VALKYRIE『Shadows』
2015-08-06

BARONESSと並行してピート・アダムズ(g、vo)が兄弟のジェイク(g、vo)とやっている、
米国東海岸ヴァージニア州出身の“ドゥーム・ハード・ロック・バンド”の
フル・アルバムとしては約7年ぶりの3作目。
BARONESSと比べると“比較的”オーソドックスなハード・ロックにも聞こえる。
…と言ったら“ハード・ロック”を期待する人が肩透かしを食うかもしれないが、
“HR”というイージーな“記号”でイメージを限定された自己保身のやつじゃなく、
字義どおりの“hard(堅く硬く固く頑丈etc)”なロック。
そんでもって70年代ものみたいに音楽的に貪欲で頭がやわらかいハードなロックなんである。
“ブルース焼け”した土臭いヘヴィ・ロックで、
どの曲にも印象に残るフレーズを設けているメランコリックなソングライティングがまず素晴らしい。
曲によってはMANOWARばりのパワー・メタルの香りも忍ばせながら、
艶やかなツイン・ギターのハーモニーも遠慮も容赦も一切なくてモーレツに気持ちいい。
中期THIN LIZZYやWISHBORN ASHとかすりつつ、
乾いた泣きっぷりで鼻をくすぐるように鼓膜をくすぐるのだ。
MINSKなどのポスト・メタル/マス・ロック系のヘヴィ・ロックを手がけることが多い
サンフォード・パーカーがバンドとともに共同プロデュースを行ない、
泥臭さをイイ具合に残してVALKYRIEをネクスト・レベルに進める仕上げを施した。
さりげなく自らフレーズを作っていくベースもリズムの間合いが絶妙のドラムも適度にタイトで柔らかい響き。
はらわたに心地良くこたえる音作りがたまらない、
アートワークも含めてジョン・ベイズリーの色が強いBARONESSとの違いはヴォーカルや歌詞にも表れている。
やや70年代前半のオジー・オズボーン似の歌い方のヴォーカルがメインで、
しばしば多重で歌われて哀愁の歌心が倍増のデリケイトな喉がまた味わい深い。
世界の現実に向き合って自己の意思を著した歌詞もストレートで、
聴きながら歌詞を眺めるとリアリティ十分の筆致でますます痺れる。
メタルとかそういうカテゴリーの中だけでなく現在進行形の空気をたんまり吸った“アメリカン・ロック”としても、
もっともっともっともっともっともっともっともっと注目されてしかるべきアルバムだ。
Neil Young & CRAZY HORSEやQUICKSILVER MESSENGER SERVICEが好きな方もイケるのではないだろうか。
だっておれもそうだから。
全力オススメ。
★ヴァルキリー『シャドウズ』(リラプス・ジャパン YSCY-1301)CD
三つ折りデジパック仕様の約43分7曲入り。
日本版はバンドの気持ちをくみとった言葉が使われている歌詞の和訳(by George Seki)付。
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