なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

DOORS『Live In New York』

DOOR0.jpg


60年代後半から70年代頭にかけてLAを拠点に活動したDOORSのCD6枚組のライヴ・ボックス・セット。
この1年半後にドラッグ+αで亡くなったジム・モリソン(vo)のニューヨーク最後のステージである、
70年の1月17日と18日の4回分のライヴが収められている。


スタジオ録音盤の良さもわかるがライヴ盤が好きだし、
“プロデュース”されてない発掘音源も大好きだ。
多少冗長に感じられるところも含めて、
特にこういうドキュメンタリー・タッチのライヴ盤がうれしい。
ざっくばらんなMCと激しいトークもしっかり収めてチューニング・タイムもカットせず、
全体的にはリラックスしたライヴ・パフォーマンスの空気感をナマのままパックした仕上がりである。

ジム・モリソンの実質的な遺作『L.A. Woman』(71年)やMC5の『Kick Out The Jams』も手がけた、
ブルース・ボトニックがプロデースと録音とミックスを行ない、
世に出すことを前提にしてレコーディングしただけに音質もパーフェクト。
トータル400分強のヴォリュームで少なからず曲もダブっているから初心者向きとは言いがたいが、
どのセットもクオリティが高いからマニアックとも言いたくない。
パンク/ハードコアが好きな人はオススメしたいDOORSのライヴ盤は、
どちらかというと1年前に発売されたアルバム・デビュー時のステージの『LIve At The Matrix '67』だが、
そのハラハラさせる緊張感とは別の魅力がある。
どっしり構えたパフォーマンスで圧倒するのだ。
4セット、いい意味でムラがない。

「Roadhouse Blues」をはじめとしてリリース直前だった5作目『Morrison Hotel』の曲がやや多めだが、
ファースト『The Doors』(67年)の曲も目立つ。
とはいえ「Light My Fire」「Alabama Song」「Back Door Man」は全セットで披露したが、
長尺の代表曲の「End」をやったのは一セットだけ。
セカンド『Strange Days』(67年)の長尺の名曲「When the Music's Over」は4セットで繰り広げている。
むろん4回のセットリストはすべて異なり、
すべて違った表情のライヴになっているのもDOORSならでは。
退屈を嫌ったであろうジム・モリソンのバンドだから同じライヴは二度とない。
インタープレイ/インプロヴィゼイションが比較的少なめなのもこの両日のプレイの特徴だ。

それにしても2日間で4回のステージ、
しかも一回分が平均100分、
それでこのエナジーのパフォーマンス、
恐るべしである。


ずっとサイケデリックな感覚は大好きだったが、
ずっとブルース臭のするものにのめりこむことはあまりなかったから、
DOORSもすべての曲を好きになるのは90年代に入ってからだった。
ジム・モリソンのヴォーカルの彫りの深さを感じ取れるようになると、
“ああそういうことか!”とロックの謎がひとつ解けた気になった。
同時にパンク・スタイルのヴォーカルの“ポーズ”も見えてきてしまい、
ほんとうにワイルドな響きというものに思いをはせるようになった。

からだのなかの“どこから声をだしているのか”。
こころのなかの“どこから声をだしているのか”。
なぜ歌うのか。
なぜ叫ぶのか。

なぜ書くのかという自問自答も迫られる。

パンク/ハードコア以降のシンガーにもジム・モリソンの喉が受け継がれてはいる。
たとえば、
70年代ならJOY DIVISIONのイアン・カーティス、
80年代ならDISCHARGEのキャル、
90年代ならVISION OF DISORDER~BLOODSIMPLEのティム・ウィリアムズなど。

ジム・モリソンは悠々自適な自由人で、
得体の知れないデーモンを宿しつつ背負っているものがあまり感じられず身のこなしがしなやか。
だからこそまろやかで艶っぽい歌声でもある。
ゆったり構えているようでジム・モリソンは速かった。
何年もかかるところに数年で行き着いた。
71年7月の他界は自殺ではないという説も有力だが、
脂が乗り切ったこのヴォーカルに耳を傾けていると爛熟を潔しとしなかったように思えてならない。


●DOORS『Live In New York』(RHINO R2 521457)6CD
ブックレットも紙製のCDケースもハードカヴァーの書籍みたいな体裁で、
チケットのデザインの小箱に入っている。
味わい深く重厚なパッケージは本作の音楽にふさわしい。


スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事へのトラックバックURL
http://hardasarock.blog54.fc2.com/tb.php/141-f78f37bf

 | HOME | 

文字サイズの変更

プロフィール

行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

最新記事

最新コメント

最新トラックバック

月別アーカイブ

カテゴリ

未分類 (9)
HEAVY ROCK (241)
JOB/WORK (291)
映画 (254)
PUNK ROCK/HARDCORE (0)
METAL (43)
METAL/HARDCORE (47)
PUNK/HARDCORE (413)
EXTREME METAL (129)
UNDERGROUND? (94)
ALTERNATIVE ROCK/NEW WAVE (121)
FEMALE SINGER (42)
POPULAR MUSIC (25)
ROCK (83)
本 (9)

FC2カウンター

検索フォーム

RSSリンクの表示

リンク

このブログをリンクに追加する

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QRコード

FC2Ad

Template by たけやん