なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

AC/DC『Rock Or Bust』

AC/DC『Rock Or Bust』


約6年ぶりのアルバム。
初期はAC/DC出身国のオーストラリアと外国とで別内容の作品を出していたから数えにくいが、
15作目ということになるだろうか。

リーダーである弟のアンガス・ヤング(g)と共に73年の結成以来ずっとバンドを支えてきた
リズム・ギタリストのマルコム・ヤングが病気により離脱。
マルコムに関しては本作の全曲をアンガスと書いたというクレジットがなされ、
ヤング兄弟の甥のスティーヴ・ヤングがリズム・ギター担当のメンバーとしてクレジットされた。


穏やかな風貌でいなから頑固一徹な“リズム・ギター職人”のマルコム不在の影響は少なくない。
ヤング兄弟のギターの交感によるケミストリーは当然のことながら聴こえてこないし、
どことなくカッチリしている。
だがドラムは最近離脱が伝えられているとはいえオリジナル・メンバーのフィル・ラッドが叩いており、
適度にゆるくてバッチリだ。

プロデュースは前作『Black Ice』に引き続きブレンダン・オブライエン。
厚みのある音作りでメジャー感たっぷりの仕上げに定評があり、
90年代後半以降の米国のヘヴィ系メインストリーム・ロックの音のスタイルを作り上げた売れっ子だけに、
シンプルな曲ながらライヴとは一味違う緻密なレコーディングできっちりまとめている。
クリフ・ウィリアムズのベースもズンズンズンズンよく聞こえて、
あのさりげないドライヴ感がいかにAC/DCの“隠れ肝”かもわかる音のミックスだ。
総じて中低音がよく出ているからずっしりと下腹部にこたえるアルバムである。


ギターが色っぽく艶っぽい。
アンガス・ヤングの円熟のギターが依然として不敵なツラ構えで鳴り響き、
おのれ自身が電極となってエレクトリックな音を震わせる。
何しろ音が“元気だぜ!”と言っとる。
確かにリフはハード・ロックだが、
毎度のことながら“ポップ”だ。

MOTORHEADRAMONESと同じくAC/DCの曲も決して“金太郎飴”じゃない。
むしろおのれの核にビシッ!と貫かれた“型”をもっているからこそいかようにもヴァリエーションを広げられるわけで、
どういう風体の曲だろうがAC/DCに聞こえるのだ。
“AC/DC節”とも言うべき豪快なリフで一刀両断!みたいなミディアム・テンポ・ナンバーは多くなく、
比較的アップ・テンポの曲が目立つ。
イアン・デュリーの「Sex & Drugs & Rock & Roll」を思い出すファンキーなギターの曲あり、
LED ZEPPELINの「Black Dog」がシンプルになったような曲もありだ。
AC/DCの無敵のクラシック・ナンバー群に混じっても埋もれることがない曲で起伏に富み飽きさせない。


有名無名問わずリアルなロックンロール・バンドのすべてそうであるように、
AC/DCの歌詞も他愛のない無意味なことを歌っているようで実は深い。
イメージを限定する政治的な用語は避けているが、
今回もさりげなく主張含みだ。
特に「Dogs Of War」は、
なぜAC/DCが錆びること無き鋼の音で40年以上ロックンロールし続けているかが伝わってきてグッとくる。
歌詞カードを眺めながら聴くとまたAC/DCの面白さが
アンガス・ヤング愛用のマーシャル・アンプによる音の如く増幅されること必至だ。

まさに“ロックしろ、でなきゃオシマイだ”なのである。


★AC/DC『ロック・オア・バスト』(ソニー・ミュージックエンタテインメント SICP 4350)CD
約35分11曲入り。
写真で彩った24ページのオリジナル・ブックレットに加え、
日本盤は歌詞とその和訳が読みやすく載った20ページ別ブックレットも封入。
初回盤はレンティキュラー(表面に立体効果レンズ)が貼り付けられたジャケットのデジパック仕様だ。


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コメント

現在フィル・ラッドが気になりますが、こちらは前作(悪魔の氷)同様にグレイトな作品かと思います!
初回のジャケットに拘らずに、ボーナス・トラックが欲しかったですが。。。
オーソドックスで変わらないスタンスがKISSの新譜同様に感じられます。

今年はグレイトなリリースが多かったように思えます。
アーチ・エネミーやカヴァレラ・コンスピラシー、そしてWHITE LUNGと。。。
まだ2014年ですが、次々の紹介等楽しみにしています!

666さん、書き込みありがとうございます。
AC/DCクラスの超ビッグ・ネームだとボーナス・トラックは難しいのでしょうね。
ほんと今年は良作が多かったです。多くのメディアではあまり話題にされず埋もれてしまっているものが多く、そういうものをなるぺくフォローしたいですが、誰もが知っているこういうバンドでもグレイトなものはしっかり取り上げたいです。

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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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