なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

The POP GROUP at 東京・恵比寿リキッド・ルーム 3月1日

THE POP GROUP


78年の頭から本格的に活動を開始して80年の末に分裂するも2010年に再編された、
英国ブリストル出身のポスト・パンク・バンドの初の日本単独公演。
今回日本ではこの一日だけのライヴだったから東京周辺以外の地域からもファンが詰めかけ、
観る場所を確保するのも大変なほど超満員の大盛況で、
バンド側もそういう新旧のファンの期待に応えるパフォーマンスを披露してくれた。


マーク・スチュワートとのレコーディング音源も楽しみなK.K.NULL(ZENI GEVA)と、
ZAZEN BOYSという、
ブッキング担当者のナイスなセンスがうかがえる組み合わせの両者の好演後に
The POP GROUPが登場。
マーク・スチュワート(vo)、ガレス・セイガー(g、kbd他)、ブルース・スミス(ds、コーラス)、
ダン・カトゥシス(b)のメンバー4人に加え、
GALLIVANというバンドをやっているアレクシ・シュリンプトン[Alexi Shrimpton](g、コーラス)が
サポート・メンバーとして加わったステージである。
ブルースはステージ中央後方に陣取り、
ステージ向かって左側にガレス、
右奥にダン。
助っ人ながらアレクシは右前方に立ってバッキング・ヴォーカルでも大いに貢献していた。

リリースされてから1週間経ってなかった新作『Citizen Zombie』のタイトル曲からスタートし、
79年のファースト・アルバム『Y』のオープニング・ナンバーの「Thief Of Fire」が続く。
以降ニュー・アルバムの曲と昔の曲を交互に披露していき、
新旧の曲を混ぜこぜにして違いと接点をブチまけるセットリストだった。

30年のブランクがあったとはいえ昔の曲はさすがにメンバー4人の中で馴染んでいて、
新曲はまだこなれてない部分も感じたが、
昔と同じくライヴはスタジオ録音盤の“コピー”はしない。
完成度とはかけ離れている。
だが、だからこそThe POP GROUP。
どう転ぶか、
どこに向かうか、
わからない。
いい意味でメンバーそれぞれがバラけていて、
どこに飛ぶのかわからない。
常に現在進行形のエナジーが解き放たれている。
それがThe POP GROUPってもんである。

パワフルな音でも完成度が高いだけでエナジーを封じ込めた“優等生”とは別モノだ。
なぜならThe POP GROUPの表現は生き物であり生もの(ナマモノ)だから。
ゆえに永遠の未完バンドである。
growing upしたら(成長し切ったら)オシマイだ。
それこそ名曲「We Are Time」のテーマではないか。
息苦しい一体感とは別次元の空間に飛ぶべく、
みんな向かっているところがバラバラなのに観客も自由なひとつの空間を作り上げていた。
ステージ上からゆっくりと放射される熱度やエナジーと交感して
アナーキーの理想的な磁場ができ上がっていた。

日頃から浮ついている人は何か事が起こるとコロッと変わってしまう。
だがThe POP GROUPは
表面的に新しいスタイルを取り込んで音楽的にも言葉的にも“語彙”を増やしつつ、
根っこがまったく変わってないこともモロに見せた。

他のメンバーもさることながら、
やはりマーク・スチュワートだ。
ソロ名義でのライヴ以上にThe POP GROUPでのステージは本質が際立つ。
“変わってない”という最上のホメ言葉しか出てこない。
79年のファースト・アルバム『Y』からヴォーカルがまったく変わってない。
アレをコピーしたわけではなく、
ああにしか成り得ない。
なぜなら意思も意志もまるっきり変わっていないからである。

声だけではない。
存在感も圧倒的だ。
2メートル近くと思われる背丈というのもあって一挙一動ちょっとしたことでも迫力がハンパない。
写真ではキメたような顔も見せてはいるが、
ステージでは戦士も闘士も超越した形相で、
たとえ本人が否定しようがカリスマ性に磨きがかかっていて、
マーク・スチュワートは存在自体が表現の人だ。

マークがソロ・ライヴ等でも盛り込んでいたThe POP GROUPのアンセム「We Are All Prostitutes」はやったが、
同時期の80年のセカンド・アルバム『For How Much Longer Do We Tolerate Mass Murder?』の曲は
一つも披露しなかった。
でもそれは正直で誠実とも言える。
あのアルバムの曲をやるには音楽的に猛烈なテンションが必要だし、
今のThe POP GROUPがやるには歌詞も極端すぎて、
すべて不自然に成り得るからだ。

だが、
本編ラストは代表曲の一つで昔からライヴの締めの曲だったバンドのテーマ曲「We Are All Time」、
アンコールはThe POP GROUP随一のキャッチーな強靭ファンク・チューンの「Where There’s A Will」。
その2曲の流れで為すべきことが見えてきた。
まだまだやらないといけないと思った。
もっともっと頑張らないとと思った。

1時間15分弱、
新作『Citizen Zombie』を聴いている時と同じく自分の原点を見つめ直す貴重なライヴだった。


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コメント

おお!

私もPOP GROUPが音楽経験の原点です
行川さんも当然サマソニでも見ていると思いますがそのときの方が新鮮な衝撃がありましたが今回もグレイトでした
口先だけで原点原点と言うライターもいる中でフェスにも足を運ぶ行川さんリスペクトです

Kichizawaさん、書き込みありがとうございます。
以前のブログで書いたようにサマソニは見送りましたが、今回のは体験できて感無量です。The POP GROUPは音楽的にも考え方でもターニング・ポイントになったバンドですね。

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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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