なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

OBITUARY『Inked In Blood』

OBITUARY『Inked In Blood』


米国フロリダ産の老舗デス・メタル・バンドの約5年ぶりの9作目。
これまた昨秋リリースされたアルバムだが、
一番好きなアメリカン・デス・メタル・バンドなんで今さらながら取り上げる。


前作『Darkest Day』(2009年)リリース以降にメンバー・チェンジがあり、
セカンドの『Cause Of Death』(1990年)からOBITUARYの重低音を支えてきたアレン・ウエストに代わり、
DEATH~MASSACRE~SIX FEET UNDERで弾いてきたテリー・バトラーがベース。
さらにオリジナル・メンバーの一人であるトレヴァー・ペレスと対を成すリード・ギタリストが
若手のケニー・アンドリュースに替わっている。

プロデュースも録音も自分らでやっていて、
もっさりした粗っぽい音の仕上がりがたまらない。
モダンなのはあっちいけ!とばかりのオールド・スクール魂の“原始力”全開なんである。
オープニング・ナンバーは
スラッシュ・メタルというより日本のGHOULの中期みたいなハードコア・パンク寄りのツー・ビートで走るが、
むろんリフの反復の応用で進める得意のスロー&ミディアム・チューンが中心だ。

それにしても感動的なほど“no progress”である。
“俺らこれっきゃできねーんだよ!(笑)”ってな潔さが問答無用の響きなのだ。
OBITUARYは“進歩”なんて知ったこっちゃない。
そもそも“進歩”が必ずしも正しくないってことはちょっと世界を見わたせばわかるわけだが、
OBITUARYは“ロック進化論”なんてもんも信じちゃいない。

アンドリューW.K.のバンドでも発揮してきたドナルド・ターディ(ds)の抜けのいいビートが核で、
スロー・テンポ主体ながらゆるいリズム感に貫かれた “ロックンロール”が肝だから変わることがない。
それこそホントMOTORHEADAC/DCの領域に達している。
ロックが持ち得る馬鹿馬鹿しいノリで残虐な音を笑っちゃうほどスルズル炸裂させている。
MORBID ANGELみたいな戦闘的サウンドとも一味違い、
青空のもとでじっくりと公開処刑を遂行していくみたいな
大らかだからこそ怖いアメリカン・デス・メタルの真髄なのである。

ヴォーカルはむろんいわゆるデス・ヴォイスではなくシャウト&スクリーム。
血を吐きながら身を削ってはらわたから声を千切り飛ばしているかのようだ。
OBITUARYの伝統にのっとって今回も歌詞を公表してない。
差別反対!と唱えて歌詞の重箱の隅をつついて糾弾して結局は選別抹殺している点でヒトラーと変わらない
ポリティカリー・コレクトな連中を嘲笑うかのようだ。
そもそも音楽にしろ映画にしろなんにしろ善悪つけられないもんを表現するからこそ必然性があり、
死ぬほど深くなりダイナミズムも生まれる。
頭デッカチな歌詞のケツの穴をフィスト・ファックする勢いで今回もジョン・ターディ(vo)は思いっ切り声を飛ばす。

“死亡記事”というバンド名を背負っただけにこのジャケットもナチュラルってもんである。
OBITUARYにしてはいつになく生々しくリアリスティックで
これぞデス・メタル!な写実的ジャケットに象徴されるように、
これまで以上に突き抜けて不穏な空気感が乾いた質感で渦巻いている。
いわゆる“9.11”の時期は活動停止状態だったが、
世界中の現況を活写したかのようである。
漫画ちっくなホラー映画テイストのデザインのアートワークが多かったバンドだけに興味深い。
けど“これが世界の現実だ!”みたいな自意識過剰の正義をかざして得意げなアーチスト連中を嘲笑うかのようで、
サウンドもひっくるめた音楽にしか持ち得ないすべての表現で良識もテロもまとめて吹き飛ばす。


最近WIREとこればっか聴いてるわ。
馬鹿馬鹿しいことなんもかも吹っ飛ぶから。
これまた2014年のベスト・アルバム・リストに無理やりねじこみたい。
デス・メタルとしてとかヘヴィ・メタルとしてとかを超えてロックとして、
まさにウルトラ・グレイト。


★OBITUARY『Inked In Blood』(RELAPSE/GIBTOWN No Number)CD
↑のRELAPSE/GIBTOWN Recordsの共同リリース “デラックス・エディション”は、
デビュー作『Slowly We Rot』(1989年)の2曲の当時のスタジオでの一発録音と思しきテイクが追加された
約58分14曲入り。
デラックス・エディションのパッケージは、
三つ折りデジパックのエンボス加工で血と肉体の部分が立体的になっていて一層生々しくなっている。
僕が買ったCDにはジャケット・デザインのステッカーも封入されていた。


スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事へのトラックバックURL
http://hardasarock.blog54.fc2.com/tb.php/1463-ab8045ae

 | HOME | 

文字サイズの変更

プロフィール

行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

最新記事

最新コメント

最新トラックバック

月別アーカイブ

カテゴリ

未分類 (9)
HEAVY ROCK (239)
JOB/WORK (287)
映画 (238)
PUNK ROCK/HARDCORE (0)
METAL (41)
METAL/HARDCORE (47)
PUNK/HARDCORE (395)
EXTREME METAL (127)
UNDERGROUND? (88)
ALTERNATIVE ROCK/NEW WAVE (117)
FEMALE SINGER (41)
POPULAR MUSIC (24)
ROCK (77)
本 (9)

FC2カウンター

検索フォーム

RSSリンクの表示

リンク

このブログをリンクに追加する

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QRコード

FC2Ad

Template by たけやん