非常階段 featuring ナスカ・カー『Hijokaidan featuring Nasca Car』
2015-12-14

“キング・オブ・ノイズ”を標榜する真正かつ“真性”ノイズ・バンドの非常階段に、
大阪出身のNASCA CARの“首謀者”である中屋浩市が加わったCD。
中屋が近年よく非常階段のライヴに加勢していることを思えば納得のリリースである。
クレジットされている参加者は、
リーダーのJOJO広重(エレクトリック・ギター)、
T.美川(エレクトロニクス)、
岡野太(ds)、
そして中屋(エレクトロニクス)だが、
実際は曲によって多少異なる。
各々約5分ずつで簡潔に切り上げた最初の2曲は、
広重+美川+中屋によって今年スタジオでレコーディングされている。
1曲目はキリキリした音で“いわゆる耳障りなノイズ”だが、
銀河の流れの天の川の如く繊細に光っている。
2曲目も非常階段のパブリック・イメージであろう巨大ヴォリュームのエクストリームな轟音とは一味違い、
呪術的かつスペイシーでデリケイトな音の連なりが素晴らしい。
とはいえ神経を震わせる音であることに変わりはなく研ぎ澄まされた静かな響きで、
こちらはさらに構築的とも言えるからライヴでの再現ができそうな“曲”だ。
以上の2曲は非常階段のイメージを一新するほどの逸品である。
3曲目には2013年10月の京都のKRSホールでのライヴを約19分収録。
クレジットされてないが、
80年代から非常階段のメンバーのJunkoのスクリームも聞こえてくる。
手数の多いドラムも相まって全体的に“フリー・ジャズ・ノイズ”と言いたくなるが、
ここでも中屋が発していると思しきスペースな音が妖しい彩りを添えている。
各パートの分離も良しで加速する音の絡み合いもよくわかるレコーディング仕上げだ。
最後は2012年8月の千葉・幕張メッセでのライヴが約18分。
こちらは非常階段らしい爆裂膨張音質だが、
こちらもほぼ叩きっぱなしドラムの音が目立つ。
やはりクレジット無しながらJunkoがスクリームを飛ばし、
広重がときおり大声でクダを巻くように檄を飛ばし、
中屋は“宇宙音”を飛ばしているのであった。
中屋が醸し出すスペイシーな味わいと“非常階段ノイズ”のブレンドが新鮮なCDで、
広重が“HAWKWIND狂”であることを思えば必然的な一枚。
というわけで2曲目のタイトル「Dik Mik Nasca」が、
HAWKWINDのオリジナル・メンバーのDik Mikの名前を含んでいるのも必然なのであった。
★非常階段 featuring ナスカ・カー『Hijokaidan featuring Nasca Car』(アルケミー ARCD-244)CD
12月16日(水)発売。
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