なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

LAPIZ TRIO、D・O・T、ALVA、ムスキ・アルバボ・リー at 東京・新大久保EARTHDOM 6月20日

D・O・T


“EARTHDOM PRESENTS”で4バンドが出演したライヴ。
新人の登竜門的ないわゆるライヴ・ハウス・ブッキングものとはちょっと違うが、
仲良し倶楽部みたいな慣れ合いにも出くわすバンドによる企画ライヴとは違い、
ライヴ・ハウス側のセンスで面白いと思われる組み合わせでブッキングされた一夜である。
同じようなメンツで“結果がわかっているライヴ”とは違ってファンが分かれてそうなためか
開演当初のフロアーの観客は10人にも満たなかったが、
種々雑多な刺激に富むパフォーマンスで飽きずに楽しめた。


ムスキ・アルバボ・リーからスタート。
沖永良部島出身の特異な男性シンガーソングライターで、
今年頭にソロ・デビュー・アルバム『28歳の記憶』をリリースしている。
立ってギターを弾き語るスタイルでブルースとフォークと民謡を加速させたかのようだが、
擬声語や擬音みたいな独自の“言語”にも聞こえる歌を放つユニークなパフォーマンス。
白の上下+赤の髪とネクタイでヴィジュアルもビシッ!とキメて、
飄々とした佇まいながらプリミティヴなパンク感覚は一回観たり聞いたりしたら忘れることはない個性だ。


続いては昔からRAPESを支えるメンバーとして知られるREEがギターを弾くトリオ・バンドのALVA。
そのイメージとは裏腹の多彩な音楽性のロックをじっくりと繰り広げた。
BLACK SABBATHのカヴァーも披露してくれたが、
日本のハードコア・バンドが出演するライヴをよく観に来ていて昔からよく出会ってお世話になっている人が、
ジョン・シポリナ(QUICKSILVER MESSENGER SERVICE)を引き合いに出しながら
味のあるギターに関してライヴ後に語ってくれたのもうなずけるサウンドでもある。
ヴォーカル/ベースの人がスティールパンも演奏したブラジル音楽風の曲ではたっぷりと躍動。
自分たちや仲間うちにしか通用しない狭苦しいネタではなく、
幅広い視点で普遍的な内容のMCもいいアクセントだった。


3番目に登場したのはD・O・T
日本のどんなポリティカル・ソングよりも過激で“ベールに包まれた”デリケイトな歌詞だから
ステージで歌う際は特にメンバーの気が張るライヴの定番曲「72」など、
デビュー作『Desert Of Tomorrow』(↑の画像がジャケット)に収めた曲もやった。
でも昨年その作品をレコーディングした時点で既にアルバム数枚分の持ち曲があったのだが、
以降もどんどんどんどん曲が増えている。
メンバー個々の過去の伝説にすがらず前に進み続けている証しだ。
この晩もまた新曲をガンガン披露。
いわゆるハードコア・パンク・スタイルの曲もさることながら、
ポップ・チューンや、
ブーツを履いていた以前のライヴとは違って裸足でステージに立ったNEKO(vo)がスポークン・ワードで迫る曲や、
ストレートな日本語のメッセージを吐く曲も興味深かった。
終盤にNEKOがちょっとした衣装替えを行ない、
ヒロシ(b、vo)とマル(ds、vo)が演奏する中でエジプト/アラブ舞踊の流れを感じさせつつ即興で舞踏を披露し、
フロアーの空間を熱いエジプトから持ち込んだ息吹で埋め尽くす誠実なパフォーマンスで締めた。
セカンド・アルバムを心して待ちたい。


トリはLAPIZ TRIOである。

リーダーのラピス(vo、g)は
FRICTIONのオリジナル・ギタリストで復帰して89年代末から90年代初頭にも在籍していたにもかかわらず、
ライヴCD『Dumb Numb CD』(90)以外の当時の作品が世に出てないのが残念でならないミュージシャンだ。
FRICTIONは初期もさることながら、
ぼくはレック(vo、b)+ラピス(g)+佐藤稔(ds)のトリオの90年代初頭のFRICTIONも大好きで、
よく観に行っていた。
ステージ向かって右手で食い下がるようにレックをにらみながらギターと格闘するラピスの姿が
目に焼きついている。

