なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

THEM CROOKED VULTURES『Them Crooked Vultures』

ThemCrookedVulturesCover.jpg


ジョン・ポール・ジョーンズ(b、kbd他~元LED ZEPPELIN)、
ジョシュ・オム(vo、g他~元KYUSS、現QUEENS OF THE STONE AGE)、
デイヴ・グロール(ds他~元SCREAM/NIRVANA、現FOO FIGHTERS)、
によるバンドのデビュー・アルバム。
これがまた期待以上のナイス!な出来である。


NIRVANAに入った頃のデイヴが当時のジョシュのバンドのKYUSSを観に行った17年前から二人は友達で、
QUEENS OF THE STONE AGEの『Songs For The Deaf』(2002年)の大半の曲に、
デイヴはドラムで加勢した。
ジョンはFOO FIGHTERSの『In Your Honor』(2005年)にピアノとマンドリンで参加している。
そんな関係でジョシュとデイヴがまずサイド・プロジェクトをやろうと話をしているうちに、
デイヴがジョンに電話をして呼び出し、
今年1月にジャム・セッションをしてその場で誰からともなくバンド結成を宣言。
翌月にはレコーディングを始め、
誰かが持ってきたアイデアをネタにスタジオでジャムりながら次々と曲を作っていき、
8月までの間に断続的に作業を進めてアルバムを完成させたのであった。

二人はジョンにたっぷりと敬意を払ったのであろう、
LED ZEPPELIN(特に『Houses Of The Holy』や『Physical Graffiti』の頃)を思わせるパートが多い。
けど甘いメロディのギターと歌声でリードするジョシュの色も強く、
歌は極力抑えてドラムに集中したデイヴがその二人を後ろから蹴飛ばしているみたいなサウンドだ。

生まれた曲は全部ぶちこんだ約67分13曲入りというヴォリュームにもかかわらず、
あっというまの居心地のいい時間の流れにしているソングライティングと構成力もさすが。
アラン・モルダーのプロデュースぶりも、
ニューウェイヴ/オルタナティヴ・ロック系を手がけて培ってきたポピュラリティを活かしたものである。
ヘヴィなロック感と暗いポップ・センスと変態的な実験性の三人の相性の良さも感じられ、
ロック・トリオならではのギリギリのダイナミズムにもあふれている。
何より真剣に取り組みつつリラックスして楽しみながらレコーディングしたことが伝わってくるのだ。

スコット“ワイノ”ワインリック(元OBSESSED他)とアル・シネロス(元SLEEP、現OM)と
スコット・ケリー(NEUROSIS他)とデイル・クローヴァー(MELVINS他)による
SHRINEBUILDERが頭をよぎった。
根本的にベクトルとキャラが違うと言われればそれまでだが、
ちょっと前にリリースされた彼らのデビュー作『Shrinebuilder』が、
良くも悪くも緊張感に覆われたオムニバスっぽくてちょっと考えさせられただけに、
『Them Crooked Vultures』のシリアスなハジケ方が痛快なのであった。

THEM CROOKED VULTURESの三人に挑戦的という意識はないのだろうが、
守りに入らず新しいことに絡んでいく姿勢の音楽を聴くとこっちも元気をもらえる。

特にジョン・ポール・ジョーンズ。
確かに“前科”はあった。
テキサスの変態パンク/オルタナティヴ・ロック・バンドの、
BUTTHOLE SUFERSの93年のアルバム『Independent Worm Saloon』をプロデュースした。
米国出身の実験的なヴォイス・パフォーマー/音楽家の、
ディアマンダ・ギャラス(Diamanda Galás)の94 年のアルバム『The Sporting Life』も一緒に作った。
そんな具合に昔から進取の精神に富む好奇心旺盛なアーティストではあったが、
今回は63歳にしてこれとは!ってなサウンドだ
しかも明らかに楽しんでやっている。
敬意をもって言わせてもらうと、
たのもしいジジイ!ある。

QUEENS OF THE STONE AGEにしてもFOO FIGHTERSにしても、
最近のサウンドは昔のアルバムほどのめりこめなくなっているから、
THEM CROOKED VULTURESをまたやってほしいと思ったりして。

ともあれ町田康がINU時代に「つるつるの壺」で歌ったように、
“お前の頭を開いてちょっと気軽になって楽しめ”。


●THEM CROOKED VULTURES『Them Crooked Vultures』(RCA 88697-61936-2)CD
厚手の紙の24ページのブックレット付。
ちなみに和訳しにくいニュアンスのイカレたバンド・ネームの名付け親はジョシュである。


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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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