なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

AGALLOCH『The Serpent & The Sphere』

DYMC-221.jpg


米国北西部オレゴン州ポートランド出身のブラック・メタル系のバンドが
結成19年目にリリースした5作目。

バンドとの共同プロデュースに加えて録音とミックスを行なったのは、
SLEEPの『Sleep’s Holy Mountain』をはじめとして
数々の名盤を作った“ストーナー・ロック・サウンド仕事人”のビリー・アンダーソンである。
“吸いながら仕事をする”というその奇才がレコーディングを手がけたことも奏功し、
“クリアー”ながら生々しく仕上がっている。
無機的ではなく美醜入り混じって人間味が滲む響きだ。

なかなか“言い切れない”アルバムである。
ブラック・メタルの色は凍てついた響きやギターの部分的なトレモロなどに残るが、
たとえばヴォーカルはCARCASSに近い嫌悪感の喉を震わせる。
楽曲の方も“ブラック”というより“ダークネス”という言葉がふさわしく多彩な内容である。
メランコリックなスロー・パートやリリカルなアルペジオ、
アコースティックなギター・インスト・ナンバーも含んでアルバム全体が叙情性に富み、
けっこう親しみやすいメロディに彩られている。
80年代初頭のポスト・パンクと2000年代以降のNEUROSISのブレンドの如き
たおやかなギター・トーンも内包し、
ブラック・メタルが持ち得る親和性を体現しているかのようだ。

ほとんどの曲で“神”を歌い込んでいるが、
ブラック・メタルの肝を残しつつその楽曲様式から解き放たれている。
RELAPSE RecordsやHYDRA HEAD Records周辺の“ヘヴィ・ロック進化形”のバンドとも一味違う、
最近目立つブラック・メタルの血が流れる“プログレ”の一種としても興味深い。


★アガロク『ザ・サーペント&ザ・スフィア』(デイメア・レコーディングス DYMC-221)CD
アーティスティックなデザインで歌詞も読みやすく載った16ページのブックレット封入で、
日本盤は本編の歌詞の和訳とボーナス・トラック曲付の約67分11曲入り。


スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事へのトラックバックURL
http://hardasarock.blog54.fc2.com/tb.php/1313-23131b3f

 | HOME | 

文字サイズの変更

プロフィール

行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

最新記事

最新コメント

最新トラックバック

月別アーカイブ

カテゴリ

未分類 (9)
HEAVY ROCK (241)
JOB/WORK (289)
映画 (244)
PUNK ROCK/HARDCORE (0)
METAL (42)
METAL/HARDCORE (47)
PUNK/HARDCORE (407)
EXTREME METAL (128)
UNDERGROUND? (93)
ALTERNATIVE ROCK/NEW WAVE (120)
FEMALE SINGER (42)
POPULAR MUSIC (25)
ROCK (82)
本 (9)

FC2カウンター

検索フォーム

RSSリンクの表示

リンク

このブログをリンクに追加する

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QRコード

FC2Ad

Template by たけやん