ラビスが率いるトリオという前知識しかぼくにはなかったバンドだが、
川口雅巳ニューロックシンジケイトのリーダーから開演前に、
ドラマーは80年代初頭にJUNGLE'Sで活動してその後The GODに加入したキヨシ(中村清)という前情報も得た。
80年代にThe GOD(The GOD-OUT)はよく観に行っていたから嗚呼!と思ったしだい。

そして個人的に一つの“サプライズ”があった。
見覚えのある女性が場内に佇んでいた。
“もしや・・・”と思い、
「人違いだったらごめんなさい、横山玲さんですか?」と話しかけ、
「行川くん?」と彼女もすぐわかったようで速攻握手をした。
横山玲(b)は、
山口冨士夫(元・村八分ほか)やチコヒゲ(FRICTIONのオリジナル・ドラマー)と
2000年代後半中心にやっていたバンド(FUJIO CHIKO HIGE & REI名義でCDも発表)における演奏で知られるが、
ぼくにとっては80年代後半から90年代初頭にかけてのREALのベーシストとしての姿が鮮烈だ。
日本における政治的なバンドの在り方が一番肌に合って個人的に影響絶大だったバンドのREALを脱退してからも、
よく話をしていたにもかかわらず関係がフェイドアウト。
REAL以降に彼女がやってきたライヴを観てなかったから
この晩が22~23年ぶりぐらいの再会で変わってなくてちょっとばかり感動したが、
「今日は誰を観に来たの?」というマヌケな質問をぼくがしてしまってちょっとばかりバツが悪くなった。

けどそんな気持ちはライヴ開始1秒でブッ飛んだ。
LAPIZ TRIO、超絶的にカッコよすぎるのである。

まずはキヨシのドラム。
シンプルなロックンロール・ドラムのリズムを踏まえながら
オカズが美味しくてゆるい加速度も最高だ。
玲の指が放つ弾むベースもREAL時代から変わってなくて、
いや以降も今もずっと様々なバンドをやっていて鍛え上げてきた強靭そのものの音だ。

そしてむろんラピスは、
STOOGES~Iggy and the STOOGESと
元MC5のフレッド“ソニック”スミスが率いたSONIC'S RENDEZVOUS BANDの間を突っ切るような、
LAPIZ TRIOのピュア・ロックンロールの熱くクールな肝である。
ラウドなだけのガレージ・パンクとは一線を画す感情が焼け焦げたエレクトリック・ギターにも、
ワイルドながらまったくわざとらしくないナチュラルで味のあるヴォーカルにも、
ラピスの人生が刻み込まれた年輪のごとくふてぶてしく震えていた。

ジョニー・サンダースのHEARTBREAKERSの「Born To Lose」(「Born Too Loose」)の日本語カヴァーもやり、
ノリノリのラピスが最後に“一曲追加”でT. REXの「Telegram Sam」のカヴァーまで披露。
ステージ上に映る三人の“画”も最高だ。
しっかりと顔を上げて楽しそうにドラムを叩く姿はまさにキヨシ!であり、
玲は中央を向いて終始身体を動かして“ダンス”しながら肉体でベースを弾く。
ギターを低く構える不変の姿勢で歌わないパートでは中央を向いてキヨシや玲と向き合う、
長髪でメガネをかけたラピスのクールな佇まいには痺れた。

贅肉を削ぎ落としながらロックを中央突破して転がり続けるパフォーマンス。
てらいなく王道を貫くがゆえの輝きに目頭が熱くなった。
これほど楽しそうにロックしているトリオはそうそうない。
終演後、興奮して感動して思わず即ステージに駆け上がって玲とラピスに話しかけてしまった。
その時のラピスの笑顔が忘れられない。
ラピスは他のバンドなどの音楽活動をしているが、
このバンドで是非アルバムを作っていただきたい。


観に行って良かった・・・と心から思えるライヴだった。


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コメント

横山玲

「行川氏いたよ」という連絡を横山から受けました。ベース一筋何十年、強力なベーシストです。
MEBAEも7月15日アースダムでやります。対バンは川口雅巳ニューロックシンジケイトです。

増田恵一さん、書き込みありがとうございます。
玲さんと久々に話をして、ベーシストとしてかなりプライドを持っていることが伝わってきました。REALもそうでしたが、彼女のベースの音はバンドを変えますね。対バン・・・そうでしたか・・・物事つながるものですね。

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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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