なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

DREAM THEATER『Breaking The Fourth Wall(Live From The Boston Opera House)』

Dream Theater『Breaking The Fourth Wall


米国東海岸ボストン出身の“プログッシヴ・メタル・バンド”が
今年の3月22日に“地元”で行なった二部構成のライヴを完全収録した計182分の作品。
数パターンのフォーマットでリリースされているようだが、
以下の文章は“DVD2枚組ヴァージョン”を体験して書いたものである。


見るまでのお楽しみとして内緒にしておくが、
ちょっとしたサプライズ映像で始まる各々のDVDのオープニングからもう作品だ。
実際のライヴでも第一部と第二部の演奏直前にステージ後方のスクリーンに映し出されたもののようである。

ライヴ映像の方は、
ときおり画面の二分割/三分割/四分割も行なって2~4人のメンバーの演奏を同時に見せたりしつつ
オーソドックスな作り。
といってもそこはDREAM THEATER、
照明をはじめとしてシンプルなステージングながら鮮やかに見せるビシッ!とした映像作品である。
多数使ったと思しきカメラも近づきすぎず遠すぎず(もちろん撮影者等はほとんど映ってない)、
5人のメンバーを均等の割合で様々な角度からナチュラルにクローズアップしつつ、
ステージの全景をしっかりとらえている。
忙しすぎない画の切り替えも適切だ。
ライヴ中は前述のスクリーンに映像が映し出されていたようだが、
そのイメージ映像のクローズアップ挿入は最小限に抑えてプレイ全体の流れを損なうことなく、
ライヴ・パフォーマンスをいかにリアルに見せるかという作りである。


セットリストはあちこちから少しずつではなく、
厳選したアルバムの曲で構成。
八方美人のセットリストじゃないことで逆に、
DREAM THEATERの核と個性が浮き彫りになっている。

昨年出した目下の最新オリジナル・アルバム『Dream Theater』の曲が3分の1以上を占めつつ、
第一部には、
『Black Clouds & Silver Linings』(2009年)、
『A Dramatic Turn of Events』(2011年)、
『Falling Into Infinity』(97年)
の曲も織り交ぜている。
第二部はまず『Awake』(94年)の後半4曲の“再現”。
続いてDREAM THEATERのメンバーたちの後ろにコーラス隊が、
ステージと観客席の間にオーケストラがそれぞれ姿を現して合体し、
『Dream Theater』のラストを飾った大作「Illumination Theory」を約20分で濃縮披露する。
といってもDREAM THEATER側が“手加減”するわけではなく各々が尊重し合うプレイで、
DREAM THEATER抜きのパートやDREAM THEATERのみのパートも絶妙に設けつつ、
一緒に曲を高めていくパフォーマンスだ。
アンコールでは
テクニカルなプログレ色の強い『Metropolis Pt. 2: Scenes from A Memory』(99年)の4曲をやり、
適宜そこにもコーラス隊とオーケストラが参加している。


全楽器の音がでかくていい感じでぶつかりあっている演奏を展開し、
ドラムがスネアもキックも音が大きめのバランスというのも奏功し、
よりハードでパーカッシヴなサウンドが楽しめる。
僕はDREAM THEATERを“メタル・プログレッシヴ・ロック・バンド”とは呼ぶことが多いが、
このライヴはメタル寄りの音で“プログレ・メタル”と言い切ってもいい。

大半の曲が長いが、
歌が前面に出た曲がほとんどだし、
演奏は複雑ながら曲はアメリカンならではの明快な味わいに覆われて音もダイレクトでわかりやすい。
リーダーのジョン・ペトルーシ(g)のプロデュースで立体感抜群のダイナミックな音質もパーフェクト。
これはまさに“ドリーム・シアター”である。
バンド名どおりのリアリスティックなロマンが堪能できるのだ。

ジャンル問わず“インディもの”ばかりに接していると世界観が狭くなる。
日常生活と同じで“自分の半径30センチ程度”の視点でしか物事を見られなくなるし、
感じられなくなるのだ。
四方八方から見ないと大切なものは見えてこない。

これは言い訳じみた能書きを必要としない圧倒的な作品である。


DVDのオマケは、
『Dream Theater』収録のインスト・ナンバー「Enigma Machine」の
メンバーたちと思しき人物が動くほぼモノクロのアニメによるポップなイメージ映像、
同じく『Dream Theater』収録の「Illumination Theory」のインスト・パートを4分強抜粋して
影絵+蛍+コズミック・テイストの詩情仕上がりのイメージ映像、
本作のライヴ会場の開演前と開演中を撮った画の5分弱のフォトギャラリーである。


★ドリーム・シアター『ブレイキング・ザ・フォース・ウォール(ライヴ・フロム・ザ・ボストン・オペラ・ハウス)』(ワーナーミュージック・ジャパン WPBR-90806/7)2DVD
いわゆるトールケースとA5判(文芸誌サイズ)の間ぐらいの大きさのデジパック仕様で、
24ページのブックレット封入。


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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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