なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

MOTORHEAD『Bad Magic』

MOTORHEAD『Bad Magic』


新作。
今回も2年のインターヴァルというのがまず驚異で、
『Aftershock』に続く22作目のオリジナル・アルバムだ。
ジャケットにもローマ数字“XXXX”で自ら示したように結成40周年記念盤でもある。

中身もグレイトとしか言いようがない。

「Victory Or Die」というMOTORHEADらしいタイトルの曲でスタート。
92年の10作目のアルバム・タイトル『March Or Die』も思い出すが、
“all or nothing”な歌詞もMOTORHEADの真骨頂である。
以降もMOTORHEADらしいタイトルの曲の連発で、
絶えること無き熱情で焼け焦げる鋼鉄ヘヴィ・ブルース・ロックンロールを連発し、
目がしみて鼻を突くほどの特濃サウンドに目がくらみむせかえって覚醒されるばかりだ。
ツー・ビートの曲はもちろんのこと、
ミディアム・テンポでも疾走感十分の曲が続く。
意識が走っているからスロー・ナンバーを挟んでも加速が止まらない。
今回あからさまにキャッチーな曲やモロのブルース・ナンバーは無しだが、
フック十二分のソングライティングにも恐れ入るのみである。

元祖グラインドコアな“リード・ベース”を震わせながら
イアン“レミー”キルミスター(b、vo)は苦み走った喉を震わせる。
歳を重ねるたびにブルータルな色合いが増す一方の野生の歌心が息づき、
古希なんて言葉を吹き飛ばす。
クレジットがないとはいえ他のメンバーもバッキング・ヴォーカルを取っているのかもしれないが、
ストーリー・テラーでもあるレミーが、
曲の物語性を高めるべく随所でこれまでにない歌い方をチラチラ披露しているのも面白い。
31年間MOTORHEADのソングライターでもあり続けて粋な帽子が似合うフィル・キャンベル(g)は、
胸も肌も頭も痺れるエレクトリック・ブギを弾き出す。
23年間 MOTORHEADの足腰であり続ける肉体も精神もリアル・マッチョなミッキー・ディー(ds)のドラムが、
怪力だからこそ適度なバランスで曲の中に納まっている作りもお見事だ。

ブライアン・メイ(QUEEN)が1曲にギターで参加しているのはちょっと意外だが、
ROLLING STONESの初期の名曲「Sympathy For The Devil」のカヴァーはもっと意外だ。
映画『極悪レミー』においてBEATLESへの愛をはっきり表していた一方で
(本作のCDトレイの部分もBEATLESを意識した言葉などが描かれているから注意)、
ROLLING STONESに対しては否定的な発言をしていただけに意外でもある
(金持ちのおぽっちゃんは好きじゃないようだ)。
MOTORHEADがやってきた大半のカヴァーと同じく原曲に添ったアレンジで
本作収録曲「The Devil」を含めて“devil”をよく歌ってきたMOTORHEADならではの“悪魔の宴”であり、
さりげなくフィル・キャンベルがピアノも弾いている。

おのれにハッパをかけるべく吐かずにはいられないからこそ他人の心にも響く歌詞である。
むろん“友愛ハードコア”みたいなのじゃない。
友達を人一倍大切にするからこそMOTORHEADは、
そしてレミーはいつだって“個”であり“孤”である。
ハードボイルドにリスナーと向き合って“タイマン勝負”を挑む。
年々増えている感じで今回いつにも増して目立つ“死”“殺”“最期”といった言葉がキーワードと言えるが、
“退路を断って覚悟を決めろ”、
そんな声も僕には聞こえてくる。
突き放すかのようでもあるが、
“頼みにするところのないこと”という意味も含めて無頼の言葉ゆえに心から活力になる。

だからこそ、
『1916』(91年)の「Love Me Forever」の流れをくむ曲調のディープなハード・バラード・ナンバーの
「Till The End」が感動をも超える。
すべての力になる。


★モーターヘッド『バッド・マジック』(ワーナーミュージック・ジャパン WPCR-16754)CD
約43分13曲入り。
真ん中のページを3人の勇姿が飾り、
レミー画伯が描いたと思しきイラストとコメントもところどころで彩る20ページのブックレット封入。
日本盤はオリジナル曲の歌詞の和訳付。


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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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