なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

LAMB OF GOD『VII: Sturm Und Drang』

LAMB OF GOD『VII:Sturm Und Drang』


米国東海岸ヴァージニア州リッチモンド出身の“ハードコア・メタル・バンド”の、
『Resolution』以来約3年ぶりになるLAMB OF GOD の名でリリースした7作目。

プロデューサーは前々作『Wrath』から引き続きジョシュ・ウィルバーで、
著名な人ともレコーディング作業ができるバンドにもかかわらず起用しているのは、
何より一緒に仕事ができる人!ということに他ならない。
DEFTONESのチノ・モレノとDILLINGER ESCAPE PLANのクレッグ・プチアートが
1曲ずつウォーカルで参加している。


LAMB OF GODも自分たちのスタイルが確立しているバンドだから何をやってもLAMB OF GODになるが、
気のゆるみみたいなもんは一切無し。
ツボを突くソングライティングも光って力技で押しまくるバンドではないが、
レイドバックは死を意味するとばかりのアルバムのトーンはまったく変わってない。
ベースとドラムと2本のギターの音は小回りの効いた“回転力”十分で
ビシッ!と引き締まっていながら抜けのいい仕上がりだから息苦しくない。
ミディアム・テンポで音のボディが震えながらグルーヴして進むメタルである。
頭デッカチで世渡りばかり考えてる音みたいに無機じゃなく、
血と肉と骨を研ぎ澄ましたサウンドだから人間の響きでぬくもりが熱い。
聴いているとぐんぐん血圧が上がっていくみたいな高揚感もどくどく味わえる音圧なのだ。

キャッチーになりすぎずに剛直に迫る。
歌ものポップ・ミュージック風のキャッチーなサビを設けた曲も含むが、
あくまでも不穏だ。
やはりLAMB OF GODという名を自ら背負った覚悟の緊張感でもあるし、
元々のバンド名がBURN THE PRIESTというのもシャレではない。

2000年代以降の米国産メタルコア/スクリーモに多い大味でも単細胞でもなく、
ストロング・スタイルだけでもなく、
音もヴォーカルも強靭と呼ぶにふさわしく豪胆かつデリケイトだ。
当り前と言えば当たり前のことだが、
真剣勝負の声と音は能書きと言い訳を売りにするバンドやアーティストを木端微塵に粉砕する。

たゆみ無き剛腕ヴォーカルがはらわたから搾り出す言葉は
センチメンタリズムを殺ぎ落としたハードコアなニュアンスを強めている。
BURRN!誌9月号のインタヴュー記事によれば「Still Echoes」「512」は、
3年ほど前のチェコにおけるライヴ中に起きた観客の事故死に対する責任を問われて
留置所に収監されてしまった時にランディ・ブライ(vo)が書いた歌詞とのことで、
やはりリアルな内容で興味深い。
スローで始まって激化しながら加速するインターネットっぽい展開で“SNS奴隷”を歌う「Overlord」は、
アコースティックも交えながら土臭い音の中で今までにないほどほぼ全編しっかり歌い上げる曲だが、
“クリーン・ヴォイス”だの“ノーマル・ヴォイス”だのを無にする“ドゥーム・ブルース”の生々しさ。
揺るぎ無きスクリームと同じく急所必殺の喉であることに変わりはない。

これまた現在進行形のアメリカン・ロックの“メインストリーム”として評価されてしかるべきだ。
チャートがすべてではないが、
米国“ビルボード200(いわゆる総合チャート)”でも3位にランクインされているのだから。

ずっしりとした顔面直撃の聴き応えにもかかわらず実はポピュラリティも高い。
オススメ。


★LAMB OF GOD『VII: Sturm Und Drang』(EPIC 888 75115912 51)CD
↑のカタログ・ナンバーの“Deluxe Version”CDは、
12ページのブックレット封入の二つ折り紙ジャケット仕様で
「Wine & Piss」と「Nightmare Seeker(The Little Red House)」の2曲(むろん全く捨て曲じゃない)を追加の
約57分12曲入り。


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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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