なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

NEIGHBORHOOD BRATS『Recovery』

NEIGHBORHOOD BRATS『Recovery』


女性シンガーを擁する米国LA拠点の“現行”パンク・ロック・バンドが、
数タイトルのEP等のリリースを経て今秋発表したファースト・フル・アルバム。

僕が買ったのはドイツのレーベルから出たLP で
日本だと簡単に入手できなくなっていたから紹介は控えていたが、
日本でも比較的入手しやすいレーベルでWHITE LUNGの諸作も出してきた
カナダのDERANGED Recordsからバンド初のCDのフォーマットでも発売されたから、
ピックアップしたい。

NEIGHBORHOOD BRATS初体験の方はもちろんのこと、
これまで7”レコードなどを追ってきた方も納得の深化で胸のすく期待どおりの快作である。
アルバム1枚分以上世に出している既発表曲を一曲も入れてない楽曲構成にも、
“今が最高!”という意識が覗けて感服する。


パンクは言い訳しやすく便利でもある“ジャンル”で、
“ウソ”だろうがテキトーにセールス・ポイントをデッチ上げて“それっぽく演出”すれば人目を引きがちだ。
けどこれだけ無数のバンドがひしめく中、
周囲の人間を含めて“戦略”だけ達者な頭デッカチのバンドに費やす時間がもったいない。
結局セレクトして金と労力を費やすに足るグレイトなバンドはまず楽曲が素晴らしい。
演奏に関しては、
70年代のパンク・ムーヴメント以前のスタイルで習熟したミュージシャンからした下手に映るのかもしれないが
(UKパンクのルーツでもあるDR. FEELGOODのリーダーだったウィルコ・ジョンソンですらそう言った)、
グレイトなパンク・ロック・バンドは身内以外も引きつける個性の演奏力も身に着けていた。
NEIGHBORHOOD BRATSはそういうパンク・ロックの70年代から現代までを凝縮している。


LAのXの初期やBAGSをはじめとする70年代後半のハリウッド・パンクに、
BUZZCOCKSと81年までのBLACK FLAGと90年までのBAD RELIGIONが加勢し、
ポップにハジけながらメロディアスに加速したかのようだ。
ツー・ビートで疾走する曲も多く、
まっすぐ走る音を導く起伏に富む迷い無きソングライティングも強力に迫る。
太い音のギターとスピード感を絶やさないリズム・センスのベースやドラムのブレンドは芳醇ですらある。
覚めて冷めたトーンのヴォーカルにも痺れる。
適度なアート感覚を内包しつつ、
シンガーの女性がライヴだと長髪を振り乱しながら半ズボンで歌ったりもしている姿が想像できる。

必ずしも歌を前面には出さずにヴォーカルと楽器が混ざり合って押し寄せてくるこのサウンドは、
むろん巷で言うところの“大人のロック”じゃない。
だがいい意味で“大人”である。
フランソワ・トリフォーの『大人は判ってくれない』はグレイトな映画だが、
そういう邦題自体がハードコア以降の価値観では甘すぎる
(ちなみにツカミOKのフレーズだが『大人は判ってくれない』という邦題は原題とはかけ離れている)。
そもそも大人なんかハナっからアテにしてない。
依存心が強く吐き気がするほど子供っぽいサウンドとは百万光年かけ離れている。
“大人”でも決してgrowing up(すっかり成長し切る)ということはないアルバムだ。

NEIGHBORHOOD BRATSのパンク・ロックはハードコア・パンク以降の凛然とした響き。
それでいてポップだ。
かつてYOUTH OF TODAYもGO-GO’Sもカヴァーした
一見ありえないセンスと価値観が納得できる。
自分のことは自分でやる。
馬鹿の一つ覚えみたいにDIY!を売りにするバンドではないが、
日常レベルでのそういう意識がまっすぐなサウンドからさりげなく伝わってくる。
「ハードコアで大事なのは、自分に対する責任だった」と語る、
マイク・ワット(MINUTEMEN~FIREHOSE~STOOGES)の言葉が似つかわしい。

このアルバムの曲を流しながら他のことをするのは難儀だ。
気持ち良く掻き乱されるし嫌でもカラダが動いちまう。
これぞ現在進行形の“ハードコア”パンク・ロック。
グレイト。


★NEIGHBORHOOD BRATS『Recovery』(TAKEN BY SURPRISE SURPRISE 048)LP+ダウンロード・クーポン
厚手の紙の歌詞カード封入の12曲入り。
冒頭で書いたようにDERANGED Recordsから同じ曲と思しきCDもリリースされている。


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コメント

発売してたのですね。。。シングル等もグレイトでしたので、最高の作品と予想しています。
直ぐ購入ですね!

666さん、書き込みありがとうございます。
円高に加えて送料が上がったためかLPの輸入盤の値段がかなり高くなっているので、CDリリースはありがたいですね。

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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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