なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

ENGLISH DOGS『The Metal Years』

ENGLISH DOGS


80年代半ばに精力的な活動して断続的ながら現役続行中の、
英国の(メタル・)ハードコア・パンク・バンドによるCD2枚組での編集盤。

12"EP『To The Ends Of The Earth』(84年)と
セカンド・フル・アルバム『Forward Into Battle』(85年)の計約54分14曲をディスク1に、
12”EP『Metalmorphosis』(86年)と
サード・フル・アルバム『Where Legend Began』(87年)の計約63分12曲をディスク2に収めている。
どの音源もCDでリイシュー済だが、
GBH直系のハードコア・パンクだった初期とは違い、
タイトルどおりにメタルに突入した時代の4タイトルが一気に聴けるお得なセットである。

名作デビュー12”EP『Mad Punx & English Dogs』(83年)を作った
ギタリストとベーシストとドラマーは残ってはいるが、
新シンガーさることながら、
2000年代後半以降のスティーヴ・イグノラント(元CRASS)のライヴで弾いている“業師”ギズ・バット(g)が加入し、
ツイン・ギター体制になったことも大きい。


『To The Ends Of The Earth』は初期に入れ込んだ人間がリアル・タイムで聴いたなら、
少なからずショックを受ける。
ツー・ビートの曲が大半ながらクロスオーヴァーの先駆バンドと呼ぶにはゆるく、
JUDAS PRIESTをはじめとするブリティッシュ・ヘヴィ・メタルのパンク解釈みたいなのだ。

続く『Forward Into Battle』は今だと僕も“隠れ名盤!”と断言するが、
昔酷評したことがある。
80年代半ばの頭デッカチな英国パンク/ハードコア勢に蔓延していた、
“ヘヴィ・メタルに対するハードコア・パンクの優位性”の価値観の洗礼を僕も受けていたからだ。
UKハードコア・パンクがメタルに接近していた80年代半ばのバンドの中でも特にメタル度が高く、
ギターがよく泣いていて民謡のメロディも取り込んだ構築美も“かなりのもの”ながら、
メタル畑の人が聴いたらパンクにしか聞こえないであろうハイブリッド感は他にない。
たとえば当時のG.I.S.Mや日本のGHOULとも違うゆるいメタル・パンクで、
ガラガラ声ながら濁声とは一線を画すGBHスタイルの喉でしっかり歌っているヴォーカルもポイント高い。
いい湯加減の“もたつき具合”がたまらないのだ。
一人残らず絞殺する勢いでタイトに演奏するバンドや不寛容な思想のアーチストに息苦しさを覚える昨今、
えらく気持ちイイ。
『Forward Into Battle』は今時のメタル・パンクとも違うパンク/メタルな快作だ。
細いことはどーでもいいロックでいいじゃねーかってわけである。


『Metalmorphosis』は曲が長くなってよりヘヴィ・メタル度を高めている点で、
同時代のHERESYやCONCRETE SOXやSACRILEGEやNAPALM DEATHよりも
“先を行っていた”レコードだ。
当時のONSLAUGHTと“いい勝負”、
いや“いなたさ”でENGLISH DOGSに軍配を上げたい。
メタル・パンクというよりパンク・メタルでイイ。

『Where Legend Began』は5分以上の曲が大半を占めることが象徴するように
ヘヴィ・メタル路線をさらに推し進めてリリース後まもなく活動停止に突入したアルバム。
活動が止まったのもうなずけるほど臆面もなくメタル・アプローチをしたにもかかわらず、
イイ感じでズッコケた様がパンク以外の何モノでもなくて渋い。
テクニカル・テイストとスラッシュ風味を強めて
早すぎたも遅すぎたもヘッタクレもない味わいがこれまたたまらない。
同時代のUSクロスオーヴァー勢はもちろんのこと、
CRO-MAGSやAGNOSTIC FRONTをはじめとするニューヨーク・メタリック・ハードコア・パンク勢の
筋骨隆々サウンドにはケンカで負ける。
だがそこがいいじゃないか。
インストで迫る8分強のラスト・ナンバーも妙に泣ける。


当時のロック/メタル/パンク/ハードコア・シーンではどこにも居場所がなかった。
どこにも所属し得ない者に幸あれ!ってわけである。


★ENGLISH DOGS『The Metal Years』(CANDLELIGHT CANDLE456)2CD
収録された4作品ごとに詳細なセルフ・ライナーが載った、
LP『Forward Into Battle』のジャケット・デザインが表紙の16ページのブックレット封入。


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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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