なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

IRON MAIDEN『The Book Of Souls』

IRON MAIDEN『The Book Of Souls』


約5年ぶりで16作目にあたるIRON MAIDENのニュー・アルバム。

計約93分10曲入りの2枚組CDで13分台の曲や10分台の曲も含み、
ブルース・ディッキンソン(vo他)のピアノの調べで始まるラストは18分に及ぶ大作だが、
強引な“腕っぷし”に頼らずアルバム全編を一気に聴かせる力に静かなる感動すら覚える。
プロデューサーは『Brave New World』(2000年)以来手掛けているケヴィン・シャーリーだ。


BURRN!誌最新号のIRON MAIDEN特集の中で語っているNAPALM DEATHのバーニーと同じく、
僕もIRON MAIDENは最初の2作が別格という人間だが、
80,年代にLPを売ってしまったサード以降も頭がやわらかくなった今なら楽しめる。
本作の曲も、
80年のファースト『Iron Maiden』から根が変わってないGENESIS風味のプログレ性に痺れるのだ。
全体的にまったりしていようが関係ない音のアタック感も健在。
トリプル・ギター・ソロの順繰りした連なりにも、
“こう来る!”とわかっているスタイルならではの気持ち良さであらがえないのである。

民謡っぽいメロディも頻発するし、
なにしろ全編に漂うイングランド臭さがたまらない。
国民的ヘヴィ・メタル・バンドを超えて国民的ロック・バンドと言っても過言ではない包容力のサウンドだし、
普遍的な表現だからこそ国外にも響く。

古代エジプトの『死者の書』や『チベット死者の書』も思い出すアルバム・タイトルだが、
ブルース・ディッキンソンがソングライティングに関わったのは4曲のみではある。
だが彼が98年の5作目のソロ・アルバム『The Chemical Wedding』で、
マーク・スチュワートThe POP GROUP)の実質的ソロ・デビュー・シングルと同じく、
英国のロマン派芸術家であるウィリアム・ブレイクの詩「Jerusalem」を取り上げていただけに、
不思議はないディープな歌詞だ。
単細胞のマッチョ・バンドとは一味違うインテリジェンスに富む表現は、
知的な雰囲気が好きな人間の頭を確実に撃ち落し、
ヘヴィ・メタルの表面的な“デザイン”にしか関心のない人間の心臓をも確実に撃ち落す。

と同時に、あらためて思う。
中東やアフリカやアフガニスタン~パキスタンなどで子供たちも惨殺している無感情な者たちのみならず、
自分自身がなく流されて過剰に感情的な者たちも含めて理性的な話が通じない人間にも、
政治的なメッセージとは違う意識に働きかけるこういう表現が響くと。


ふつふつとちからがわいてくる。
ずっとIRON MAIDENを追っかけてきている方々の興奮ぶりもなんとなく理解できるし、
僕みたいな“途中離脱組”にもゆっくりと首を振らせる威風堂々の快作である。


★アイアン・メイデン『魂の書~ザ・ブック・オブ・ソウルズ~』(ワーナーミュージック・ジャパン WPCR-16750/1)2CD
24ページのオリジナル・ブックレットに加え、
日本盤は歌詞の和訳などが載った20ページのブックレット封入。


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コメント

聴いてみます。

ぼくもよく居る最初の2枚派ですが、頑固なのも良い音楽を逃すだけです。

関係ないかもですが、Iron Maidensまで聴きましたが、Remember Tomorrowになってしまいますが、素晴らしいと思いました。



Re: タイトルなし

LIFEさん、書き込みありがとうございます。
曲ごとにソングライターが違っていてメンバーの過半数が違うにもかかわらず「ファーストのあの曲のあの部分が継承されている」というところも聴きどころです。要するに根は変わってない!ってことです。
「Remember Tomorrow」も初期の名曲ですね。静かなプログレ風に始まってスピードアップしていく展開、いまだ痺れます。

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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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