なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

映画『静かなる男』(ジョン・フォード監督生誕120年!『駅馬車』『静かなる男』デジタル・リマスター版上映)

静かなる男POSTER_1_convert_20140821211735


1952年のアメリカ映画。
ジョン・フォード生誕120年記念の一環として、
『駅馬車』とともにデジタル・リマスターで上映される。


アメリカからアイルランドに“里帰り”したワケありの元ボクサーのジョン・ウェインと
ロマンスの相手役の女優モーリン・オハラ中心に繰り広げられる、
スリリングかつ素朴なラヴ・ストーリー。

アイルランド移民の両親を持つアメリカンのジョン・フォードならではの舞台設定で、
やはりアイルランド系の両親を持つジョン・ウェインが主演というジャストな配役も奏功し、
アイルランドにアメリカンが混じって巻き起こるカオスとハーモニーのイイ塩梅の快作である。

静かなる男1

これまた語り尽くされている映画とはいえここでは物語のネタバレを避けるが、
殴り合いを経て笑顔で終わるエンタテインメント作とだけ言っておく。
やっぱり決闘シーンがなければ終わらないのがアメリカの映画の一種の王道であり、
そこにカタルシスを覚えながら喜怒哀楽のはっきりした愛と友情の人間関係に酔う。
以前書いたようにジョン・フォード監督は決して右派ではないが、
ジョン・ウェインのテイストも相まってまさにアメリカらしい映画だ。
それはそれで楽しむが勝ち!ってもんである。

というわけでこの映画でもジョン・ウェインはあくまでもストロング・スタイルを貫き、
旅立とうと列車に乗り込んでいた妻を引きずり降ろして延々と引っ張り回していくシーンも
なかなかヴァイオレントである。
映画のタイトル(原題も『The Quiet Man』)は“無口な男”というニュアンスなのだろうが、
行動は必ずしも静かではない。
しょっぱなからヤンキー呼ばわりされ続けてみ元ボクサーゆえに拳を抑えてきたジョン・ウェインが
“愛”のために勝負を挑むタイマン・シーンは、
映画の中でギャラリーを吸い寄せ、
映画を観る人には暴力云々を忘れさせるほど痛快な迫力だ。

静かなる男2

ついでに言えばジョン・ウェインは口数少なくても口は“旨い”。
寡黙だからこそ一言一言に重みがあるし、
太く甘い声で押す話し方だからずっしりと響く。
その口でタバコを咥えまくるヘビースモーカーぶりも田舎っぽさが逆に粋である。
もちろん純情ゆえに強引なジョン・ウェインと気丈なモーリン・オハラが
くっつくのかくっつかないのかが見どころ。
序盤から見せつけるキス・シーンは
銀幕の大スター同士ならでは圧倒感で吸い込まれそうになる。
二人をはじめとして登場人物たちのファンションも心憎いばかりだ。

静かなる男メイン

スペインのホセ・ルイス・ゲリンが本作へのオマージュとして作ってタイトルにもした
アイルランドの小村のイニスフリーの風景にも引き込まれる。
今回のリマスタリング版で個々の色がヴィヴィッドな味わい深さそのままで立体的に迫ってくる。

優雅な音楽に包まれて牧歌的な空気感ながら映画自体はテンポがいい。
やはり馬がよく登場するし、
いざとなればジョン・ウェインはどんどんどんどん突っ走るし、
クライマックスが続く終盤のスピード感とタメの効いたリズムも格別だ。
やっぱりグレイトな映画は作品そのものがクールなリズムで走っているのである。


★映画『静かなる男』(ジョン・フォード監督生誕120年!『駅馬車』『静かなる男』デジタル・リマスター版上映)
1952年/カラー/129分/デジタル/配給:マーメイドフィルム
9月27日(土)より、シネマート新宿、シネマート心斎橋にてロードショー、
以降、全国で順次ロードショー。
©1952 MELANGE PICTURES LLC. ©2012 PARAMOUNT PICTURES. ALL RIGHT RESERVED
http://mermaidfilms.co.jp/johnford/


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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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