なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

MASTODON『Once More 'Round The Sun』

MASTODON『Once More ‘Round The Sun』


2000年代以降のアメリカン・ロックを切り開いた
米国南部ジョージア州アトランタ出身の“サザン・プログレッシヴ・ヘヴィ・ロック・バンド”、
MASTODONが約3年ぶりに放った6作目のオリジナル・フル・アルバム。


ブラン・デイラー(ds)以外の3人は前作の頃に
NASHVILLE PUSSYの“オシドリ夫婦”やBRUTAL TRUTHのケヴィン・シャープらと、
露悪趣味バンドDICK DELICIOUS and the TASTY TESTICLESの『Vulgar Display Of Obscurity』
にゲスト参加してお馬鹿に戯れもしたが、
やる時きゃビシッ!とやるってロック馬鹿バンドである。
今年も4月末からGOJIRAKVELERTAKらと全米ツアーを行なうなど、
対バンを含めてメイン・ストリームのバンドとは一線を画す活動展開は変わってない。
そしてこの新作も待った甲斐のある出来になっている。


RUSHDEFTONESの最新作も手掛け、
プログレ要素をキープしつつ歌も際立たせることで定評があるニック・ラスクリネッツが今回プロデュース。
全米チャートのトップ10入りした前作『The Hunter』を推し進めた路線である。

例によって変拍子やポリリズムも密かに忍ばせたスリリングなアンサンブルの音がうねる中で、
さらにヴォーカルを全面に出したフック十分のソングライティングが光り、
ロマンあふれる切ないメロディに彩られた歌心たっぷりのヘヴィ・ロックに仕上がっている。
プログレッシヴ・ロックの要素を内包しながら、
いわゆるポスト・メタルやポスト・ロックやマス・ロックの類との真逆である。
ゆったりした曲だろうと加速度が止まないドラムを核にした土臭い躍動感に貫かれていてたくましいのだ。

大半のリード・ヴォーカルはトロイ・サンダース(b)とブレント・ハインズ(g)だと思われるが、
メンバー4人中3人がとる歌のハーモニーもたまらない。
繊細に歌い綴るヴォーカルが中心で、
多少挿し込まれるシャウトもわざとらしいやつではなく、
もちろん米国のメタル・ハードコア系に多い声がでかいだけの“単細胞スクリーム”とは全く違う。
すべてがオーガニックだ。
プライベートなモチーフを普遍的な次元で書いて人間に向き合った歌詞も深い。

コンスタントに活動を続けているにもにもかかわらず、
90年代末に結成して以来メンバー4人はずっと一緒である。
だからといって煮詰まるわけではなく、
自分たちの弱さを補強するかのごとく不自然に新しい音を混ぜたりすることもない。
取って付けた“進化”とやらが一番カッコ悪いのだ。
MASTODONは自分たち自身をそのまま堂々と更新し続けている。

シスコ・サウンドを含むアメリカン・ロックをはじめとする多彩な音楽のダシが香ばしいほど染みている。
「The Bit」をカヴァーしたことがあるMELVINS風の曲もやっている。
ジョージア州のちょい後輩であるBARONESSの『Yellow & Green』にインスパイアされた曲もやっている。
「Emerald」をカヴァーしたことがあるTHIN LIZZYの「Cowboy Song」のサンプリングも興味深い。
同じくMASTODONに影響を与えたNEUROSISのスコット・ケリーが
『Crack The Skye』(2009年)に続いてヴォーカルで参加し、
聴けば彼だとすぐわかる熱い喉をけっこう長時間しっかり震わせてアルバムの締めを飾る。


全身に浴びていると自分が開かれていくデカい音楽。
まさに最近のヘヴィ・ローテーションだ。


★マストドン『ワンス・モア・ラウンド・ザ・サン』(ワーナーミュージック・ジャパン WPCR-15738)CD
約54分11曲入り。
日本盤はメンバー全員による詳細な楽曲解説と歌詞の和訳が載った12ページのブックレットも封入。
6月25日(水)発売。


スポンサーサイト

コメント

はじめて投稿します.

最近,このブログを知り,濃いい映画の情報なんかも楽しみに読んでいます.

さて,Mastodonの今作ですが,耳馴染みがよくとても好きです.
僕はなんだか,Judas Priest『diffenders of the faith』を思い出しました.
巧みなソングライティングのためでしょうか...

では,これからも楽しみにしています.

ss2gさん、書き込みありがとうございます。
映画の話の方もチェックしていただいてうれしいです。ストーリー等の単なる紹介には終わらないようにはしています。
MASTODONの新作、歌を前面に出してリスナーのツボを突くソングライティングの曲、カラッとした音作り、あとやはりロマンあるメロディなど、『Defenders Of The Faith』にも通じますね。だからこそ共にメタル・ファン以外の音楽好きの方々にも響くのだと思います。それでいて妙な妥協をしてない誠実なロックです。

丁寧なご返信,ありがとうございます.
自分も同感です.

たまに,あらわれますんで,よろしくです!

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事へのトラックバックURL
http://hardasarock.blog54.fc2.com/tb.php/1287-2267d081

 | HOME | 

文字サイズの変更

プロフィール

行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

最新記事

最新コメント

最新トラックバック

月別アーカイブ

カテゴリ

未分類 (9)
HEAVY ROCK (241)
JOB/WORK (294)
映画 (262)
PUNK ROCK/HARDCORE (0)
METAL (43)
METAL/HARDCORE (48)
PUNK/HARDCORE (420)
EXTREME METAL (129)
UNDERGROUND? (99)
ALTERNATIVE ROCK/NEW WAVE (123)
FEMALE SINGER (43)
POPULAR MUSIC (27)
ROCK (83)
本 (9)

FC2カウンター

検索フォーム

RSSリンクの表示

リンク

このブログをリンクに追加する

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QRコード

FC2Ad

Template by たけやん