの7”レコードのパッケージ対してCDパッケージがあまりに素っ気なかったが、
今回のCDにはプライベートな人間関係を綴ったと思しき四つ折りの歌詞カードが封入されている
(手書き書体ながらちゃんと読める)。


SWARRRMのメンバーやDAYMARE Recordingsの人とちょっと前に会話した時、
新鋭に対して常にアンテナを張っている二人ともWHITE LUNGをお気に入りのバンドとして挙げていて、
幅広い層に聴かれているんだなと思い、
じわじわ世界的に注目を集めているとは感じてはいた。
もともとアンダーグラウンド臭もあまり漂ってなかった。

でもDOMINO Recordsからのリリースというのは個人的には“衝撃”だ。
DOMINOとの契約により日本ではメジャーな配給のレコード会社から発売されるようで、
今年のフジロックにも出演するという、
一年前には考えもしなかった状況になっている。
スプリット盤も含めて2007年のデビュー作から6枚の7”盤も買ってきた大好きなバンドだから
感慨深いと同時に、
ちょっと複雑な気分になっているのも今の本音だ。
初期からずっと追ってきたバンドが有名になっていくケースは何度も経験してきたが、
正直こんな寂しい気持ちは初めてだ。

けどこの新作もバリバリ気合入っている。
広がってほしい。
オススメ。


★WHITE LUNG『Deep Fantasy』(DOMINO WIGCD335)CD
ぼくが買った↑のカタログ・ナンバーのCDは、
紙ジャケットで四つ折り歌詞カード封入で厚手の紙のCD袋付。


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コメント

まさか、と言いたい気持ちもありますが、最近のバンドでは、ノリと気合いが違っていました。

今回、今までの鋭利なギターフレーズだけじゃなく、多少ダークで、ハードコアを本気で意識してるようにもとれる曲がけっこう入ってるように思えました。
ノリや気合いは、変わってなく、ドラムの音も鳴ってるなぁと。

個人的に、ライブを観るか、ライブ盤も聴きたいバンドです。

日本盤が出るのも、この行川さんのブログは、何役もかってるのは事実ですから、寂しい気持ちもわかります。

LIFEさん、書き込みありがとうございます。
ノイズなどのいわゆるマイナーな音楽も含めて意識が外向きのグレイトなバンドやミュージシャンは、たとえヒットしなくてもやっぱり様々な国やジャンル愛好者に支持されますからね。WHITE LUNGも初期の時点で音楽自体が境界を突破していましたから。
もともとハッピーな色ではなかったですが、今回の作品はダークな色が印象的ですね。加速度も増しています。さすがにWHITE LUNGを観るためだけに苗場に行くのはキツイので寂しいというのもあります。

私も全て購入しているので、何だか不思議な感じが現在もしています。。。

もう、インディペンデントではないような気がして。。。


こちらはもう入手出来たのですか??
7月上旬の予定ですが。。。

666さん、書き込みありがとうございます。
やはりマメにチェックされてきたのですね・・・そういう方ほど不思議な感じになるのは自然なことだと思います。DOMINOはバンドを好きで自分たちの意思で愛情を持って契約したのでしょうけど(それは本文でも書いた歌詞カードの作りと薄手の紙ながらやや箱状の紙ジャケットの作りにも表れています)、今回のメジャー配給の日本盤は「DOMINOが出したから」という一種のエスカレーター式のように見えてしまうからかもしれません。
ぼくが今回買ったのは米国DOMINO RecordsリリースのCDです。某大手サイトからもう通販で買えました。

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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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