なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

マリア観音『マリア観音「初期作品集」第一巻』『マリア観音「初期作品集」第二巻』

TG001表画像


87年から東京拠点に活動しているマリア観音がCDデビューする前の初期音源をまとめ、
CD-Rのフォーマットで限定100枚の私家盤として2枚リリースしている。
ほとんどが手売りされたカセット・テープ音源ながら音質良好だし、
しっかりアレンジされていてアルバムと言っても申し分のない仕上がりだ。

どちらもメンバーは“第一期”マリア観音のバンド編成の4人。
ずっとマリア観音であり続けている木幡東介(vo)、
現DMBQの松居徹(g)、
離脱時期はあれどオリジナル・メンバーの平野勇(ds)、
そして安藤千裕(b)。
90年代半ばのメンバーのハードコアな時期に匹敵するほど、
バンドしての一体感でマリア観音が“蜂起”していた時代である。


89年9月放送の『三宅裕司のいかすバンド天国』(TBSテレビ)に出演して視聴者のド肝を抜く前に僕は観ているから、
今回の2作の頃に僕は初めてマリア観音を生体験している。
場所は東京・吉祥寺クレッシェンド。
当時住んでいたアパートに近いライヴ・ハウスゆえに色んな種類のバンドを観に行ったから
何を目当ての時かは憶えてないが、
対バンでたまたまマリア観音を“目撃”した。
まさに“目撃”・・・目が撃たれたのである。

ライヴ終了後に物販をしていて、
VHSのライヴ・ビデオ・テープか、カセット作品だったか記憶してないが、
デモ・テープが元と思しき今回の2作の表と裏ジャケットっぽいアートワークだったことは憶えている。
いわゆる証明写真、転じて“指名手配の写真”のイメージが初期マリア観音のライヴであり、
その匂いはこの二作でも体感できる。

TG002表画像

まず『マリア観音「初期作品集」第一巻』は約70分10曲入り(一番上の画像がジャケット)。
88年10月発売のテープ『マリア観音』の4曲、
同年12月発売のテープ『2』の4曲、
89年5月発売のビデオ『マリア観音』の特典テープの2曲を収めている。

叙情的な歌謡ブルース・プログレとも言いたくなる曲調で、
LED ZEPPELINのメタリックな要素を歌謡曲に変換させたかのようなサウンドだ。
後のマリア観音ほど音は激しくなくて聴きやすく、
木幡によるキャッチーなソングライティングが光る。
歌詞の世界観は今とまったく変わってないと思う。
とはいえ唯一歌詞がパッケージに載ってない(が、はっきり言葉が聞き取れる)曲の、
「おめこしようか ぼぼしようか」があまりにストレートすぎて衝撃だ。
以降ライヴでプレイし続ける代表曲の一つ「夏の唄」の初期ヴァージョンも興味深い。


もう一枚の『マリア観音「初期作品集」第二巻』の方は約62分7曲入り(2番目の画像がジャケット)。
89年2月発売のテープ『素敵で快感E気持ち』の4曲、
89年3~4月頃発売のテープ『被虐の口づけ』の2曲、
88年10月4日の東京・下北沢屋根裏におけるライヴの未発表テイク「節介婆の唄」(歌詞不掲載)
で構成されている。

モータウン~R&Bの趣を感じさせる曲も目立ってポップなコーラスも入る一方、
マリア観音流のドゥーム・ロックもまさにオリジナルの響き。
90年代以降よりもまったりしているが、歌心の濃度は不変である。
後々までライヴのレパートリーになる「飼い殺しの女」「共食いの村」も収録。


2枚ともフロントマンの木幡が、
ヤクザがライヴ・ハウスに乗り込んできたとしか思えなかった今より強モテのヴィジュアルで、
ステージ上でジャンプしまくって腕を振りまくっていた派手なステージ・アクションだった頃だが、
だからこそ初々しい木幡の歌声が切なく胸に迫る。

音楽的にも歌詞的にも普遍的ということがあらためてわかるし、
初期から“不惑”だったバンドのどこにも属さない表現ゆえに、
何か事が起こるとコロコロ変わって罪逃れだけは怠らない人間で浮ついた世に鈍い輝きを呈す。
マリア観音のファンの方は言うまでもないが、
ロック全般や日本の音楽を深くえぐりたい方も必携。


★マリア観音『マリア観音「初期作品集」第一巻』(天獄 TG001)CD-R
★マリア観音『マリア観音「初期作品集」第二巻』(天獄 TG002)CD-R
各々CD-R作品ながら盤面は重厚な印刷が成され、
各々1曲ずつ除いてすべての歌詞も読めるパッケージになっている丁寧な作りである。
なお2点共購入で88~89年の回分のライヴから7曲抜粋収録したDVD-Rをプレゼントとのことだ。
http://erect.blog5.fc2.com/


スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事へのトラックバックURL
http://hardasarock.blog54.fc2.com/tb.php/1584-d539f94a

 | HOME | 

文字サイズの変更

プロフィール

行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

最新記事

最新コメント

最新トラックバック

月別アーカイブ

カテゴリ

未分類 (9)
HEAVY ROCK (239)
JOB/WORK (287)
映画 (238)
PUNK ROCK/HARDCORE (0)
METAL (41)
METAL/HARDCORE (47)
PUNK/HARDCORE (395)
EXTREME METAL (127)
UNDERGROUND? (89)
ALTERNATIVE ROCK/NEW WAVE (117)
FEMALE SINGER (41)
POPULAR MUSIC (24)
ROCK (77)
本 (9)

FC2カウンター

検索フォーム

RSSリンクの表示

リンク

このブログをリンクに追加する

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QRコード

FC2Ad

Template by たけやん