なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

Lou Reed『Banging On My Drums』

Lou Reed『Banging On My Drums』


97年に出たコンピレーション盤のリイシュー。

セミ・オフィシャル・リリースと思しきこういう“灰色盤”は管理体制があいまいなのか、
同じライヴ音源がジャケットやタイトルを変えて短期間の間に発売し直されたりもするから注意が必要だ。
ルー・リードものも『Waiting For The Man - Live』『Winter At The Roxy』はその一例で、
同内容である。


話を戻すと、
これは75年と77年の計4回のライヴの中からセレクトされた実質24曲入った計約141分の2枚組CD。
サウンドボード・レコーディングとオーディエンス・レコーディングの寄せ集めなのだが、
リマスタリング効果かメリハリ十分の良好音質で、
「Shooting Star」以外は曲のダブりがなく一つのショウとして楽しむことも可能な流れで構成されている。
といっても実際にこういうセットリストでやることは後にも先にも当時もありえなかった曲の並びである。
当時リリースした『Rock And Roll Heart』(76年)と『Street Hassle』(78年)の曲が多めながら、
全体的に収録曲がかなり渋く、
披露することがレアな曲がたくさん入っているのがチャーム・ポイントのCDだ。


そもそもルーがカヴァーをやること自体が激レアである。
「You Keep Me Hanging On」はSUPREMESのカヴァーで、
「Rock & Roll」に続くメドレーの形ながら女性コーラスが目立つがルーも負けずに歌っている。
『Transformer』(72年)の「Perfect Day」のサビで
“You just keep me hanging on”と歌い込んでいるのを思い出したが、
ルーが色々と触発されている曲だなとこのメドレーで聴いて思う。

「You Can Dance」は未発表曲だが、
曲調はまったく違うが『The Bells』(79年)収録の「City Lights」で
“You can dance”というフレーズを歌い込んでいるからつながっているのかなとも邪推できる。

「Better Get Up & Dance」も未発表曲だが、
これまた『Growing Up In Public』(80年)の「So Alone」でこの曲のタイトルのフレーズを歌い込んでいる。
ルーの中でフレーズのストックがあるというか、メモでもしていたのだろうか。

「Such A Pretty Face」は『Street Hassle』の「Wait」の原型。
このライヴの時点ではまだほとんど“仮歌”状態だったと思われ、
アルバム・ヴァージョンの「Wait」で女性コーラスが連呼するこの曲名のフレーズをルーが繰り返す感じだが、
曲自体はほとんどできあがっている。

「Affirmative Action (PO #99)」は「Street Hassle」の“裏ヴァージョン”的なヘヴィ・チューン。
リフの繰り返しで持っていって加速して混沌に突入するところも含めて「Sister Ray」な匹敵する偏執狂ナンバー。
原曲と言えるのかわからないほどほとんど別物の曲調ながら、
歌詞で“street hassle!”と連呼するところもクールだ。
どのアルバムにも入りようかないほど当時のルーの曲としては異色のハード・チューンだが、
この形でもアルバムに収めてほしかったと思えるほどクールな曲である。

「It's Too Late Mama」も未発表曲で快活そのもの。

そして最後の「Complete The Story Now」は、
ルー・リードがプロデュースしたNelson Slaterの『Wild Angel』(76年)収録曲のカヴァーである。


この時期のライヴ・テイクにしてはソウル・ミュージック色が薄めで、
キーボードが目立たずエレクトリック・ギターの比重が高めだ。
リアル・タイムでVELVET UNDERGROUND時代に発表した曲は
「Sweet Jane」「Rock & Roll」「White Light/White Heat」のみだが、
そういう有名曲も面白いアレンジで披露している。

ブートレッグによくある単なるレアものの寄せ集めになってなく、
この時期にこういう曲もやっていたことの記録としても貴重。
繰り返すが音質も悪くないからルーのマニアは必聴だし、
この時期のオリジナル・アルバムとは打って変わって大半の曲がノリノリのプレイだから、
アルバムを全部持っているほどのファンでなくてもルー好きなら楽しめるはずだ


★Lou Reed『Banging On My Drums』(KEYHOLE KH2CD9025-1)2CD
77年のZIGZAG誌に載ったルー・リードの興味深いインタヴュー付の12ページのブックレット封入。


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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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