なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

DREAM THEATER『The Astonishing』

DREAM THEATER『The Astonishing』


80年代半ばからコンスタントに活動を続けていて影響力の大きい、
米国ボストン出身の“メタル・プログレッシヴ・ロック・バンド”の新作。


ライヴ映像作品の『Breaking the Fourth Wall』を一昨年に出したが、
オリジナル・アルバムとしては2013年の『Dream Theater』以来である。
ディスク1が“ACT 1”でディスク2が“ACT 2”という具合に一種の2部構成で、
計約131分34曲入りのCD2枚組という大ヴォリュームだ。

とはいえ一番長い曲が7分半ほどで大半が5分以下の曲で構成され、
インスト主体の1分前後の小曲も数曲含まれている。
80年代後半以降のアメリカン“プログレ”のスタイルを提示してきたバンドだが、
ある意味70年代終盤以降のYESやGENESISやPINK FLOYD、
というかコンパクトなポピュラリティの曲での物語という点でやっぱりRUSHの流れをくみ、
“RUSH meets QUEEN”とでも言いたくなるアルバムだ。
ただもっとスッキリしている。
メタルの音はあまり聴けずけっこうキャッチーでポップだし、
鍵盤楽器がリードして穏やかなヴォーカルの歌がメインの曲が大半なのだ。
能ある鷹は爪を隠すじゃないが、
テクニカルな演奏でありながらテクニカルであることを感じさせないパフォーマンスである。


全曲リーダーのジョン・ペトルーシ(g)が作詞を行なったことはともかく、
全曲ペトルーシとジョーダン・ルーデス(kbd)の作曲ということがストレートに表れている。
現場で実際に行なわれている作曲の状況は外部の人間にはわからずクレジットで想像するしかないわけだが、
リズム隊のメンバーが一曲も曲作りに参加してないことは大きい。
“叙情派メンバー”の二人がすべての曲を作っただけにメロディ主導になるのは必然だろう。
欧州民謡っぽい旋律も含み、
プラハ市交響楽団も適宜参加しているが、
あくまでもDREAM THEATERのメンバー5人のパフォーマンスがほとんどを占めている。

封建的抑圧帝国と反乱軍の人間模様を描いたアルバムのようで、
ほぼ声色を変えずにジェイムズ・ラブリエ(vo)が一人で8役を演じ切って歌っており、
近未来的な叙事詩の一種のロック・オペラと言えるが、
わかりやすい楽曲も含めていわゆるハリウッド映画っぽくもある。

もちろん歌詞を知るとアルバムの深みをさらに知ることができるわけだが、
音楽だけでも持って行く。
映画でいえば、
たとえセリフが完全に理解できないとしても映像だけで持って行くようなものだ。
理屈じゃなく感覚が大切なわけで、
決して頭デッカチではない。
長大なヴォリュームというだけで引かれかねないからか恐ろしくポピュラーな作りだが、
テクニカルなギタリストであると同時に“ポップな作曲者”の一面も持つ
ペトルーシの大衆性全開なのだ。

もともとエナジー炸裂ではなく整然とした表現のバンドだったわけだが、
極端さとポピュラリティ+メタルとプログレのハーモニーというDREAM THEATERならではのバランス感の刺激を
少なくても本作では吹っ切っている。
JOURNEYにも通じるほどだが、
これはこれで潔い。
まさにバンド名どおりのアルバムなのである。

息の抜きどころを設けたアルバム構成もさることながら、
長時間でも疲れさせないまろやかな音の質感の仕上がりや、
百万光年先の前方が見通せるほど視界が開けた音像の仕上がりもお見事。
“鳴り”や“響き”に対する気遣いも感じさせる。
中途半端なコケオドシに最近特にウンザリなだけにホッとする佳作だ。


★ドリーム・シアター『ジ・アストニッシング』(ワーナーミュージック・ジャパン WPCR-17071/2)2CD
計約131分34曲入り。
三つ折りデジパック仕様で、
アルバム・ストーリーの登場人物の画や歌詞が載った27ページのブックレットが綴じ込まれている。
日本盤は歌詞の和訳も載った28ページのブックレットも封入。


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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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