なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

RAW POWER『Mine To Kill[EXTENDED VERSION]』

RAW POWER『Mine To Kill[EXTENDED VERSION]』


イタリアを代表するハードコア・パンク・バンドのひとつである、
RAW POWERが89年にリリースしたアルバムの新装リイシュー盤。
ミニ・アルバムとされる『You Are The Victim』(84年)を含めれば4作目のアルバムで、
今回のCDは本編の14曲に未発表セッションの13曲を加えてリマスタリングを施した計27曲入りである。

80年代前半デビューのイタリアのハードコア・パンク勢の中では比較的珍しく歌詞が英語ゆえに、
当時から米英での認知度も高かったバンドのようだ。
セカンドから本作までは流通のいいアメリカのレーベルからリアル・タイムでリリースされ、
当時のイタリアのハードコア・パンク・バンドの中では日本でもわりとレコードが出回っていた。
NAPALM DEATHが初期の代表曲「Politicians」を
『Leaders Not Followers』(99年)や来日公演でカヴァーしたことも一部で知られているが、
本作のレコーディングはNAPALM DEATHがチャート的にブレイクしていた89年にロンドンで行なわれた。
レコーディング場所がCRASSのホーム・スタジオだったサザン・スタジオというのも興味深い。
ただしレコーディング・エンジニアはさすがに音的に違うからCRASS御用達のジョン・ロダーではなく、
後にTHERAPY?との仕事で知られるようになるHarvey Birrellであった。


“メタルなキャラクター”のジャケットの画にも表れているように、
ヘヴィ・メタルとのクロスオーヴァー路線に突入したアルバムである。
オープニングのインスト・ナンバーはMETALLICAのムードを醸し出し、
以降も初期EXODUSをはじめとするベイエリアのUSスラッシュ・メタルを思い出す調子だが、
たくましい足腰のサウンドは理屈を超えてカラダに訴えかける。
確かにドラムやギターには“オカズ”や“アクセサリー”みたいな音がちょい増えた。
けど初期の時点で既に一ひねりしていた楽曲構成力と突進力は変わってない。
冒頭で言及したデビュー作『You Are The Victim』のタイトル曲を再録音もしており、
他の新曲に混ざっていても違和感がないことが不変性を象徴する。

歌詞が英語ということで当初から英語圏を意識していたことがうかがえるバンドで、
特にアメリカンなノリのライト感覚で加速するハードコア・パンクが身上だった。
“ラテンmeets USA”なサウンドは、
どっちも乾いた質感だから相性バッチリ食い合わせバッチリだ。
ここでメタルの頑丈な音をゲットし、
SUICIDAL TENDENCIESのセカンドの『Join The Army』にも似たクロスオーヴァー・サウンド炸裂。
さらにヴォーカルはSUICIDAL TENDENCIESに加えてOUTOを思わせるファニーなトーンだし
(ちなみに本作の熱々サウンドも後期OUTOみたいだったりする)、
プリミティヴな歌詞もパンク・ロックそのものである。

一方で今回追加された13曲はイタリア録音ながら、
大半の曲が本編とダブるだけに本作レコーディング直前ぐらいに録った音源と思われるが、
4曲は曲自体が未発表のものだ。
こちらも音質良好でお蔵出ししたのも納得のボーナス・トラックである。


確かにメタリックだが、
どれもこれもなんたって突き抜けているのがよろしい。
今年行なわれたリマスタリング効果も大きいようでカッチリした音作りが際立つ仕上がりだし、
これはこれでカッコいいのだ。
パンクもハードコアもメタルもひっくるめてロックでいいじゃないか!ってな一枚であり、
ビールとパンクが大好きな外道メタラーの方にもオススメ。


★RAW POWER『Mine To Kill[EXTENDED VERSION]』(F.O.A.D. F.O.A.D. 081)CD
10ページのブックレットが綴じ込まれて味のある紙質のデジパック仕様の約60分27曲入り。


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コメント

ビールとパンクが大好きメタラー対象

そうですね!僕なんかむしろ、この作品はそんな方々を対象とした音楽とおもってました。

余分三兄弟+さん、書き込みありがとうこざいます。
米国のクロスオーヴァー・バンド自体が“ビールとパンクが大好きメタラー対象”だったりもしますし、それをラテン風味でから揚げしたサウンドですから、たまりません。

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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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