なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

EYEHATEGOD『Eyehategod』

DYMC-220.jpg


80年代の末から活動を続ける米国南部ニューオリンズ拠点の“スラッジ・メタル・ゴッド”、
EYEHATEGODのオリジナル・アルバムとしては約14年ぶりの5作目。

EYEHATEGODのアルバムとしてはインターバルが空いたが、
間にバンドとしての作品はいくつかリリースしているし、
メンバー個々は他のプロジェクトで音楽活動を続けていた。
たとえばマイク・Ⅸ・ウィリアムズ(vo)は
スコット・ケリー(NEUROSIS)らとのCORRECTIONS HOUSEで昨年アルバムを出したが、
その制作前からこの作品に取り組んでいたと思われる。


セルフ・プロデュースで、
ヴォーカルの録音には
ジミー・バウアー(g)とDOWNをやっているフィリップ・アンセルモ(元PANTERA)も関わり、
昨年他界する前にオリジナル・メンバーがドラムのバートを
“ストーナー・ロック仕事人”のビリー・アンダーソンに録ってもらうなど、
豪華な面々の協力を得て数ヵ所でレコーディング。
さらに現在進行形のシーンで自ら音楽を作っているサンフォード・パーカー(MINSK他)のミックスも奏功し、
これまでのEYEHATEGODを凝縮しつつ更新した鳴りで完成度の高い仕上がりになっている。

EYEHATEGODにしてはタイトな音作りだが、
いい意味で取っつきやすくてパンクよりメタル寄りの音の塊でじっくり攻め抜き責め抜く。
BLACK FLAG meets DISCHARGE”なハードコア・パンク・チューンからブルージーに進む、
オープニング・ナンバーからしてツカミOK!である。
以降もキャッチーとは言わないが、
フック十分のソングライティングで練られた曲と人間味が染みたグルーヴィーな音の連続。
タメが効いて音の“こらえ性”も十分である。
ブルースだけでなくリズムにはジャズのダシも密かに効いている。

ひとつひとつの響きの重みがやっぱりそこいらのバンドと違う。
筋金入りだ。
一音一声に覚悟を決めている。
ジョニー・ロットン(SEX PISTOLS~PUBLIC IMAGE Ltd.)とジョニー・サンダースのシニカル風味を鼻から吸い込み、
ハードコア・ヴァージョンで強化したヴォーカルもますますナチュラルに迫る。
そんな喉で吐くマイク・Ⅸ・ウィリアムズが標榜する
“サザン・ニヒリズム・フロント(南部虚無主義戦線)”の精神性がすべてに息づく。

むろん不穏な空気感も天然である。
そいつは人間がこの世に出てきた時から分泌され続けている“業”のブルース譲りだ。
自己保身と自己陶酔のためのクリーンを気取った“正義”を、生き延びるために“屠殺”し、
ぬかるみで底無し沼の調べの中から人間の膿を輝かしきスラッジ・ブルースとしてクールに排泄している。

単に“メタル”と書くと誤解を与えるから“スラッジ”などの形容の言葉が必要になるバンドだが、
実はベーシックなテクスチャーで地に足の着いた“ハードコア・ロック”である。
70年代初頭のBLACK SABBATHとLED ZEPPELINの激しい曲を、
パンク/ハードコアのアタックの感でアップデートしたみたいな胆力もたんまりだ。

腹にこたえる貫禄の一枚。
クール!


★アイヘイトゴッド『アイヘイトゴッド』(デイメア・レコーディングス DYMC-220)
日本盤は2012年の復活7”片面シングル『New Orleans Is The New Vietnam』のタイトル曲を追加した(新録らしい)、
約48分12曲入り。

ps
8月11日の12時に、ドラム・パートについての記述の部分を手直ししました。


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コメント

購入以来ヘビーローテーションしてます。
Carcassもそうですが長いインターバルを経ての復活作のが、彼らのディスコグラフィの中でも出色の出来というのが嬉しいです。
カブトメタル中止は残念でしたが、ぜひとも来日して欲しいですね。

Korokuさん、書き込みありがとうございます。
確かにCARCASSにしろ、活動停止が必ずしも悪いことじゃないことを示しますね。僕も昔は再結成ものに否定的でしたが、1日休むだけのバンド、1年休むバンド、10年休むバンドなど色々あっていいわけで、人間一人一人と同様に、バンドそれぞれにベストなペースがあるわけです。今のEYEHATEGODはデカいフェスにも映えそうですね。

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Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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