なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

映画『市川崑映画祭 光と影の仕草』(生誕100年記念企画)

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市川崑の映画祭『市川崑映画祭 光と影の仕草』が、
2016年の1月16日(土)から2月11日(木)まで角川シネマ新宿で開催される。

市川崑は1915年11月20日三重県生まれで、
蠍座の男ならではと言える洞察力も魅力の一つの映画監督である。
今回は1952年の『あの手この手』から2001年の『天河伝説殺人事件』までの作品に加え、
岩井俊二監督による2006年の『市川崑物語』を含む計27作品が上映され、
『雪之丞変化』『おとうと』『炎上』の“デジタル復元版”を含む10作品が初デジタル化だ。

その中でもここでは、
試写会でデジタル復元版を見せていただいた2作品について簡潔に書かせていただく。

メイン(雪之丞変化) (C)KADOKAWA1963
★『雪之丞変化』(1963年)デジタル復元版[114分]

長谷川一夫が二役を演じる主演で、
山本富士子、若尾文子、市川雷蔵、勝新太郎、船越英二、浜村純、尾上栄五郎などなど超豪華キャストが送る、
絢爛の中に甘美な毒が物語にも映像にも息づく映画だ。
横長スクリーンを活かした映像で、
人物同士の距離感と余白の味わいを醸し出す空間が設けられた作りになっており、
しかも思い切ったカメラ・ワークと編集には無駄がないからグイグイ引き込まれる。
アップも多いだけにわかる歯が綺麗すぎない役者さんたちにもリアリティを感じるのだ。

“心の声”と“独り言”も効果的に使われる日本語の豊かさにも舌を巻く。
現代では普段話されない言葉も多いが、
江戸っ子ならではユーモラスな言葉や、
もののあはれの流れを感じさせる美しい言葉の響きそのものに痺れる。
つつましやかにモダンな音楽が適度に入るところも特筆したい。
クラシックやプログレっぽい音楽に加えてジャズも要所で挿入され、
同時代のポーランド映画をも思わせる。
はかない恋と復讐を絡めつつシンプルに時代劇としても楽しめるが、
ストーリー全体に貫くゆるやかなビート感も格別の映画なのだ。

サブ(おとうと)(C)KADOKAWA1960
★『おとうと』(1960)年デジタル復元版[98分]

岸恵子、川口浩、田中絹代、森雅之がメイン出演の映画。
死語と化しているがこの時代にふさわしい“きかん坊”の弟、
しっかり者で見合いの話に耳を貸さない姉、
子供たちに厳しく後妻でクリスチャンの母、
息子に甘い作家の父から成る四人家族の物語だ。

情愛と確執をはらみつつ、
基本は日常的な物語でありながらゆっくりと天まで昇っていくような作りが見事としか言いようがない。
“銀残し”と呼ばれる現像処理を施した映像そのものの魅力も大きく、
ストーリーや人物の情趣や情緒が滲み出てきて侘び寂びに覆われているのだ。
もちろん役者さんたちの演技も絶妙で、
話す言葉のひとつひとつがカラダに響いてくる。
“たらしこむ”という言葉のストレートな形の“たらす”や
ほとんど死語の“まま母”など、
これまた日本語ならではの深みを感じさせる言葉に心が静かに揺さぶられるのだ。
明るさ満点の映画ではないにもかかわらずこちらもピッタリのモダンな音楽が使われ、
ベタベタしてないクールな一瞬のラスト・シーンも後腐れがない。


物語の筋だけでなく色の味わい豊かな映像とモダンな音楽が体感できるから、
やっぱり足を運べる地域に住んでいる方はビッグな銀幕で体験することをオススメする。
でかいスクリーンの中に飲み込まれること請け合いなのだ。


★『市川崑映画祭 光と影の仕草』(生誕100年記念企画)
2016年1月16日(土)~2月11日(木)、角川シネマ新宿にて一挙上映。
配給:KADOKAWA
(C)KADOKAWA
http://www.cinemakadokawa.jp/kon100/


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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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