なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

DAMON & NAOMI at 原宿VACANT 9月10日

DAMON NAOMI『Fortune』


伝説のオルタナティヴ・トリオ・バンドGALAXIE 500解散直後の90年代初頭から、
そのメンバーだったデーモン・クルコウスキー(vo、g他)とナオミ・ヤン(vo、kbd他)によって
コンスタントに活動を続けるDAMON & NAOMI(デーモン&ナオミ)のライヴ。
今回の来日公演は東京での2日間だけだったが、
そのうちの初日のワンマン・ステージを観た。
アート系のイベントがよく行なわれていてDAMON & NAOMIの音楽にふさわしいシンプルな空間の、
東京・原宿のVACANTがライヴ会場である。


DAMON & NAOMIはマメに日本公演を行なってきているが、
少なくても僕にとって“対バン”無しのライヴは今回が初めて。
ティム・バックリィの「Song To The Siren」のカヴァーを含む約90分、
たっぷり体感できたのがまずありがたかった。

おおまかに言う3部構成になっていた。
前半と後半は、
2000年代から2010年代初頭にかけて準メンバーのような感じで
DAMON & NAOMIのレコーディングやツアーでサポートしてきた、
栗原ミチオ(元WHITE HEAVEN~GHOST他)がエレクトリック・ギターで参加。
もちろん数年前までサポート・ギタリストとしてBORISのライヴで鳴らしていた時のような轟音は無しだが、
デリケイトな曲に寄り添って時に閃光を放つ簡潔な覚醒ギターで
DAMON & NAOMIのサイケデリック・ロックな質感を引き出していた。

とはいえDAMON & NAOMI自体の演奏は質素なほどシンプルだ。
レコーディングでは他の楽器を入れることもあるが、
デーモン・クルコウスキーは12弦のアコースティック・ギター、
ナオミ・ヤンはキーボードのみでこの晩は演奏。
リード・ヴォーカルは重なり合いながら二人がシェアしていたが、
自ら弾く鍵盤楽器と溶け合ったナオミの歌声が目立つ曲は濃厚なソフト・サイケデリック感覚にとろけた。
かたやデーモンのヴォーカルの方も穏やかではあるが、
無骨な味わいも滲み出ていた。
この翌日に“対バン”したキム・ドゥス(韓国)や三上寛
そして友川カズキに関する言及を含むMCもはさみこんでいたのだが、
「言葉がわからなくても伝わってくるものがある」と彼らを評する言葉はDAMON & NAOMI自身にも言えることだ。
そして、
自分たちのレーベル発のアジア勢のオムニバス盤『International Sad Hits』に収めたその3人に通じる熱い喉も、
デーモンは震わせたのであった。

僕にとってのこの晩の白眉は中盤、
今年リリースした最新作『Fortune』の“再現コーナー”である。
ナオミ監督による同名のサイレント映画を上映しながら
ライヴ・サウンドトラックの形でプレイを進めていったのだが、
男性が主人公になったその映像とのリンクもさることながら、
まずMC無しで立て続けに曲が繰り出されることで生れるひとつの流れに吸い込まれた。
GAUZEをはじめとする日本のハードコア・パンクのMC無しの伝統的なライヴ・スタイルに慣れているためか、
よほど話術に長けていてライヴ全体の流れを損なわない限り僕はMCで萎える人間だから、
DAMON & NAOMIのこの時間は至福だった。
そしてとにかく『Fortune』が名盤ということを再認識したひとときであった。
意外にも歌も演奏もソングライティングも初めて二人だけで行なった『Fortune』の曲を、
アルバムと同じく二人だけでていねいに綴っていったこの30分余りは圧巻ですらあった。

ヴォーカルをはじめとしてハーモニーの大切さをあらためて思ったナマの時間、
それはライヴや音楽に限ったことではないとあらためて気づかされた一夜である。


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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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