なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

OPETH『Pale Communion』

OPETH『Pale Communion』


スウェーデンの首都ストックホルムで90年に結成され、
エクストリーム・メタルをルーツにしつつ“現在進行形のプログレッシヴ・ロック道”を歩む5人組の
Heritage』以来の約3年ぶりの11作目。


レコーディングは英国ウェールズのロックフィールド・スタジオズで行なわれた。
簡潔に要所を押さえた伊藤政則執筆のライナーによれば、
唯一のオリジナル・メンバーのミカエル・オーカーフェルト(vo、g)はロックフィールドを
JUDAS PRIESTの『Sad Wings Of Destiny』やQUEENの『Sheer Heart Attack』が
レコーディングされたスタジオとして認識していたようだ。
と同時にRUSH、BUDGIE、BLACK SABBATH、VAN DER GRAAF GENERATORといった、
OPETHが影響を受けたと思しき名盤の数々が多数レコーディングされてきたスタジオでもあり、
そういった先達が解き放った歌と音の息を思い切り吸い込んで血肉にしたことが想像できるアルバムだ。

プロデューサーでもあるリーダーのミカエルとSTORM CORROSIONもやり
現行プログレ・バンドを代表する同志PORCUPINE TREEのスティーヴン・ウィルソンが、
前作に引き続きミックスを担当。
デリケイトな響きを大切にしつつ一つ一つのサウンドのアタック感の強さが魅力だ。
とはいえメタルのリフも織り交ぜつつDREAM THEATERほどメタリックな音ではなく、
ガツガツせずにまったりしているのはスウェーデ産ならではだろう。

映画『サスペリア』の音楽でも知られるイタリアのプログレッシヴ・ロック・バンド、
GOBLINへのオマージュというリズミカルなインスト・ナンバー「Goblin」も面白く、
キーボードをはじめとしてFUNKADELIC周辺のグルーヴ感も少々。
前作録音後にバンドを去ったペル・ヴィベリ(SPIRITUAL BEGGARS)の後釜として加入した
ホアキム・スヴァルヴァーグ(kbd)がジャズも絡めたイイ音を出している。

11分近くの曲をはじめとして例によって曲は長めだが、
大半は6分前後にまとめ上げたスポンテニアスな仕上がりだ。
しいて言えば、
他のプログレッシヴ・ロック・バンドよりは楽器隊が控えめの70年代半ばまでのGENESIS、
いやヴォーカルの柔らかい声質を思えば歌ものの曲における70年代のKING CRIMSON
あとVAN DER GRAAF GENERATORもイメージさせ、
ヴォーカル・パートの比重が高い。

かといって、
ミカエル・オーカーフェルトのキャラはともかく、
彼のヴォーカル自体は
ピーター・ゲイブリエル(GENESIS)やジョン・アンダーソン(YES)、
ピーター・ハミル(VAN DER GRAAF GENERATOR)ほど自意識トゥー・マッチではない。
リーダーにもかかわらず、
ある意味KING CRIMSONの歴代シンガーたちみたいに一歩引いた立ち位置。
それでいて歌が主軸というバランス感が絶妙なのだ、

“作曲(compose)”というより“ソングライティング”と言いたい曲作りも良しの佳作である。


★オーペス『ペイル・コミュニオン』(ワーナーミュージック・ジャパン WPCR-15732)CD
8ページのオリジナル・ブックレット付で本編は約56分8曲で構成。
計約71分の日本盤CDは、
「Atonement」(2005年の『Ghost Reveries』に収録)と
「Demon Of The Fall」(98年の『My Arms, Your Hearse』に収録)を
2012年12月の地元でのサイケデリックな極上音質のライヴ・テイクで加えた計10曲を収め、
歌詞の和訳(ボーナス・トラックの2曲もスタジオ録音ヴァージョンの歌詞と和訳を掲載)付の
12ページのブックレット封入だ。
日本先行発売。


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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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