なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

NASHVILLE PUSSY『From Hell To Texas』

NASHVILLE PUSSY2


新年のイッパツ目は去年いちばん聴いた逸物を!ってことで、
NASHVILLE PUSSYの5枚目のアルバム『From Hell To Texas』(SPV SPV 306092 CD)。
景気づけにもふさわしいし去年何度も何度も何度も何度も元気をもらってきた作品である。


96年に米国南部ジョージア州アトランタで結成。
ぼくにとって現代世界最高の“ロックンロール・バンド”だ。

AC/DCとMOTORHEADを大きなルーツとしつつ、
MOLLY HATCHETあたりハードなサザン・ロック(サザン・メタル)の流れも感じさせ、
パンク/ハードコア以降の感性でブルース・ロックをブッ放ししているようなサウンドでもある。

後期RAMONESにソングライティングやプロデューサーで関わったダニエル・レイのプロデュースも冴え、
『From Hell To Texas』は音の仕上がりもパーフェクト。
曲も音もシンプルでベーシックで5作目なのに信じられないほどフレッシュなのは驚異だ。
どんなジャンルでもそうだが、
出尽くされた音楽スタイルを処女のように聞かせるのは積み重ねた鍛錬と研ぎ澄まされたセンスが必要。NASHVILLE PUSSYもお馬鹿に見えてストイックな日常を楽しみながら送っていることが想像できる。

最近ますます、
底が見えるものにウンザリするし、
守りに入ったものに接しているともっと気が滅入ってきて窒息しそうになる。
確かにトラディショナルなスタイルではあるが、
NASHVILLE PUSSYには守りもへったくれもない。
すべての能書きを無にするあけっぴろげでありながら節操も十分のパワーがにゅるにゅるあふれている。
何事もビシッ!とやるプロフェッショナルなアティテュードだからこそ、
極上のエンタテインメント性が浮き彫りにされる。
何事も簡単に楽しむことができないぼくみたいな人間も楽しませる恐るべきバンドだ。

たとえキャッチーで楽しいロックンロールだろうが上っつらを聴く余裕なんてない。
だから底で息づく音楽の“内臓”に耳を傾ける。
するとNASHVILLE PUSSYのピュアな“あえぎ声”が聞こえてくる。
気張らない。
だが確実に進んでいる。
意識まで感じると違いは明らか。
自己保身に四苦八苦するロックンロールはあっちいけ。

“NASHVILLE PUSSYはポリティカルなバンドじゃない”と公言しているが、
ナニしているときも常にポリティカルであることは自明の理。
そんな意識は機知に富む言葉の数々にも表れている。
特に宗教にまつわるフレーズは秀逸なほどだ。
確かに“痴的”であることも間違いないが、
誤解を恐れずに言えば“知的(intellectual, ≠intelligent)”ですらある。
芯のぶっとい歌心で震えるのどちんこも深い。

“観音開き”たる両脇の長身のおんなにはさまれた“三重苦”とも“3K”とも言われるおとこが“精”を出す、
ステージの見栄えもたまらない。
前ベーシスト時代だがNASHVILLE PUSSY王道ステージで最高な『Keep On F*ckin In Paris!』(2003年)、
井上和香がエクストリームになったみたいな現ベーシストを含む『Live In Hollywood』(2008年)という、
ライヴDVDで確認可能な見た目も重要なバンドだ。
ロックであろうとビシッ!とキメているつもりが微妙にハズしているメンバー一人一人のルックスも、
ヴィジュアル系パンクの保守性とは対極。
本物であればコスプレの教科書なんかどーでもよくなるんだよ。

澱みたくないから今あるものに安住するのはごめんだ。
進化も深化も人それぞれ。
地に足の着いたロックの響きがあればいい。



NASHVILLE PUSSYは聴くたびに元気になると同時に、
ちょろりとネガティヴな気持ちも漏れる。
米国ではそこそこいっているのかもしれないが、
こんなにグレイトなバンドのこんなにグレイトなアルバムが日本でほとんど話題にされてなくて落ち込む。

“悪貨は良貨を駆逐する”とはちょっとニュアンスは異なるが、
世で言う格差社会どころじゃない不条理。
ミュージック・マガジン最新号のところでも書いたようなことを重ねると、
ほとんど怒りにも似たそんなフラストレイションも自分が文章に向かうモチーフのひとつだったりする。
ジャンル問わず素晴らしければメジャーな人を排除するつもりはないが、
汗かいてまっすぐに自分自身の表現をしている人たちを埋もれさせたくない。
だから、ふんどしを締めてかからないと。

評価が定まったものに寄生したりノスタルジーに耽溺するのは余命がはっきりしてからも遅くはないだろ。
てなわけでもっともっと未知の分野にチャレンジして攻めの姿勢を絶やさず、
なおかつヘタすると自分がつぶれてしまうから楽しむ気持ちを忘れずに2010年も進みます。
今年もよろしくお願いします。


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コメント

>>評価が定まったものに寄生したりノスタルジーに耽溺するのは余命がはっきりしてからも遅くはないだろ。


あー、NASHVILLE PUSSYとかねw

一番自己保身に四苦八苦してるのはおまえだろよ。

ナメはインタビューでネオナチ賛美されても気弱にヘラヘラするだけの腰抜けだから、仕方ないよ。

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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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