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パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

SATURN『Ascending(Live In space)』

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リー・ドリアン(元CATHEDRAL)のRISE ABOVE Recordsがまたまた世に送りこんだ、
スウェーデン南西部のボロース出身のヘヴィ・メタル/ハード・ロック・バンドによるファースト・アルバム。
セルフ・プロデュースのセンスもズバ抜けた堂々たるデビュー作である。


ヘヴィ・メタルのスタイルが確立する前夜の70年代のブリティッシュハード・ロックを
濃厚な金属質の音で生々しくアップデートしたサウンドだ。
初期も含む70年代のJUDAS PRIESTやUFOやBUDGIEを思い出すが、
古臭さをまったく感じない。
凝っているにもかかわらずスムーズな展開を見せる印象的なアレンジ・ワークも新鮮で、
ナチュラル&スポンテニアスだからこそ生き生きしていおり、
6分半、7分半、8分半の曲も一気に聴かせる。

かなり様々な音楽を血と肉にしている。
IRON MAIDENをはじめとする
ニュー・ウェイヴ・オブ・ブリティッシュ・ヘヴィ・メタル(通称NWOBHM)からの影響も見て取れるし、
YARDBIRDSあたりのブリティッシュ・ビートのニュアンスもリズムに感じる。
ブルースを新しい解釈で焼け焦がして深くブレンドした曲もいくつか披露し、
フォーク・ミュージックの肌触りの曲もやっているから、
LED ZEPPELINとの接点も多い。
シンガー専任のメンバーがいない4人編成で曲によってキーボードも入れるが、
ギター2本とベースとドラムが基本のシンプルな音にもかかわらず、
いやシンプルな音で楽器が交感しているからこそ“ロックの魔法”が生まれている。

そういう音の絡み合いが見えてくるほど生々しく、
妖しくマジカルな空気感を醸し出す音質もたいへん素晴らしい。
演奏パートを一発録りの“スタジオ・ライヴ・レコーディング”で行なったことにより、
ヒリヒリした質感が伝わってくるのだ。
ベースもドラムも生き物のように繊細かつエネルギッシュに躍動し、
リズム・ギターとリード・ギターが一曲の中でパート・チェンジする様子も鮮やかに記録されている。
粗い音色のリフで痺れさせる一方、
つややかなトーンとリリカルなフレーズでとろけさせるギター・プレイは心憎いばかりだ。

ヴォーカルは
ロブ・ハルフォード(JUDAS PRIEST)というよりはロバート・プラント(LED ZEPPELIN)、
ロバート・プラントというよりはフィル・モグ(UFO)って感じだが、
あそこまで粘っこくないのが元ネタの孫世代の後追いバンドならでは。
けどそういった先人たちよりデリケイトだし、
なまめかしい表情も天然でたたえてクールに歌心を震わせる。
歌詞は英語で我流の“メタル・ブルース”とでも言いたくなる内容だ。

滋味深い鮮烈オススメ盤。


★サターン『アセンディング』(トゥルーパー・エンタテインメント QATE-10060)CD
日本盤は歌詞の和訳付の約44分8曲入り。


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コメント

全く言う通りです(笑)
何か特別凄いことをしているわけではないのですが、こういう手には何か感じるポイントがあります!
ジャケットもトータルでレベルの高い、グレイトな作品ですね!
ヘビロテです(笑)

666さん、コメントありがとうございます。
ソングライティングや演奏やヴォーカルもさることながら、日本のPSF RecordsのCDをも思わせる録音センスもグレイトです。こういうバンドがこういうレコーディングをするのか・・・って感じです。ある種のガレージ・パンクにも通じるかなと。ジャケのヘタレ具合も素敵ですね。

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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)、
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)、
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)<以上リットーミュージック刊>、
『メタルとパンクの相関関係』(2020年~BURRN!の奥野高久編集部員との“共著”)<シンコーミュージック刊>
を発表。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、ギター・マガジン、ヘドバンなどで執筆中。

https://twitter.com/VISIONoDISORDER
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