なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

GRUESOME『Savage Land』

GRUESOME『Savage Land』


EXHUMEDのマット・ハーヴェイ(g、vo)が始めた米国のデス・メタル・バンドのデビュー・アルバム。
もちろん大阪のGRUESOMEとは別バンドなので注意されたい。


マットは唯一のオリジナル・メンバーとしてEXHUMEDを率いるミュージシャンだが、
基本的に共作のEXHUMEDとは違って全曲一人でソングライティングも手掛けているから、
彼の色が強い。
ただし同じくデス・メタルをキーワードにしつつもEXHUMEDとは別物で、
まさにオールド・スクール・デス・メタル、
特に初期フロリダ産デス・メタルへのトリビュートみたいなアルバムである。
もっと言えばDEATHに対するリスペクトで作り上げたような作品で(ロゴもそれっぽい)、
“敬意を込めてチャック・シュルディナー(DEATH/CONTROL DENIED)の思い出に捧ぐ“というクレジットもある。
DEATHを2015年の空気感でアップデートして提示したかのようだ。
そしてジャケット画は、
サード『Spiritual Healing』(90年)までのDEATHのアルバムをはじめとして、
USデス/スラッシュ・メタル・バンドのアートワークを無数描いてきているエド・レプカ。
パーフェクトである。

音楽の方も文句なく潔い。
適度にテクニカルというか変拍子を絡めつつブラスト・ビートは使わずにストレートに走る。
音階の使い方も含めてDEATH直系で、
聞き覚えのあるDEATHのフレーズをオマージュとして意識的に織り込んでいるようにも思える。
なんだかんだ言ってもグチャぐちょテイストをキープしているEXHUMEDとは違い、
しっかりした構成のソングライティングと輪郭のはっきりした音作りでGRUESOMEは迫り、
フック十分の曲作りもオールド・スクールならではの味わいで痺れる。

豪放ながら大味になりすぎずダイナミックなリズム・セクションも特筆したい。
プロデューサーの一人でありMALEVOLENT CREATIONでもここ数年叩いていた
ガス・リオスのドラムはブラスト・ビートを使ってないとはいえ、
ほぼ全編ツー・ビートで押しまくるアルバム全体の勢いは、
REPULSIONの『Horrified』級であり、
SLAYERの『Reign In Blood』級。
痛快である。

ブックレットに載せた歌詞の中にギター・ソロを弾いているメンバーのクレジットを添えているところも
DEATHのやり方にならっているのだろう。
ジェイムズ・マーフィー(元DEATH~OBITUARY~TESTAMENT他)が
1曲にギターで参加している。

リーダーのマット・ハーヴェイとしては、
好きなことにもかかわらずEXHUMEDでは自ら禁じて20年以上溜めこんでいたモノを
満を持して一気にブチかましたかのようである。
むろんDEATHのコピーみたいなパチモンとは別次元だ。
どんなジャンルでも元ネタをお勉強して要領よくこしらえただけのやつは心に響かない。

DEATHへの敬意たんまりだからこそ同じことはしない。
ヴォーカルがチャック・シュルディナーみたいなスクリームではなく、
あくまでもデス・ヴォイスなのもその一つ。
もちろん溺死寸前みたいないわゆるガテラル系ヴォイスでもなく、
バンド・コンセプト的に相いれないためEXHUMEDでは封印していたと思しき
気合のブルータル・ヴォイスで押しまくる。

歌詞もDEATHを尊重しつつ独自の展開をしており、
EXHUMEDやDEATHよりリアリスティックにデス・メタルな視点で描き切っている。
エゴの犠牲になった世界中の死体と民主主義の腐臭で極楽トンボが死に絶えている生々しい描写が素晴らしい。
表現方法は違えどむろんEXHUMEDと根の意識は同じ。
やっぱりRELAPSE Records周辺のバンドは広い視野で突き詰めていて覚悟を決めている。

オススメ。


★グル―サム『サヴェージ・ランド』(リラプス・ジャパン RLIP-1354)CD
12ページのオリジナル・ブックレット封入の約36分8曲入り。
日本仕様版は歌詞の和訳付だ。
7月29日(水)発売。


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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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