なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

本『中央ヨーロッパ 現在進行形ミュージックシーン・ディスクガイド~ポーランド、チェコ、スロヴァキア、ハンガリーの新しいグルーヴを探して』

中央ヨーロッパ音楽本


タイトルどおりの本。

僕もBEHEMOTHとEL BANDAのアルバムを1タイトルずつ書かせてもらったが、
他にヘヴィ・メタルやパンク・ロック/ハードコアはほとんどない。
とはいえジャズやポップスやプログレやヒップホップや
エレクトロニック・ミュージックなどのポピュラー音楽全般に加え、
クラシックをもフォローした360タイトル以上の作品を詰め込んだ構成が圧巻だ。

真に音楽ジャンル関係なく多数のアルバムを一冊の本に収めることの構成上の大変さも伺えるが、
半分以上ページは淡い色合いのカラー掲載のジャケット効果も相まって
特定の地域に焦点を絞った本ならではの統一感があり、
中欧の匂いが立ち込める。
政治体制的に第二次世界大戦後は長年東欧として扱われることも多い地域だが、
西欧と東欧の狭間で荒らされて息苦しく生き生きと生存してきた地ならではの
苦汁の中で泳ぎつつ苦渋の沼から解き放たれようとする気概の音楽である。

本の作りとしては、
原語表記だけでなく
アーティスト名や作品タイトルが現地語に近いカタカナ表記で併記されている点も特筆したい。
アマゾンなどの大手の通販サイトではフォローされていないものも多いらしいから、
この地域の音楽のCD等が買えるサイト等の紹介ページもありがたい。
現地の言葉の読み方などのガイドや諸々のコラムも実用的で辛味の効いたスパイスだ。

個人的には今年もライヴで、
映画宣伝のVALERIAの方の協力でポーランドのミュージシャンとの素敵な出会いがあった。
本書でも扱われているモヒカン女性フリーキー・ピアノ弾きのJoanna Duda(ヨアンナ・ドゥダ)や、
自由形ながらローファイに甘えず観客の度肝を抜いたグループの
MALE INSTRUMENTY(マウェ・インストゥルメンティ)もそうだ。
一部の人以外は日本だと未知の領域とはいえ、
毎年“ポーランド映画祭”で出会う映画と同じく“こういう見せ方があるのか・・・”とビックリする。
楽しく見せるライヴでも、
やはり日本や米国や英国などと違って地続きの国境の多い国の過酷な歴史が表現に染みているのだ。

英語表記ではないものも多いバンド名や作品タイトルからして取っつきやすいとは言いがたいが、
音楽そのものは必ずしもそうではない。
僕みたいにこの地域の音楽に馴染みが薄い人間にとって敷居が低くない本でもある。
けど敷居を乗り越えなければ次に進めないし世界観は広がらない。
そうするだけの価値のある辺境、
いや“秘境”の音楽を探る糸口や手ほどきになる一冊だ。


★『中央ヨーロッパ 現在進行形ミュージックシーン・ディスクガイド~ポーランド、チェコ、スロヴァキア、ハンガリーの新しいグルーヴを探して』
監修:オラシオ
価格:2,500円+税
A5 / 200ページ / 並製
発行:DU BOOKS
http://diskunion.net/dubooks/ct/detail/DUBK084


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コメント

現在進行形っていう所が珍しいですね。買いですね。

行川さんが、その2枚をどう紹介しているのかも興味深いです。

相変わらず、音楽と共に向き合い続ける行川さんは圧巻です。

前進したいです。

LIFEさん、書き込みありがとうございます。
この地域の音楽は馴染みがないので少しずつ入っていきたいです。民俗音楽や昔のものに頼らない姿勢というのもポイントの本ですね。

購入しました

まだざっと流し読みしたくらいのところですが、本当にジャンル問わず、かつオーソドックスなロック(メタル、パンク含む)がむしろ少ないということで、チャレンジングな本だなあと思いました。
個人的には、行川さんが書かれてるのと同じく、歴史や風土を反映したいろいろな意味で「重い」音像に興味がありますので、掲載盤の中では、アヴァンギャルドなジャズ等からぼちぼち聴いてみたいなあという感じです。
音楽以外のアートや料理等を扱ったコラムも、彼の地の文化を知ってほしいという愛情が伝わり、いいと思います。

ただ、やっぱり、メタルやパンク、プログレ(80年代以前のものも含む)の盤についても読みたかったですね(笑)。

Fripperさん、書き込みありがとうございます。
監修の方や中心になって携わった方がこの本で取り上げた系統の音楽に精通しているため、こういう内容になった感じだと思います。まあ、たとえばデス・メタルのVADERとか、欧米のバンドあまり変わらないバンドをたくさん入れると、この本だと違和感が出るかもしれません。パンク系は母国語のバンドも多いので、文化的にももっと入れても良かったかも。
この地域や音楽をはじめとする文化に対する熱意と愛情が伝わってくる本ですね。もっと昔のものも知りたい感もありますが、ノスタルジックな音楽本が目立つ中で、やはりチャレンジ精神が光ります。

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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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