なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

NIHILIST SPASM BAND『No Record』『Vol.2』

NIHILIST SPASM BAND『No Record』


今年結成51年目に突入したカナダの異形の“ノイズ・バンド”による最初の2作が、
今月19日と20日のライヴを前にした来日記念盤として新装リイシューされる。
ここ数年は非常階段にも参加しているNASCA CARの中屋浩市が今年リマスタリングした音が2枚とも使われ、
奥行き十分で中低音の押しが強くてデリケイトな響きも増した強烈な音の仕上がりになっている。

非常階段のJOJO広重とT.美川(INCAPACITANTS)に絶大な影響を与えたバンドとしても知られる。
ノイズと言えるのかもしれないが、
轟音/ハーシュ・ノイズとは異なり、
ましてやインダストリアル・ノイズとも全然違う。
言うまでもなくテキトーではないし、
ほとんどが自作の楽器でさりげなく魂を焦がしているプレイなのだ。


↑の画像がジャケットの1967年リリースのデビュー・アルバム『No Record』はマニフェストみたいな第一声にヤられる。
ときおり吐かれるそういうアジテーション風のヴォーカルの他、
エレクトリック・ベース、カズー、スライド・バス・クラリネット、ギター、ドラム、テルミンなどの楽器で
天然の演奏を繰り広げる。
フリー・ジャズ寄りのインプロヴィゼイションながら素朴なスピード感もオチャメだ。

バンド名の“nihilist”に含む音楽的なニヒリスト・アティテュードに貫かれ、
“spasm”が意味する痙攣(けいれん)と発作そのものの諧謔サウンドだし、
「Destroy The Nations」というアナーキーな意気込みそのものの演奏に痺れるしかない。
The POP GROUPのファーストの『Y』も思い出すが、
やかましい音のイノセントな戯れがstrangeな意味でもfunnyな意味でも“おかしい”一枚。


NIHILIST SPASM BAND『Vol2』

『Vol.2』は使用楽器と思しき機材がジャケットに載っている1978年リリースのセカンド。
ブックレットのクレジットによれば、
ファーストと同じようにカズー、ギター、ドラム、ヴォーカル、テルミン、ベースでプレイされている。
ヴァイオリンみたいな音も聞こえてくるが、
よりロックというかベースが目立つパーカッシヴな音で加速しっぱなし。
パンクからの影響は定かではないしインスト主体で歌詞も不明ながら、
これまた「No Canada」「Stupidity」という曲名もナンセンスなほどアグレッシヴである。

このアルバムはライヴ録音なのだが、
メンバーみんな好き放題に絡み合ってかなり騒々しい音質も極上。
得体の知れない野生動物たちが乱交を続ける宴みたいなサウンドであり、
こちらはThe POP GROUPのセカンド『For How Much Longer Do We Tolerate Mass Murder?』の2年以上先を行き、
音の濃密度と炸裂ぶりに恐れおののく強烈盤である。


僕はNIHILIST SPASM BANDを確か1996年の初来日時の東京公演で観ているが、
愉快痛快奇々怪々なパフォーマンスの記憶が鼓膜の裏にいつまでも残っている。
その当時でさえけっこうな年齢がうかがえるヴィジュアルだったが、
赤痢で対バンした後にバンドに加入した大西あや以外のメンバー全員が現在70歳代だという。
恐るべしである。


★ザ・ニヒリスト・スパズム・バンド『No Record』(アルケミー ARCD-246)CD
メンバーの詳細な自己紹介等とJOJO広重の今年1月執筆のライナーを含む8ページのブックレット封入。
約50分6曲入り。

★ザ・ニヒリスト・スパズム・バンド『Vol.2』(アルケミー ARCD-247)CD
長文の英文セルフ・ライナーとその和訳が載った8ページのブックレット封入。
約41分4曲入り。

共に3月16日(水)発売で、
G-MODERN誌の第7号と第8号に掲載の長文インタヴューが読みやすく印刷された六つ折りインナーシートも封入
(1994年の7月に東京でT.美川とJOJO広重が訊き手になって行なったものでどちらも同内容)。
約28年ぶりの3度目の来日公演の日程等は以下のとおりだ。
http://www.kt.rim.or.jp/~jojo_h/ar/p_top/


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Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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