なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

DEATH PENALTY『Death Penalty』

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リー・ドリアンと共に結成時から最期までCATHEDRALをリードした英国の音楽家ギャズ(g)が
ベルギーのヘヴィ・メタル・バンド出身の3人と本格的に始めた、
女性ヴォーカルを擁するバンドのファースト・アルバム。

シンガーとドラマーは、
本作の英国でのリリース元であるリー・ドリアンのRISE ABOVE Recordsからも出していた
ドゥーム・メタル・バンドのSERPENTCULTの元メンバーで、
ベーシストは元GORATHである。
アルバムのプロデュースと録音とミックスとマスタリングを担当したのは、
CATHEDRALの末期のアルバムも手掛け、
ギャズがリーとやっているSEPTIC TANKのドラマーでもあるジェイミー・ゴメズ・アレラーノだ。


まさに“あのリフ”“あのギター・トーン”が帰ってきた!と言いたいサウンドのアルバムである。
ヴォーカルを活かしたバンド・サウンながらドギターが全体をリードしている。
楽曲を引っ張るべくギャズがギター弾きまくりで、
リフはもちろんのことソロ・プレイもけっこう披露してくれる。

CATHEDRALのドゥーム要素と変態テイストをキープしつつ、
もっとヘヴィ・メタルでソングライティングにもキャッチーなフックが多い。
ギャズ天性のマニアック臭を音に漂わせながら、
IRON MAIDENをはじめとする
80年代初頭のニュー・ウェイヴ・オブ・ブリティッシュ・ヘヴィ・メタル(通称NWOBHM)のバンドと、
ロニー・ジェイムズ・ディオ時代以降も含むBLACK SABBATHが、
ブレンドされたみたいな曲を展開している。

ガツガツしてなくまったりした空気感だが、
たるくなることはない。
ドゥーミーなフレーズのアクセントに入れつつ大半のパートはミディアム~アップ・テンポだ。
特にDEEP PURPLEの「Highway Star」を82年のMOTORHEADとTANKのギターで消化したみたいな
ヘヴィ・チューンの「Immortal By Your Hand」は、
ドゥーミーなスパイスも隠し味で効いてDEATH PENALTYの持ち味が集約されている。

ヴォーカルはメロディアスな歌唱が基本だが、
ヘヴィ・メタルの王道の鋼の喉を震わせるタイプではない。
フリーキーなヴォーカル・スタイルではなく曲に沿って歌っているとはいえ自由度が高い発声で、
ナチュラルながら浮遊もする。
まろやかで妖しい香りも漂うが、
サイケデリックというよりはゴシック・メタル・フィーリングとも言える。
リー・ドリアンがDEATH PENALTYを語る時に引き合いに出しているバンドの一つに、
同じくベルギーの女性シンガーを擁したヘヴィ・バンドで80年代前半メインの活動した
ACIDを上げているのも納得なのである。

究極のバンド名とアルバム・タイトルだが、
奥野高久執筆のライナーによれば、
ギャズが大ファンの英国のバンドである
WITCHFINDER GENERALの82年のファーストのタイトルから採ったという説が有力だ。
英語で綴られ歌詞も“絞首台に送りこめ!”というような雰囲気ではなく、
暗喩に富み幻想的である。

日本盤の2曲のボーナス・トラックのうち、
インスト・ナンバーの「Dr. Gori」は「宇宙猿人ゴリ」という邦題が付いているが、
70年代初頭に放映された日本の特撮ドラマ『スペクトルマン』の中の
“惑星から追放された~♪”と歌われる「宇宙猿人ゴリのうた」とは別曲に聞こえる。
その「Dr. Gori」は本作のダイ・ハード版のLPに付くボーナス7”レコードのB面に入るらしいが、
もう一つの追加曲「Let Me Feel The Pain」は本作に先立ってリリースした7”にも入ってない。

ギャズの観点で聴くとしたら、
25年近くもの間CATHEDRALで背負っていたものから解放された感覚をレコーディングしたみたいな
リラックスした“死刑”アルバムである。


★デス・ペナルティ『デス・ペナルティ』(トゥルーパー・エンタテインメント QATE-10059)CD
日本盤は2曲追加の約61分12曲入りで、
そのボーナス・トラックのヴォーカル入りの曲のものも含む歌詞の和訳付。


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コメント

コレ、最高ですよねっ!
一廻しで棚行きではなく、何回も何回も再生してしまう中毒症状が出る作品のような気がします。
女性ボーカルがまた渋く、近年ヴィンテージ・ロックではピカイチかと!

666さん、書き込みありがとうございます。
実は僕も一回聴いた感じでは「まずまずの出来」という印象でした。ドゥーム系の女声によくあるオカルト・テイストやサイケデリック・テイストではなかったからかもしれません。でも実はナチュラル・ヴォーカルとギャズのギターのハーモニーがチャーム・ポイントでしょう。まさに“何回も何回も再生してしまう中毒”性があります。

『宇宙猿人ゴリ』ってギャズは相変わらず特撮がお好きなそうでw 確か2回目ぐらいの来日の際に『スペクトルマン』のDVDボックスを購入していったという逸話を聞いた事が。

marblesleepさん、書き込みありがとうございます。
その情報は知らなかったです。スペクトルマンのDVDボックスを買うということは重度のマニアですね。
CATHEDRAL時代にこの曲名を使うことはもちろんのこと(でも特撮趣味っぽい曲は作っていましたね当時も)、このバンドでも本編に入れるのはさすがに控えて(でも極端に本編と違う曲調ではないですけどね)、ボーナス・トラックにしたのでしょう。

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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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