なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

CATTLE DECAPITATION『The Anthropocene Extinction』

CATTLE DECAPITATION『The Anthropocene Extinction』


南カリフォルニアのサンディエゴ出身の“リアリスティック・デス・メタル・バンド”による、
『Monolith Of Inhumanity』以来約3年ぶりの新作。
99年のデビュー12インチEP『Human Jerky』を含めれば8作目で、
コンスタントに活動を続けて鍛えてきた心身に裏打ちされたグレイトなアルバムになっている。


初期は奇天烈パンク/ハードコア・バンドのLOCUSTの別動隊のようなイメージもあったが、
そのメンバーが抜けてから一層独自のデス・メタル路線を突き進んできた。
そんな彼らがまた新しい道に踏み込んだ作品である。

もともとブラスト・ビートを多用するデス・メタル・スタイルながら、
どんなアーティストでも意識が音楽そのものに表われるように
MORBID ANGELみたいな戦闘性は薄めで残虐性は濃いめのサウンドだったわけだが、
その流れでブラック・メタルの要素が強まっている。
曲によってはメロディック・デス・メタル的なアプローチも顔を覗かせつつ、
ブラック・メタルとの融合センスがオーガニックで素晴らしいのだ。

以前のアルバムより取っつきやすいのだが、
それはメロディが際立つパートが多いという理由だけではない。
レコーディングでは音を重ねているだろうが、
激しい展開を見せる曲ながらギター1本のバンドならではのシンプルなアレンジが光る。
リズムは複雑ながらイイ意味で曲作りやアレンジがキャッチーにもなっている。
各パートがよく聞こえるレコーディングの仕上がりも高得点である。

1曲でフィリップ・H・アンセルモ(元PANTERA/現DOWN他)が参加しているが、
全編トリプル・ヴォーカルに聞こえるほど
シンガーが高域と低域の声とメロディアスな歌唱の声をナチュラルに駆使している。
CARCASSがブラック・メタル化したようなヴォーカルに加え、
メロディアスなヴォーカルも織り交ぜて祈りの鎮魂歌も聴こえてくるのだ。

言葉数は多いが言い回しはわかりやすい歌詞は、
社会問題もテーマにするEARTH CRISISなどのニュースクール・ハードコアに通じる。
馬鹿の一つ覚えで陳腐な“反~”“~反対”のスローガンのメッセージ・ソングとは別次元で、
自分の頭で考えて内面から搾り出している自身の言葉だからこそ生々しい。
必ずしも激しい音なら説得力を持つわけでもないが、
環境問題をモチーフにするなら音も曲も歌詞もこれぐらい極端に意識に訴えかけてきて
ニヒリズムを突き破る切迫感がないと心臓に突き刺さらない。
とはいえ第一には響きそのもので何かを感じさせるアルバムであり、
たとえ最初は歌の内容に無関心だとしても後から思わず歌詞をじっくり追ってしまう力を持っている。

アートワークもユニークだ。
16ページのブックレットには
プラスチックのゴミを飲み込んで死んだ海洋生物のようになっているメンバーも写っており、
CDトレイの部分には
よく見る“ゴミ捨て禁止マーク”をリメイクして
ゴミではなく地球をゴミ箱に捨てる画がウロボロスに囲まれたアートワークになっている。

トータル・ワークで“政府がどーのこーの以前に人間を問う姿勢”も初期から変わってない。
無責任で自分勝手な人間ばかり。
自分が日頃食っているくせに豚を蔑みの対象として扱うなど
世話になっている生物に敬意を払うどころか卑しむ人間にも、
“正義”を大義名分にやりたい放題の傲慢な人間にも吐き気がする。

“エピック(epic)・デス・メタル”とも呼びたいほどリアリスティックな物語の怒涛で迫る。
いわゆるハードコア・バンド以上にハードコアな一枚。
オススメ。


★CATTLE DECAPITATION『The Anthropocene Extinction』(METAL BLADE 3984-15396-2)CD


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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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