なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

川島誠『Homo Sacer』

川島誠IMG_7247


1981年に埼玉県で生まれて2008年からアルト・サックスのインプロヴィゼイションを始めた、
川島誠の約3年ぶりのソロ・アルバム。
阿部薫、高柳昌行、三上寛友川カズキ灰野敬二、浦邉雅祥などの
ストロング・スタイルのCDを世に送り出してきたPSF Recordsからのリリースも納得の作品である。

アルバム・タイトルは“ホモ・サケル”と読む。
2009年に森川誠一郎(Z.O.A.~血と雫)や三浦モトム(HALBACH)と組んだ
“煉獄という天国と地獄の中間地点”を経て、
ソロ活動がメインになった2010年設立の川島自身のレーベル名でもある。


川島が2011年から拠点にしている埼玉県入間郡越生町のギャラリィ&カフェ・山猫軒で録音した音源が
2トラック収録されている。
どちらもアルト・サックスでインプロヴァイズした独演である。

脳や神経に響くから誤解を恐れずに書くとサイケデリックなほどの音色だし、
線が細いようで芯が太く、
阿部薫や浦邉雅祥からの流れも“間”の取り方や音のリズムなどに感じるが、
おくゆかしい。
そしてもっと人懐こい。
オーネット・コールマンの『The Shape Of Jazz To Come』や、
吹いている楽器は多少違えど
アルバート・アイラーの『Spiritual Unity』とジョン・コルトレーンの『A Love Supreme』を思わせる、
慈しみのメロディも漏れてくる。

確かにいわゆる五線譜に書かれたような歌ではない。
だが川島のアルト・サックスは喉の震えと一緒で断続的ながら音というより“歌”、
いや物哀しくも喜びの日本の“唄”である。
1トラック目は「Improvisation」というタイトルになっているが、
2トラック目は「赤蜻蛉」というタイトルがクレジットされていて、
9分半の長尺ながらセルフ・ライナーから察するに“あの童謡”のリメイクに聞こえる。

ゆっくりとはらわたからやさしく搾り出してインプロヴァィズしながら、
つつましやかによく歌っている。
寡黙、だが雄弁。
敬虔、だが民の謡。
“個”や“孤”として屹立しながらもさりげなく音が微笑んでいる。
デリケイトな魂をハードコアに研ぎ澄ました歌心が静かにあふれる一枚。


★Kawashima Makoto『Homo Sacer』(PSF PSFD-211)CD
約41分2曲入り。
セルフ・ライナーの曲解説と近藤秀秋(EXIAS-J他)によるライナー付。



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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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