なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

ORANGE GOBLIN『Back From The Abyss』

ORANGE GOBLIN『Frequencies from Planet Ten』


ロンドン出身の“ストーナー・ヘヴィ・ロック・バンド”ORANGE GOBLINによる、
『A Eulogy For The Damned』以来の約2年9ヶ月ぶりの8作目のオリジナル・アルバム。

音楽的な方法論や方向性は違えど、
リー・ドリアン(元CATHEDRAL)主宰のRISE ABOVE Records時代はレーベル・メイトでもあった
ELECTRIC WIZARDと共に、
ドゥーム/ストーナーの枠を越えて90年代以降のブリティッシュ・ロックを代表するバンドだ。
これまた進化より深化のオーガニックなロックンロールの肝が炸裂する絶好調の快作である。
本人らは嫌がる言い方だろうが、
FU MANCHUがアメリカを代表するなら、
ORANGE GOBLINがイギリスを代表するストーナー・ロック・バンドということも再認識させる。


5作目『Thieving From The House Of God』(2004年)から現在のメンバーに固まったが、
ツイン・ギター体制だったデビュー・アルバム『Frequencies From Planet Ten』(97年)から
今の4人は不変である。
メンバー・チェンジが激しいこの界隈のバンドの中で結束の強さはトップ・クラスだが、
それに比例してサウンドもまたまた美味でコクたんまりだ。
結成してから20年近く発酵させたストーナー・エキスが
太陽光を浴びたかの如き明快な音作りによって高速な光合成を始めたかのようにたいへん元気である。
すべてを解き放つべくギターもベースもドラムも音が前によく出ていて痛快だ。
策を弄することに熱心な頭デッカチのバンドやミュージシャンの死んだ音がますます不味く聞こえる。

曲によってスティール・ギターも使われ、
今回はブルース風味がやや強めのヘヴィ&グルーヴィな滋味深いロックンロールである。
飲みながら聴くとますますビールがウマくなる。
爆走チューンも今回いくつか用意しているし、
一方リリカルなヘヴィ・インスト・ナンバーでさりげなく泣かせる。
“手癖”でそこそこのものを多作するバンドみたいなのと違い、
演奏陣の3人がロック魂を注ぎ込みながらじっくり取り組んで曲を練り上げて仕上げたことが伝わってくる。
シンプルだが深いテクスチャーだから味わいもディープなのである。

ヴォーカルの歌いっぷりもまたまたいい。
自信があるからポーズつけて歌う必要なくてまっすぐだし、
ワイルドながらマッチョに成り切ってないところが英国産ならでは。
豪傑ながらさりげなく繊細に喉を震わせる。
前作リリース時に『テロライザー』誌の215号に載ったベン・ワード(vo)のインタヴューによれば、
宇宙やタイム・トラベルにまつわる歌詞を書くこと(とアシッドしこたまやること)に関して、
ギーザー・バトラー(BLACK SABBATH)に見習っているという。
昔からそういう歌詞が多かったし今作も同様だ。
「Sabbath Hex」「The Devil’s Whip」「Demon Blues」「Mythical Knives」といった曲名から想像できる世界で
間違い無しである。
ORANGE GOBLINはアルバム・タイトルに前置詞をよく使う傾向があり、
今回で“from”が3度目なのも興味深い。
『Back From The Abyss』とは“底無し沼から抜け出る”イメージだろうか。

“たとえ現状認識がネガティヴだろうがプラス思考”みたいなこういうロックが大好きだ。
やっぱり本物に新しいも古いもヘッタクレもない。
オススメ。


★ORANGE GOBLIN『Back From The Abyss』(CANDLELIGHT/LOVE DA LOVECD381)CD
12ページのブックレット封入の約54分12曲入り。


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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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