なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

VELVET UNDERGROUND『The Complete Matrix Tapes』

VELVET UNDERGROUND『The Complete Matrix Tapes』


サンフランシスコにおける1969年11月の26日と27日の4回分のライヴを収めた
計42曲入りの4枚組CD。


サード・アルバム『The Velvet Underground』(1969年)の昨年発売された“45th Anniversary Super Deluxe Edition”に、
この時のライヴの中でそれまで未発表だったパフォーマンスの曲がかなり入っていた。
“complete”を謳う今回のリイシュー盤は、
完全未発表のミックス/パフォーマンスが9曲で、
体裁もVELVET UNDERGROUND一連の“ハードカヴァーの写真集込み”仕様リイシューとは比較できないほど
簡素なパッケージ。
というわけで当初リリースが発表された時には高値だったから今回は購入を控えようと思ったが、
値段がかなり下がったので結局買ってしまった。

完全未発表のミックス/パフォーマンスが9曲だけではある。
ただし本作はライヴをしたサンフランシスコのマトリックスの運営者がすべてレコーディングしているから、
80年代前半にルー・リード(vo、g)のバンドのギタリストだったロバート・クワイン録音の
CD『Bootleg Series Volume 1: The Quine Tapes』に入っているものと同じライヴの同じ曲でも、
録った人が別だから元(テープ/source)自体が違う。
どうやら既発パフォーマンスの曲のうちの15曲は“別ミックス”のようで、
コシが強く各パートの立体的なバランス感が目に見えるマスタリングも極上のドキュメンタリーだから、
ある程度重度のVELVET UNDERGROUNDファンなら迷っている方も買っても損無し。
あなどれない強烈なリイシューだ。


一日に2回ライヴをやったようで、
計4回のセットを4枚のCDに振り分けている。

曲は当然ダブっていて、
「Some Kinda Love」、
「We're Gonna Have A Real Good Time Together」(オリジナル・アルバム未収録曲)、
「Heroin」に至っては、
当日ライヴのポイントに置いていた曲だったのか4回のライヴすべてで披露している。
だが、そんなことまったく問題ない。
そもそもセットリストは言わずもがなアレンジも毎回違うからだ。
常に曲が現在進行形で少なからず毎回インプロヴァイズさせているパフォーマンスだからこそ、
VELVET UNDERGROUND/ルー・リードのファンはいつまでも未知のテイクを追い求め、
体裁ばかり気にして守りに入るアーティストは聴き続けられなくなる。


ディスク1は約69分12曲入り。
しょっぱなの「I'm Waiting For The Man (Version 1)」を13分近くにふくらませている時点で
やる気満々である。
ディスク2は約68分12曲入り。
ディスク3は約67分6曲入りでそのCDだけ曲数が半分だが、
37分近くに及ぶラスト・ナンバーの「Sister Ray」のゴツゴツのヴァージョンで昇天必至である。
そしてディスク4は約71分12曲入りだ。

初期のカオスを残しつつポピュラリティを高めていた頃だが、
まろやかで取っつきやすい曲に魔力が潜む。
気持が立った音の芯から危険な匂いが湧き上がり、
永遠に飼い慣らされない響きがすべて。
つくづく音楽ってもんは正直だと思わされる。

爛熟に向かってゆっくり加速している時期のライヴ・パフォーマンス。
この9か月後にルーがバンドを去る。


このライヴでもさりげなく聴きどころの一つになっているドローンにしても、
たとえばSunn O)))はやっぱりヘヴィ・メタルから派生させたドローンだが、
彼らの40年を先を行っていたVELVET UNDERGROUNDは“ロックンロール・ドローン”。
粗くデリケイトに仕上げられたサイケデリック・ロックンロールが甘く深い地獄の快楽に引きずりこむ。

音楽は楽しむだけのものでもなくただメッセージを伝えるものでもない。
音楽にしか成し得ない意識触発の生の表現をあらためて知る。


★VELVET UNDERGROUND『The Complete Matrix Tapes』(UNIVERSAL MUSIC 00602547549013)4CD
CD大の小箱に、
各々のCDを収めた4枚の薄手の紙ジャケット(小箱の表と基本的には同じデザイン)と、
ダグ・ユール(b、kbd、vo)の発言を適宜盛り込んだライナーがほとんどの24ページのブックレットを収納。


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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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