なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

DIE YOU BASTARD! presents “POWER HALL 26”~BLACK X'mas-THRASH、THRASH、THRASH!- at 東京・新大久保アースダム 2009年12月20日

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“ブラスト・コア・バンド”のDIE YOU BASTARD!企画のライヴ“POWER HALL”で、
クリスマス・シーズン恒例の“BLACK X'mas”ギグが今年も行なわれた。
クリスマス云々だけではなくDIE YOU BASTARD!版の“ゆく年くる年”の意味合いも込められており、
この晩は種々雑多なスラッシュのバンドよる宴が繰り広げられたのであった。
場内はほぼ満員と言ってもいいだろう。


トップはTERROR SQUAD。
DIE YOU BASTARD!のキムラ(vo)が言ったようにいつもヴォーカルのMCの話が長く感じられ、
それでライヴ全体の加速度が削がれているように思ったりもしていたが、
この晩はヴォーカルの本人曰くオシッコを我慢した状態でステージに立っていたらしい。
そのためかいい意味で余裕がなかったようで途中だれることなくトータルでスピード感がキープされ、
ヴォーカルが客席になだれこむ勢い満々のパフォーマンスだった。

続いてはTEMPEST。
ヴォーカルに面影を感じるザック・デ・ラ・ロッチャ(RAGE AGAINST THE MACHINE)在籍のINSIDE OUTや、
Tシャツを着たメンバーもいたUNIFORM CHOICEなど、
いわゆるユース・クルー系の匂いを感じさせる。
と同時にブラスト・ビートも交えた“スラッシュ”で飛ばしたのであった。

3番目に登場はトリオのABIGAIL。
VENOMやBATHORYの初期を2009年に増幅(amplifier)させたような“ブラック・スラッシュ・サウンド”は、
速さに頼らぬ曲とクラストとも接点を持ちそうな汚濁の響きで、
ヴォーカル、ベース、ギター、ドラムのひとつひとつの音色に対する強烈なこだわりに圧倒された。
派手に動くことのないステージ・アクションだが、
だからこその凄みで、
リフやビートをひとつひとつ刻むたびに揺らすボディは体内のヴァイブレイションと呼応。
結成17年目の貫禄でじわじわとエレクトリックな真綿で締め上げる如き音には念も込められるようで、
絞殺力すら感じたのである。

20年近く活動停止していたとはいえ復活以降のこの2年間は昔と同じく精力的なSYSTEMATIC DEATH。
再始動した頃のライヴのような危なっかしくもスリリングなステージングではなかったが、
ベテランらしい安定感のあるスラッシュ・パンクで疾走してくれた。

5番目は浜松から登場のSHADY GLIMPSE。
パンクとメタルのクロスオーヴァーのようなサウンドでもあったが、
“ミクスチャー・スラッシュ”とも言うべきグルーヴ感が最近だと新鮮に思えるサウンドだった。

JURASSIC JADEは、
“歪みの歌”もギターもベースもドラムもひとつひとつが猛烈に痛みのスラッシュであった。
内外のスラッシュ・メタルやエクストリーム・メタルの音と多少はリンクしつつ、
政治もアダルト・チルドレンも同次元で表現にする精神的には孤高の存在。
シーンの狭間で地道に活動を続けて様々な意味で修羅場をくぐり抜けてきた者たちならではの、
命を削って搾り出しているような音のつぶてだが、
毒っ気に満ち満ちたユーモラスなMCに救われる。
新作に収録されるであろうスリリングな展開の新曲も披露。
結成25周年ということもあり来年は色々とリリース予定あり!という信憑性の高い噂が流れてきている。
心して待ちたい。


トリはもちろんDIE YOU BASTARD!
期せずして2009年にいちばん回数観たバンドなのだが、
今年に限らずこれまでに観てきた彼らのステージの中でも最高のライヴだったと言い切れる。

今年4月にリリースした『飛礫の焔(つぶてのほむら)』の曲を中心にやっていったのだが、
グラインド・コアの領域をブチ抜いて突っ走りまくり、
まさにブラスト・コアだ。
“リード・ドラム”と呼ぶべきアイアンフィスト辰嶋のビートは、
MORBID ANGELみたいな戦闘状態のブラスト・ビートと一味違い、
きめの細かい和のテイストを含みつつハードコア・パンクを踏まえた荒さで攻め抜いた。
特に序盤はMCを入れずに曲を続けて圧巻。
シャッフルのリズムを交えた曲もかっこいい。
一方METALLICAのドラマチックな曲を意識したロング・ナンバー「亡国の旗」(CD-R作品『濤声』収録)は、
世界中に存在する滅んだ国の人々や国亡き人々のことが目に浮かぶ劇的な展開で息を呑んだ。

言うまでもなくプレイ中はシリアスなDIE YOU BASTARD!だが、
曲間ではくだけている。
この晩は終始にぎやかなお客さんがいて場内は笑いが絶えず、
ヴォーカルのキムラも終始苦笑しながらMCを飛ばしていた。
終盤にはTERROR SQUADとSHADY GLIMPSEのヴォーカルがゲスト参加して、
METALLICAの「Battery」のカヴァーも披露。

アンコールはMOTORHEADの82年のアルバム『Iron Fist』収録曲の「Iron Fist」だ。
むろんDIE YOU BASTARD!のリーダー兼ドラマー兼メイン・ソングライターの、
アイアンフィスト辰嶋の名前のルーツと言える。
MOTORHEADの次作『Another Perfect Day』に入っている「Die You Bastard」と共に、
DIE YOU BASTARD!にとって切っても切れない縁の曲であろう。
キムラはフンドシ一丁でステージに登場して熱唱。
演奏の方もトータル4時間半を越えるスラッシュ・ライヴの締めにふさわしい熱演。
今年のベスト・ギグに追加!させていただく。


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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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