SOLMANIA『Kill』
2016-02-02

様々なアーティストやバンドのジャケットを手がけてきている大野雅彦が1984年に大阪で始め、
1992年から菅原克己(元OUTO~CITY INDIAN)と活動しているギター・ユニットの
約64分1曲入り。
17年ぶりの新作アルバムとのことで、
大阪のベアーズで2014年の11月にレコーディングを行ない、
昨年の2月から10月にかけて仕上げた音源である。
エフェクター多用の自作改造エレクトリック・ギターによる演奏で、
本作の裏ジャケットで確認できる演奏写真を見ると
ヴィジュアル的にもかなりインパクトがある。
二人ともダブル・ネックといえばダブル・ネックなのだが、
かなり特殊で、
特に大野のギターは壊れないように運搬するだけでも大変そうな長大の形状なのだ。
ステージの床にはまさに足の踏み場がないほどエフェクターに覆い尽くされている。
菅原克己はとてもOUTOやCITY INDIANで弾いてきた人とは思えないギターに胸がすく。
極初期のOUTOはノイズ・コアだったじゃないか!とツッコミが入りそうだが、
菅原は1985年のセカンド7”EP『Half Wit Life』以降OUTOを支えてきたメンバーだ。
それはともかく
CITY INDIANでギンギンのハードコア・ロックンロール・ギターを弾いた直後にSOLMANIAに参加したのだから、
やはりタダモノではない。
奇才・大野雅彦の方はFOLK TALESでのサイケ・ポップなロック・ギターも僕は大好きだったが
(アルバムが91年の一作だけだったのは残念)、
そういうカラフルな輝きをちりばめつつ、
切磋琢磨してきた轍の音がこのCDに刻まれている。
これもまたディープなサイケデリックではないか。
音の“発色”のいい緻密な仕上がりだから神経にも伝播して心の芯をも震わせる。
ノイズというよりギター・インプロヴィゼイションと言いたい演奏だが、
JOJO広重とも灰野敬二とも高柳昌行とも違う。
帯には、
大野の担当パートが“distortion engine”、
菅原の担当パートが“velocity booster”
とクレジットされているが、
言い得て妙の響きである。
時に飛びつつ膨張しながら熾烈な音が持続する。
轟音ノイズに留まらず、
放射される中でリズミカルな反復プレイも行なっていることがわかるし、
よく耳を傾ければ確かな“ビート”が鳴り続けていることが心臓に感じられよう。
彼らのキャリアからしたら当然なのだが、
やはりロックしているし十分に肉体的。
生々しい。
うめき声や詠唱みたいな声が聞こえてくるのは幻聴だろうか。
ヴォーカル・マイクは直接使用してないようだが、
どちらの改造ギターもマイクを設備しているため、
演奏中に発している声を拾って変調しているようにも思える。
エレクトリック・ギター交感一本勝負。
アルバム・タイトルにふさわしいドラマ性含みで聴き応えありありの一枚だ。
★SOLMANIA『Kill』(アルケミー ARCD-245)CD
大野がデザインの8ページのブックレットもさすが一筋縄ではいかないクールなアート仕様の出来だ。
↑の画像がジャケットだが、
もちろん上方に付いている小さなゴミみたいなものは現物には付いていません。
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