VELVET UNDERGROUND『The Velvet Underground』[45th Anniversary Version Deluxe Edition]
2015-01-17

VELVET UNDERGROUNDのサード・アルバムのリリース45周年記念リイシュー。
CD6枚の大まかな内容はレコード・コレクターズ誌2014年12月号で、
オリジナル盤の曲解説は同2015年2月号で書かせていただいたからここでは省くが、
現物のクレジットから察するに全音源が新たにマスタリングされているようだ。
とはいえイマドキのCDみたいに音圧を必要以上に上げてなく、
ヴォリュームつまみをレコードぐらい上げないとヴォリューム感が出ない作りで、
アナログな仕上げの音と言える。
オリジナル・アルバム以外の音源も少なからず漁ってきた方ならば出会っているであろう
ディスク4までのCDより、
69年の11月26日と27日のライヴを編集した全18曲のディスク5とディスク6が実は聴きどころだ。
『1969: The Velvet Underground Live』と『The Quine Tapes』の曲
(前者が5曲、後者が37分近くの「Sister Ray」の1曲)以外は、
クレジットによれば全18曲中11曲が“未発表パフォーマンス”とのこと。
ただし本作のそのクレジットは不親切なようで、
前述の原稿を書くために日本盤発売元のレコード会社の方からいただいた資料に書かれていた
“different source mix of this performance appears on 1969 “The Velvet Underground”
“different source mix of this performance appears on The Quine Tapes Box Set”
というのがより正確と思われる。
つまり既発表に見える曲もマスター・テープの”ソース”が違うものみたいなのだ。
同じ日のライヴ・テイクでも録音元の違いに加えてリマスタリングの影響も大きいのか、
同じ日のライヴ・テイクには聞こえない。
『1969: The Velvet Underground Live』や『The Quine Tapes』、
さらに言えば68年秋から69年の春までのセミ・オフィシャルCDなどで聴ける大半のライヴ・テイクより、
スッキリした音源でまとめられており、
いわば『The Velvet Underground』のスタジオ録音のサウンドに近い。
「Venus In Furs」や「Sister Ray」から「After Hours」や「Sweet Jane」までもが、
『The Velvet Underground』っぽいアレンジで披露されている。
しかもこのディスク5と6の2枚の中で曲のダブりはなく一つのショウのような構成が成されている好編集なのだ。
爛熟間際のパフォーマンスが堪能できる。
どんなにシンプルになろうがやっぱり深い。
今回も横約30センチ、縦約25センチのハード・カヴァーのブック仕様で、
メンバーの写真に加えてライヴの告知のチラシ/ポスターの写真で彩った72ページの“写真集”綴じ込み。
むろん厚手の紙を使っていて物理的な意味も含めて重み十分の仕上がりだ。
存命中の本作参加メンバーである
モーリン・タッカー(ds、per、vo)とダグ・ユール(b、vo、kbd、p、)の思いは言うまでもないが、
VELVET UNDERGROUNDに対する制作関係者の誠意と敬意と愛情がさりげなくあふれている。
VELVET UNDERGROUNDが好きであれば買う価値ありありのリイシュー盤だ。
★VELVET UNDERGROUND『The Velvet Underground』[45th Anniversary Version Deluxe Edition](UNIVERSAL 602547005069)6CD
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