なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

HAUNTED at 渋谷クアトロ 5月11日

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90年代の後半から活動を続けているスウェーデンのエクストリーム・メタル・バンド、
The HAUNTEDの2015年の日本ツアー。
東京と大阪でのライヴだが、
その初日の東京公演は満員の観客でふくれあがった。


昨年の起死回生作『Exit Wounds』の頭の2曲で始めたセットリストで
まんべんなく曲を披露・・・と言いたいところだが、
やはりノリが違うからであろう前2作の『Versus』と『Unseen』の曲は外されていた。
だがむろん“二代目&出戻りフロントマン”のマルコ・アロ(vo)でレコーディングしてない
その他のアルバムの曲はたくさん披露してくれた。

スラッシュ・メタルと呼ばれることが多いバンドだし、
つんのめる“突貫チューン”はThe HAUNTEDの真骨頂だと肉体で痛感した。
“ヨーロピアン・スラッシュ”と呼ぶべきシャープな響きがたまらないわけだが、
彼らは一曲の中でというより曲によって違う緩急の落差でステージ全体の流れを作っていく。
だからフロアーでひんぱんにサークル・モッシュが起こるノリとは一味違い、
ファッションも含めてスポーティな色合いも強いアメリカのスラッシュ・メタル・バンドとは
似て非なる美意識がステージから放たれていた。
中盤にやった最新作『Exit Wounds』収録曲「Trendkiller」の曲名どおりに、
まさに“トレンド殺し”のサウンドである。


ダークなヘヴィネスと緻密なリズムがAT THE GATESに似ているのは、
ヨナス・ビョーラー(b、バッキング・ヴォーカル)とエイドリアン・アーランドソン(ds)が
掛け持ちしているバンドだから必然だが、
The HAUNTEDは凍てついたメロディを殺ぎ落としたサウンドがひたすらクールだ。
その二人のビシッ!とハジキ出す叩き出す音がカッコいいとしか言いようがない。
特にThe HAUNTEDから10年以上離れていた“出戻りオリジナル・ドラマー”のエイドリアンの緻密なドラミングは、
バンドに初期のエネルギーを容赦なく吹き込んでいる。
AT THE GATESの今年の来日公演に続いて“殊勲賞”ものの演奏で、
バンドの音を変えるドラマーだし世界的にもっと評価されてしかるべきミュージシャンだ。

ヨナスと共にThe HAUNTEDをリードし続けているパトリック・ヤンセン(g)は
渋味の効いたリズム・ギターでヨナスやエイドリアンの音と共振。
一方で新メンバーのオーラ・エングランド(g)は臆せずリード・ギターを刺し入れていた。
そしてマルコ・アロ(vo)はハードコアな歌唱で歌い切る。
むろん2000年代のメタルコア/スクリーモ以降の米国ハードコア系ヴォーカルみたいに声がでかいだけでなく、
味わいもたっぷりなのだ。


ヴィジュアルの大切さもあらためて思わされたライヴである。
とにかくステージ映えするバンドだ。
ステージ両脇を固めるギタリスト二人は細身の長身でヨナスは中肉中背だが、
いずれもロング・ヘアー。
やはりロックやメタルにとって抗えない魅力なのだ。
その弦楽器隊3人は適度に動きながらクールに弾き出し、
エイドリアンは後ろで熱く叩き続ける。
その真ん中に“メタボ注意報発令中”とも想像できる小太り以上の体型のマルコがスキンヘッドで陣取り、
ダブついたハーフパンツ姿で、
しょっちゅうオチャメなアクションを交えつつ笑顔で次々と殺るシリアル・キラーみたいな形相で吠え歌う。
立ち姿もプレイしている姿もメンバー間のコントラストが絶妙のパフォーマンスなのだ。
そんなヴィジュアルで硬質鋼鉄パンク/メタルを叩きつけてくるんだからたまったもんじゃない。
黒一色で“武装”していた点も特筆したい。
ギターもベースも黒のボディの楽器が使われていたし、
Tシャツやタンクトップも含めてメンバー5人とも基本的に黒の服装でやはりクールだったのである。

そのTシャツも興味深かった。
マルコは
SEX PISTOLSのアルバム『Never Mind The Bollocks, Here's The Sex Pistols』のジャケットをもじった
“NEVER MIND THE YOUNG PUNKS THE OLD GUYS RULE”と書かれた Tシャツを着用。
ヨナスはフィンランドのグラインド・コア・バンドであるROTTEN SOUNDのTシャツを着用。
そして何かのバンドのものかどうかはわからなかったがエイドリアンは、
ジェフ・ウォーカー(CARCASS)在籍時のELECTRO HIPPIESのレコード・ジャケットみたいに、
マクドナルドを皮肉ったようなTシャツを着用。
バラバラなようでThe HAUNTEDらしいパンク・センスが表われているではないか。
実際ライヴもビシッ!と加速したパンク・ロックにも聞こえたし、
ミディアム・テンポの曲は“ハードコア・パンク・ロック”と呼びたいほどだったのである。


本編70分の後にアンコールに応えて最後の最後は、
“ヘイト・スピーチなんて目じゃねぇ!”とばかりにクラスター爆弾の如く無差別ヘイト!放射をする、
デビュー・アルバム『The Haunted』(98年)一発目のピュア・スラッシュ・チューン「Hate Song」で締め。
さすがである。

トータル80分全20曲。
マルコが適度にMCを挿入しつつダラダラしたステージ運びは一切なく、
モヤモヤがぜんぶ吹っ飛んでスカッ!とした一夜である。
そんでもって、
音楽に何ができるかなんてことも帰りの電車の中でちょっと考えてみた。
口ではなんとでも言える歌のメッセージとやらで励まされるなんてことより、
音そのものとパフォーマンスの直撃の方が百万倍リアルだと再認識したライヴである。


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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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